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第37話 「アルマジール大森林」
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「そういえばご主人様も配信をしていたな。あれは金銭を稼ぐこともできたのか。知らなかった」
「イオリちゃんもそれで名前を売れたからね。三人とも個性が違うし可愛いし、絶対人気出るよ」
「だが、面白い企画を考えたりはできないぞ」
「うーん、なくていいんじゃない? 歌って踊れれば」
「……ん? 配信というのはダンジョン攻略をしたり人を笑わせるものではないのか?」
イオリとシャルの間で認識の違いが生まれていた。
シャルはカイリがやっていたような、ダンジョン攻略配信しか知らない。
「そういう人もいるだろうけど、イオリちゃんがやって欲しいのはちょっと違うんだよね。シャルちゃんたちには『アイドル』になってほしいんだ!」
「アイドル……だと……!」
「わわわたしが、ですか……?」
「特にあたしなんて、地味だし、眼鏡だし、アイドルなんて顔じゃないと思うんだけどぉ……」
「ソニアちゃんは卑屈になりすぎだよ~大丈夫安心して! ちゃんと可愛いから!」
イオリがみんなを励まして回る。
「イオリちゃんが宣伝すれば、知名度は問題ないし、シャルちゃんたちはホントに歌って踊ってファンを作るだけ。簡単でしょ?」
「簡単ではないが。私にできるのだろうか」
「まあとりあえずやってみよ。泣き言も不安も全部、やってみてから……だよ」
イオリという行動力の化身。熱意に押されて三人はアイドルグループを目指すことになった。
◇
一方その頃、カイリたちはアルマジール大森林へ到着していた。
「さて、と……『魂喰い』……もとい、『ソウルイーター』はどこにあんだろうな」
「そうるいーたー? って、どういう意味なんですか?」
「普通に英語に変換しただけ……って、そうか、英語じゃ通じねえんだよな」
そういえば俺はここに来てから自然にナナやアリシアの言葉を理解できてるから気にしてなかったけど、別の国の言葉なんだよな。
「そういえば、俺の言葉ってナナにはどう聞こえてるんだろう……」
「はい? 普通に聞こえてますよ?」
つい声に漏らしてしまったようだ。だけど、ナナ側からもちゃんと聴こえるってことは、この国の言葉を話してるんだな、俺。
「ま、そんなこと気にしててもしょうがないか。じゃあアリシア、サーチ始めてくれるか」
「もうやってるよ。でも、まだ近くにはなさそうだね。色んなところ歩き回ってみよっか」
俺たちは大森林を進んでいく。木と濡れた土の匂いが、なんだか昔を思い出させてくれる。
「……『魂喰い』をアルマジール大森林の妖精に託したって言ってたよな」
「あくまで伝説として残っているお話ですが」
「それが本当だったら妖精がいるってことだよな。どんな見た目してんだろう」
「さぁ……わたしも妖精は見たことないので……」
「……でさ、さっきから言ってる妖精っての、今カイリの肩に乗ってる生き物のことじゃない?」
「俺の……肩?」
ふと視線を向けると、そこに小人が座っていた。背中に小さな羽が生えた、可愛らしい生物が、いつの間にか現れていたのだ。
「うわ!? いつの間に!?」
『懐かしい匂いがする!』
『『『懐かしい匂い』』』
肩に乗った妖精が言うと、周りから妖精が大量に現れてくる。
『英雄様のおかえりだ! 約束を果たさなきゃ』
『『『おかえりなさい!』』』
「なにを……なに言ってんだよ、お前らは!」
「カイリって妖精と関わりあったの?」
「ないって! 俺はなにもしてない!」
前のパーティーでも妖精と出会ったことはない。
それなのにここまで好意的に受け入れられるのが意味分からない。
「それと……カイリとナナちゃんには群がってるのに、私のところに来ないのはなんでだろう」
アリシアが寂しそうにしている。見ると、明らかにアリシアの周りだけ妖精がいない。
なにもしてないのに好意を向けられるのも怖いけど、なにもしてないのに避けられてるのも嫌だな。
「妖精は人間の魂を見ることができると言われています……悪しき心を持った者には決して近寄らない。わたしの読んだ文献にはそう書かれていました」
「サラッと私が悪しき魂を持ってるって言われてない?」
そういう理由だったら、アリシアが好かれてない理由も分かるな。
俺も……妖精に好かれるような良い人間って自信はないけど。
『英雄様、混ざってる?』
『嫌な匂いもある!』
『どっちも懐かしい!』
『でも気持ち悪い』
『なんで? なんで?』
妖精が俺の近くを回ってなにやら揉めている。
「マジでなにを言ってんのか分かんねえ。でも、妖精がいたってことは、逆説的に『魂喰い』も実在するってことだよな」
妖精に託されたというのなら、妖精がいる場所にあるのは間違いないはず。
「良ければでいいんだけど、俺たちを『魂喰い』のある場所まで連れてってくれないか?」
俺が提案しても妖精からの返事はない。仲間内でなにかを話し合っている。
『どうする?』
『本当に英雄様?』
『でも間違いないよ』
『なんでだろう。不思議だね』
『試してみればいいよ!』
『『『そうだ、試してみよう!』』』
話がまとまったっぽい。
「……これは、歌?」
妖精が歌を歌い始める。聞く者を魅了する歌声。目を閉じると眠ってしまいそうなほど落ち着く音楽。
「な、なんで急に歌なんて……」
俺がそこまで言ったところで、木々が押し倒される音が響く。
妖精の歌に魅かれてやってきたのは、俺の身長の倍はあろうかという、巨大な猪だった。
『倒してみてよ!』
『本当の英雄様ならできるはずだよ!』
『僕らが待ちに待った英雄様なら負けるわけないよね!』
「……全く、勝手なことばっか言いやがるな。妖精は……」
「イオリちゃんもそれで名前を売れたからね。三人とも個性が違うし可愛いし、絶対人気出るよ」
「だが、面白い企画を考えたりはできないぞ」
「うーん、なくていいんじゃない? 歌って踊れれば」
「……ん? 配信というのはダンジョン攻略をしたり人を笑わせるものではないのか?」
イオリとシャルの間で認識の違いが生まれていた。
シャルはカイリがやっていたような、ダンジョン攻略配信しか知らない。
「そういう人もいるだろうけど、イオリちゃんがやって欲しいのはちょっと違うんだよね。シャルちゃんたちには『アイドル』になってほしいんだ!」
「アイドル……だと……!」
「わわわたしが、ですか……?」
「特にあたしなんて、地味だし、眼鏡だし、アイドルなんて顔じゃないと思うんだけどぉ……」
「ソニアちゃんは卑屈になりすぎだよ~大丈夫安心して! ちゃんと可愛いから!」
イオリがみんなを励まして回る。
「イオリちゃんが宣伝すれば、知名度は問題ないし、シャルちゃんたちはホントに歌って踊ってファンを作るだけ。簡単でしょ?」
「簡単ではないが。私にできるのだろうか」
「まあとりあえずやってみよ。泣き言も不安も全部、やってみてから……だよ」
イオリという行動力の化身。熱意に押されて三人はアイドルグループを目指すことになった。
◇
一方その頃、カイリたちはアルマジール大森林へ到着していた。
「さて、と……『魂喰い』……もとい、『ソウルイーター』はどこにあんだろうな」
「そうるいーたー? って、どういう意味なんですか?」
「普通に英語に変換しただけ……って、そうか、英語じゃ通じねえんだよな」
そういえば俺はここに来てから自然にナナやアリシアの言葉を理解できてるから気にしてなかったけど、別の国の言葉なんだよな。
「そういえば、俺の言葉ってナナにはどう聞こえてるんだろう……」
「はい? 普通に聞こえてますよ?」
つい声に漏らしてしまったようだ。だけど、ナナ側からもちゃんと聴こえるってことは、この国の言葉を話してるんだな、俺。
「ま、そんなこと気にしててもしょうがないか。じゃあアリシア、サーチ始めてくれるか」
「もうやってるよ。でも、まだ近くにはなさそうだね。色んなところ歩き回ってみよっか」
俺たちは大森林を進んでいく。木と濡れた土の匂いが、なんだか昔を思い出させてくれる。
「……『魂喰い』をアルマジール大森林の妖精に託したって言ってたよな」
「あくまで伝説として残っているお話ですが」
「それが本当だったら妖精がいるってことだよな。どんな見た目してんだろう」
「さぁ……わたしも妖精は見たことないので……」
「……でさ、さっきから言ってる妖精っての、今カイリの肩に乗ってる生き物のことじゃない?」
「俺の……肩?」
ふと視線を向けると、そこに小人が座っていた。背中に小さな羽が生えた、可愛らしい生物が、いつの間にか現れていたのだ。
「うわ!? いつの間に!?」
『懐かしい匂いがする!』
『『『懐かしい匂い』』』
肩に乗った妖精が言うと、周りから妖精が大量に現れてくる。
『英雄様のおかえりだ! 約束を果たさなきゃ』
『『『おかえりなさい!』』』
「なにを……なに言ってんだよ、お前らは!」
「カイリって妖精と関わりあったの?」
「ないって! 俺はなにもしてない!」
前のパーティーでも妖精と出会ったことはない。
それなのにここまで好意的に受け入れられるのが意味分からない。
「それと……カイリとナナちゃんには群がってるのに、私のところに来ないのはなんでだろう」
アリシアが寂しそうにしている。見ると、明らかにアリシアの周りだけ妖精がいない。
なにもしてないのに好意を向けられるのも怖いけど、なにもしてないのに避けられてるのも嫌だな。
「妖精は人間の魂を見ることができると言われています……悪しき心を持った者には決して近寄らない。わたしの読んだ文献にはそう書かれていました」
「サラッと私が悪しき魂を持ってるって言われてない?」
そういう理由だったら、アリシアが好かれてない理由も分かるな。
俺も……妖精に好かれるような良い人間って自信はないけど。
『英雄様、混ざってる?』
『嫌な匂いもある!』
『どっちも懐かしい!』
『でも気持ち悪い』
『なんで? なんで?』
妖精が俺の近くを回ってなにやら揉めている。
「マジでなにを言ってんのか分かんねえ。でも、妖精がいたってことは、逆説的に『魂喰い』も実在するってことだよな」
妖精に託されたというのなら、妖精がいる場所にあるのは間違いないはず。
「良ければでいいんだけど、俺たちを『魂喰い』のある場所まで連れてってくれないか?」
俺が提案しても妖精からの返事はない。仲間内でなにかを話し合っている。
『どうする?』
『本当に英雄様?』
『でも間違いないよ』
『なんでだろう。不思議だね』
『試してみればいいよ!』
『『『そうだ、試してみよう!』』』
話がまとまったっぽい。
「……これは、歌?」
妖精が歌を歌い始める。聞く者を魅了する歌声。目を閉じると眠ってしまいそうなほど落ち着く音楽。
「な、なんで急に歌なんて……」
俺がそこまで言ったところで、木々が押し倒される音が響く。
妖精の歌に魅かれてやってきたのは、俺の身長の倍はあろうかという、巨大な猪だった。
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