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第46話 「オールフォーワン」
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神様が言ってたはずなのに。「魂喰い」が効くって。しかも魂その者への攻撃だから相手の硬さとか関係ないって……
「……言ってたよなぁ! 畜生!」
やっぱあてにならねえあの神様! ただでさえナビみたいなものなのに、その情報すら間違ってたらなにも信用できねえよ!
「文句言ってても仕方ねえ……俺はやれることをやるだけだ」
元々、魂喰いなんてなくても厄災を倒す予定だった。だから、そこまで問題じゃないはずだ。
「カイリ、左から来るよ! 気を付けて!」
俺は咄嗟にかがんで避ける。頭上に厄災の爪が通り過ぎて、俺の髪が斬られる。
厄災は腕を振り切った態勢。その隙を逃すわけがなかった。俺は踏み込むと、厄災の腕にデュランダルを打ち付ける。
厄災の皮膚は硬くて断ち切れそうにない……けど。
「デュランダル……お前の力はこんなもんじゃ、ねえだろ……!」
俺は無意識的に口に出していた。俺はデュランダルを使い始めて長くない。だからまだなにも知らないと、理性ではわかっているのに、俺の口は止まらない。
「お前の本来の力は、この程度じゃない……もっと、寄越せよ!」
俺がなにを言っているのか、自分でも完璧に把握できてるわけじゃない。口が勝手に動く、みたいな感覚だ。
それでも、デュランダルは俺の声に応えるように、輝きを増していく。
――俺はこの力の、なにを知ってる? 自分ですら覚えていないことを、どうして口走る?
「――ぁああああっ!」
ようやく俺は厄災の腕を斬り飛ばすことができた。
飛び散る血飛沫が顔に付着するのも気にしない。
今はとにかく前へ突き進むだけだ。
厄災がブレスを吐き出そうとしている。避けるのは間に合わない。相手が動くより早く、厄災を攻撃して止めないと……
「仕方のないやつじゃ。妾が直々に手を貸してやろう」
遠くから放たれる風の奔流が厄災の口内に溜まった炎をかき乱す。
「エリザベス! 助かった!」
「こんなところで死なれても寝覚めが悪いのでな。それに……いや、なんでもない。早う終わらせるのじゃ」
「あぁ――そうだな!」
厄災のブレスは体内で暴発。厄災も体内に受けるダメージは相当大きいようで、一瞬動きが止まる。
俺は厄災の胴体に剣を突き立てると、皮膚を切り裂き、大きな傷をつける。
切り開いた体内が見える。そこには、大きくて丸い結晶が埋め込まれていた。
「あれが……コアか!」
魔物の動力源。いかに厄災といえど、魔物である限り消えない弱点だ。
コアに向けて剣を向けると、危機を察知した厄災が叫び声を上げる。
「――ッ!!」
空気を震わせる声に怯んだ一瞬で、厄災の姿が消える。
「くそ、どこ行った……」
「カイリ、上よ!」
アリシアが上空を指差している。厄災は空に飛んでいたのだ。
厄災の翼があった場所から、黒い霧が出て、翼の形を象っている。
魔物を生み出す時の霧だ。アレで翼の代用をしているのだろう。
「空で、傷を回復しているのか……」
「早く仕留めねえと……仕切り直しなんてやってられねえぞ」
俺は弓と入れ替えて厄災に向ける。狙うのはコアだ。だけど、厄災までの距離が遠すぎて、コアを確実に貫くのは難しい。
「カイリ、イオリちゃんが視る限りだと、厄災の傷はまだ埋まらない。だから落ち着いて、慎重に狙いを定めてね。イオリちゃんが……カイリのスコープになるから」
何度もこんなチャンスが訪れるとは思えない。勝負は一発限り。外せばどうなるか分からない。
「カイリ、もう少し右。……照準がぶれてるよ」
俺を安心させるためか、イオリの声がいつもより落ち着いている。
緊張する。外して、厄災を倒せなくて誰かが犠牲になったらと考えると手が震えてくる。
「カイリ……イオリちゃんを、信じて」
俺の心を蝕む恐怖が少し、和らいだ。イオリの目であれば確実に狙いを外さない。
信用するんだ。イオリを……仲間を。
決意を固めた俺の視界は晴れた。思考も冷静だし、周りがよく見える。
「これで……終わりだ」
弓を引いて、放つ。
黄金の軌跡を描いてコアに向かう矢は――狙い違わず厄災のコアを貫いた。
「……言ってたよなぁ! 畜生!」
やっぱあてにならねえあの神様! ただでさえナビみたいなものなのに、その情報すら間違ってたらなにも信用できねえよ!
「文句言ってても仕方ねえ……俺はやれることをやるだけだ」
元々、魂喰いなんてなくても厄災を倒す予定だった。だから、そこまで問題じゃないはずだ。
「カイリ、左から来るよ! 気を付けて!」
俺は咄嗟にかがんで避ける。頭上に厄災の爪が通り過ぎて、俺の髪が斬られる。
厄災は腕を振り切った態勢。その隙を逃すわけがなかった。俺は踏み込むと、厄災の腕にデュランダルを打ち付ける。
厄災の皮膚は硬くて断ち切れそうにない……けど。
「デュランダル……お前の力はこんなもんじゃ、ねえだろ……!」
俺は無意識的に口に出していた。俺はデュランダルを使い始めて長くない。だからまだなにも知らないと、理性ではわかっているのに、俺の口は止まらない。
「お前の本来の力は、この程度じゃない……もっと、寄越せよ!」
俺がなにを言っているのか、自分でも完璧に把握できてるわけじゃない。口が勝手に動く、みたいな感覚だ。
それでも、デュランダルは俺の声に応えるように、輝きを増していく。
――俺はこの力の、なにを知ってる? 自分ですら覚えていないことを、どうして口走る?
「――ぁああああっ!」
ようやく俺は厄災の腕を斬り飛ばすことができた。
飛び散る血飛沫が顔に付着するのも気にしない。
今はとにかく前へ突き進むだけだ。
厄災がブレスを吐き出そうとしている。避けるのは間に合わない。相手が動くより早く、厄災を攻撃して止めないと……
「仕方のないやつじゃ。妾が直々に手を貸してやろう」
遠くから放たれる風の奔流が厄災の口内に溜まった炎をかき乱す。
「エリザベス! 助かった!」
「こんなところで死なれても寝覚めが悪いのでな。それに……いや、なんでもない。早う終わらせるのじゃ」
「あぁ――そうだな!」
厄災のブレスは体内で暴発。厄災も体内に受けるダメージは相当大きいようで、一瞬動きが止まる。
俺は厄災の胴体に剣を突き立てると、皮膚を切り裂き、大きな傷をつける。
切り開いた体内が見える。そこには、大きくて丸い結晶が埋め込まれていた。
「あれが……コアか!」
魔物の動力源。いかに厄災といえど、魔物である限り消えない弱点だ。
コアに向けて剣を向けると、危機を察知した厄災が叫び声を上げる。
「――ッ!!」
空気を震わせる声に怯んだ一瞬で、厄災の姿が消える。
「くそ、どこ行った……」
「カイリ、上よ!」
アリシアが上空を指差している。厄災は空に飛んでいたのだ。
厄災の翼があった場所から、黒い霧が出て、翼の形を象っている。
魔物を生み出す時の霧だ。アレで翼の代用をしているのだろう。
「空で、傷を回復しているのか……」
「早く仕留めねえと……仕切り直しなんてやってられねえぞ」
俺は弓と入れ替えて厄災に向ける。狙うのはコアだ。だけど、厄災までの距離が遠すぎて、コアを確実に貫くのは難しい。
「カイリ、イオリちゃんが視る限りだと、厄災の傷はまだ埋まらない。だから落ち着いて、慎重に狙いを定めてね。イオリちゃんが……カイリのスコープになるから」
何度もこんなチャンスが訪れるとは思えない。勝負は一発限り。外せばどうなるか分からない。
「カイリ、もう少し右。……照準がぶれてるよ」
俺を安心させるためか、イオリの声がいつもより落ち着いている。
緊張する。外して、厄災を倒せなくて誰かが犠牲になったらと考えると手が震えてくる。
「カイリ……イオリちゃんを、信じて」
俺の心を蝕む恐怖が少し、和らいだ。イオリの目であれば確実に狙いを外さない。
信用するんだ。イオリを……仲間を。
決意を固めた俺の視界は晴れた。思考も冷静だし、周りがよく見える。
「これで……終わりだ」
弓を引いて、放つ。
黄金の軌跡を描いてコアに向かう矢は――狙い違わず厄災のコアを貫いた。
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