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第73話 「封印の祠」
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一回の転移ではアルマジール大森林に着かなかった。どうやら距離に制限があったようだ。
「だから言ったじゃん。魔道具は本来のスキルより出力が落ちちゃうって」
「転移の能力だとそういう制限が付くんだな……くっそ、頭が痛え」
ついでに、魔道具を使いすぎると頭痛や吐き気も出てきた。
何度も何度も転移を繰り返した結果、俺のコンディションは最悪になっていた。
魔道具、便利だけど制約きつすぎないか?
「ともかく、着いたな。早く封印の祠に向かわねえと……」
「カイリふらふらじゃん! ほら、腕貸して。連れてったげる」
「あ、ありがとな」
ソニアに支えられつつ、俺は大森林の中を歩く――が。
「ここ、どこだ」
「え? てっきりカイリ道知ってるのかと思ったんだけど……そうじゃないの?」
「前は妖精に道案内してもらったから……しかも、その妖精を見つけたのはアリシアか。どっちもいないとどうしようもないのか……」
アリシアはともかく、妖精は出てきてもいいんじゃないだろうか。
前回は呼ばなくても出てきたのに。
必要な時に必要なものを失くすのはあるあるだけど……こんな状況で発動するなよ!
「どこか、どこかにいねえのか! 俺の声が聞こえたなら、出てきてくれ!」
俺の声だけが、森の中に響く。
しばらく木々の揺れる音が耳に届き――ようやく、その声が聞こえた。
『怖い力、なくなってる』
『その代わり、お外に怖い力、広がってる』
『英雄様だ! 戻ってきた!』
『どうして、どうして?』
「俺は『封印の祠』に行きたいんだ。案内を頼めないか」
宙を舞う妖精たちは困惑しているようだ。妖精は互いに顔を突き合わせて話し合うと、全員が小さく頷いた。
『良いよ、そうしよう』
『ふーいんのほこらってなに?』
『きっと大切な場所だよ』
『英雄様を連れていくなら、きっとあそこだよ』
白い軌跡を描きながら妖精は森の中へ進んでいく。
「妖精についていけば封印の祠に着く……筈だ。さっき大声出したせいでしんどい。もうちょっと支えてもらって良いか」
「別に許可なんていらないよ。カイリが余計しんどそうなのは見てれば分かるし。カイリこそ、頑張ってね。無理は……しないって方が無理か」
「あぁ、早く戻らねえといけないんだから。無理してでも、行くしかねえ」
途中でソニアの筋力に限界が来て、シャルに交代する……なんてこともありながら、俺たちは「封印の祠」に到着できた。
「ようやく、着いた……いや、戻ってきた」
「それで、祠ってすごく頑丈そうだし、鍵穴とかも無さそうなんだけど、どうやって開けるの?」
着いた頃には俺の体調も多少マシになっていた。
俺は「封印の祠」に近づくと、扉の部分に触れる。
「俺の予想が正しければ――」
指先が触れた直後、扉から光が溢れる。まばたきをした次の瞬間には、扉が消失していた。
「すごい! カイリ、なんで分かったの!?」
「分かってたわけじゃないよ。ただ……こうなる気がしたんだ。俺の中から神の力が消えた今だったら」
封印の祠の案内人である妖精は、神の力を恐れていた。
英雄から武器を託されてるって時点で予想できてたが、妖精も邪神とは敵対関係にある。
だから、最初に出会った時妖精は俺を怖がっていた。
俺の魂を見て、英雄と同一存在だと見抜いた上で、あそこまで俺に嫌悪感を抱いていたのは、俺が神の力を持っていたから。
そんな妖精に案内させないと到達できない「封印の祠」は、多分神の力を持ったままだと開けない。
俺が前回「封印の祠」に入れなかったのはそういうことだろう。
妖精たちの反応から見て、「英雄の生まれ変わり」が祠に入れないはずはないのだから。
「神の力を失くしたからこそ得られるものもある……なにもないようでも、力はあるってそういうことかよ。シオン」
最初からそう言ってくれれば良かったのに。シオンも割と話せる限り俺にヒントをくれようとしていたみたいだけど、分かりづらいよ。
今更になって、不安が押し寄せてくる。
「今までの考え全部、俺の予想でしかないからな……」
本当に邪神の肉体が入っていたら、祠を開いたことで邪神をパワーアップさせるかもしれない。
もし、封印しないといけないような悪影響をもたらす何かだった場合、俺の身も危険かもしれない。
不安の種は、上げ始めればキリがないけど。
「前に進むって、決めたからな」
薄暗い祠の中を、俺は一人、下っていく。
「だから言ったじゃん。魔道具は本来のスキルより出力が落ちちゃうって」
「転移の能力だとそういう制限が付くんだな……くっそ、頭が痛え」
ついでに、魔道具を使いすぎると頭痛や吐き気も出てきた。
何度も何度も転移を繰り返した結果、俺のコンディションは最悪になっていた。
魔道具、便利だけど制約きつすぎないか?
「ともかく、着いたな。早く封印の祠に向かわねえと……」
「カイリふらふらじゃん! ほら、腕貸して。連れてったげる」
「あ、ありがとな」
ソニアに支えられつつ、俺は大森林の中を歩く――が。
「ここ、どこだ」
「え? てっきりカイリ道知ってるのかと思ったんだけど……そうじゃないの?」
「前は妖精に道案内してもらったから……しかも、その妖精を見つけたのはアリシアか。どっちもいないとどうしようもないのか……」
アリシアはともかく、妖精は出てきてもいいんじゃないだろうか。
前回は呼ばなくても出てきたのに。
必要な時に必要なものを失くすのはあるあるだけど……こんな状況で発動するなよ!
「どこか、どこかにいねえのか! 俺の声が聞こえたなら、出てきてくれ!」
俺の声だけが、森の中に響く。
しばらく木々の揺れる音が耳に届き――ようやく、その声が聞こえた。
『怖い力、なくなってる』
『その代わり、お外に怖い力、広がってる』
『英雄様だ! 戻ってきた!』
『どうして、どうして?』
「俺は『封印の祠』に行きたいんだ。案内を頼めないか」
宙を舞う妖精たちは困惑しているようだ。妖精は互いに顔を突き合わせて話し合うと、全員が小さく頷いた。
『良いよ、そうしよう』
『ふーいんのほこらってなに?』
『きっと大切な場所だよ』
『英雄様を連れていくなら、きっとあそこだよ』
白い軌跡を描きながら妖精は森の中へ進んでいく。
「妖精についていけば封印の祠に着く……筈だ。さっき大声出したせいでしんどい。もうちょっと支えてもらって良いか」
「別に許可なんていらないよ。カイリが余計しんどそうなのは見てれば分かるし。カイリこそ、頑張ってね。無理は……しないって方が無理か」
「あぁ、早く戻らねえといけないんだから。無理してでも、行くしかねえ」
途中でソニアの筋力に限界が来て、シャルに交代する……なんてこともありながら、俺たちは「封印の祠」に到着できた。
「ようやく、着いた……いや、戻ってきた」
「それで、祠ってすごく頑丈そうだし、鍵穴とかも無さそうなんだけど、どうやって開けるの?」
着いた頃には俺の体調も多少マシになっていた。
俺は「封印の祠」に近づくと、扉の部分に触れる。
「俺の予想が正しければ――」
指先が触れた直後、扉から光が溢れる。まばたきをした次の瞬間には、扉が消失していた。
「すごい! カイリ、なんで分かったの!?」
「分かってたわけじゃないよ。ただ……こうなる気がしたんだ。俺の中から神の力が消えた今だったら」
封印の祠の案内人である妖精は、神の力を恐れていた。
英雄から武器を託されてるって時点で予想できてたが、妖精も邪神とは敵対関係にある。
だから、最初に出会った時妖精は俺を怖がっていた。
俺の魂を見て、英雄と同一存在だと見抜いた上で、あそこまで俺に嫌悪感を抱いていたのは、俺が神の力を持っていたから。
そんな妖精に案内させないと到達できない「封印の祠」は、多分神の力を持ったままだと開けない。
俺が前回「封印の祠」に入れなかったのはそういうことだろう。
妖精たちの反応から見て、「英雄の生まれ変わり」が祠に入れないはずはないのだから。
「神の力を失くしたからこそ得られるものもある……なにもないようでも、力はあるってそういうことかよ。シオン」
最初からそう言ってくれれば良かったのに。シオンも割と話せる限り俺にヒントをくれようとしていたみたいだけど、分かりづらいよ。
今更になって、不安が押し寄せてくる。
「今までの考え全部、俺の予想でしかないからな……」
本当に邪神の肉体が入っていたら、祠を開いたことで邪神をパワーアップさせるかもしれない。
もし、封印しないといけないような悪影響をもたらす何かだった場合、俺の身も危険かもしれない。
不安の種は、上げ始めればキリがないけど。
「前に進むって、決めたからな」
薄暗い祠の中を、俺は一人、下っていく。
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