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第43話 「厄災」
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厄災の元に向かう馬車の中、俺はフィオナとナナ、イオリの三人に囲まれて座っていた。
「フィオナはなんで騎士団に入ったんだ?」
「私のことが気になるのか?」
「そりゃ、騎士団の団長なんて、俺みたいなやつは普通出会えないしな。いい機会だから話を聞いておきたいと思って」
「私の動機か……期待に応えられるものかは分からないが、カイリ殿に求められると心が弾む。少しだけ、話をしようか」
フィオナはそこで一瞬目を伏せると、口を開く。
「私の生まれはアウスト王国ではないんだ。別の国で生まれて、五歳までそこで育った」
「じゃあどうしてアウスト王国に来たんだ?」
「来るしかなかったんだ。私のいた国は、滅んだからな」
「滅んだ……?」
そんな話は聞いたことがない。まだ一年しかこの世界にいないんだから当然かもしれないが。
「小さい国だったんだが、私はそこの王女だった。だが、魔物の大群に襲われたことで国は滅んでしまった。その時、王……両親も亡くなったんだ。それから魔物に対して恨みが生まれて……魔物を生み出す、『厄災』が存在するアウスト王国に来たんだ」
「魔物が憎いから倒しまくってたら、騎士団の団長まで上り詰めたってことか。王女なんて本来戦う役目じゃないのに、すげえな」
「最初は私も弱かったからな。だが、死に物狂いでやってみると案外なんとかなるものだ。今ではもはや呼吸と同じ感覚で剣を振ることができるようになった」
戦う必要のない人間がここまで戦えるようになるのは良いことなのか、悪いことなのか判断は付かないけど……でも、フィオナは戦うこと自体を嫌ってはいなさそうだ。
「だから私にとって、厄災の討伐は悲願なんだ。アレを倒さなければ……きっと、私は過去の呪縛から逃れられない」
「じゃあ絶対、倒さないとな」
元々、俺も厄災は倒さないといけないと思っていたけど、更にその気持ちが強くなった。
それにしても……まさかフィオナがナナと同じ王女様だったなんて。俺、そういう人と出会うこと多くない?
話が終わって少し。馬車が停止し、御者が俺たちに話しかけてくる。
「そろそろ厄災がいるとされている場所に着きます。馬車はここまでです。馬が、とても怯えています」
「分かった。ありがとな」
取り巻きとは一回も出会わなかった。フィオナの部下……騎士団の人達が倒してくれてるんだ。
「この先……なんだな」
フィオナの言葉からは、緊張しているのが伝わってくる。
「カイリ様……頑張りましょうね」
「イオリちゃんも頑張る……気持ちだけはあります」
イオリだけめっちゃビビってる。いや、ビビッてないナナやフィオナの方がおかしいのか。
王女様って度胸がすごいのかな。
「行こうか」
俺達は進む。出来る限り厄災を止め、討伐隊全員で戦える状況を作らないと。
そして、俺達は厄災のところにたどり着く。そこにいたのは――
「――ドラゴン?」
巨大、なんて言葉では表せないほどの、ドラゴンが浮かんでいた。
「フィオナはなんで騎士団に入ったんだ?」
「私のことが気になるのか?」
「そりゃ、騎士団の団長なんて、俺みたいなやつは普通出会えないしな。いい機会だから話を聞いておきたいと思って」
「私の動機か……期待に応えられるものかは分からないが、カイリ殿に求められると心が弾む。少しだけ、話をしようか」
フィオナはそこで一瞬目を伏せると、口を開く。
「私の生まれはアウスト王国ではないんだ。別の国で生まれて、五歳までそこで育った」
「じゃあどうしてアウスト王国に来たんだ?」
「来るしかなかったんだ。私のいた国は、滅んだからな」
「滅んだ……?」
そんな話は聞いたことがない。まだ一年しかこの世界にいないんだから当然かもしれないが。
「小さい国だったんだが、私はそこの王女だった。だが、魔物の大群に襲われたことで国は滅んでしまった。その時、王……両親も亡くなったんだ。それから魔物に対して恨みが生まれて……魔物を生み出す、『厄災』が存在するアウスト王国に来たんだ」
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戦う必要のない人間がここまで戦えるようになるのは良いことなのか、悪いことなのか判断は付かないけど……でも、フィオナは戦うこと自体を嫌ってはいなさそうだ。
「だから私にとって、厄災の討伐は悲願なんだ。アレを倒さなければ……きっと、私は過去の呪縛から逃れられない」
「じゃあ絶対、倒さないとな」
元々、俺も厄災は倒さないといけないと思っていたけど、更にその気持ちが強くなった。
それにしても……まさかフィオナがナナと同じ王女様だったなんて。俺、そういう人と出会うこと多くない?
話が終わって少し。馬車が停止し、御者が俺たちに話しかけてくる。
「そろそろ厄災がいるとされている場所に着きます。馬車はここまでです。馬が、とても怯えています」
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王女様って度胸がすごいのかな。
「行こうか」
俺達は進む。出来る限り厄災を止め、討伐隊全員で戦える状況を作らないと。
そして、俺達は厄災のところにたどり着く。そこにいたのは――
「――ドラゴン?」
巨大、なんて言葉では表せないほどの、ドラゴンが浮かんでいた。
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