異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第155話 フィーネリーゼと王太子妃 後編

談笑しながら時間が経っていき、バウルトリアが王太子を見ている
「王太子殿下そろそろ」
バウルトリアが言うと、王太子が頷く
「イールス、今回の件の褒美だが」
王太子がイールスを見ている
「内密にしてくれれば良いと思っています。下賤な身の未熟者ですから、フィーネリーゼ様とブライドル様にお願いします」
イールスが頭を下げて言う
「これだからな…フィーネリーゼ殿、家の借金の件や色々報告が上がっている…少ないが薬草の対価だ！ それと共に魔法研究院で新しい温室の研究の助言を頼むぞ！ これが任命状だ！」
王太子が笑顔で言うと、バウルトリアがトレイに乗せた書類と袋を差し出すと、フィーネリーゼが驚いた様にトレイを見てからイールスを見てブライドルを見ている
「魔法研究院所属の温室研究員です。 お受け下さい。 国王陛下からの勅命になります」
バウルトリアが微笑みながら説明している
「え！ 勅命！！」
フィーネリーゼが驚いて叫び、慌てている
「受けて貰わないと後々面倒になります。イールスが止めていますが、そろそろ処分を下すつもりです」
バウルトリアが笑顔で言うと、イールスを見ている
（ちょっちょっ勅命！！ 断れないのに、何故受けて貰わないと面倒な事になるのですか？ イールス君も簡単に断って良いのですか？）

「その前に、フィーネリーゼと婚約をした事をここでお伝えします」
ブライドルが考えてから王太子に言う
「そうか！！ それは良いな！！ イールス何かしたのか？」
王太子が満面の笑顔でイールスを見ている
「それは良いことですね、イールスもブライドル様の事は報告してくれなくて、困りましたが…婚約者なら良いことですね」
王太子妃が微笑みながらイールスを見てからブライドルを見ている
「イールスの策略ですが…お似合いで趣味も同じで本当に良いことです」
セーレンが微笑みながら言う
「イールス感謝しているぞ」
ブライドルがイールスを見ている
「下賤な身の未熟者ですから、策略と言われても困ります。ブライドル様とフィーネリーゼ様が幸せになれば嬉しく思います」
イールスが頭を下げている

フィーネリーゼが任命状を恐る恐る受け取る
「次は困った事だ…国家機密にはするが…ランクスルバウム男爵は今牢屋にいる」
バウルトリアが説明を始めると、フィーネリーゼが青ざめている
「その件ですが…どうにか内密に処理を」
ブライドルが慌てて頭を下げている
「２つの罪状が有るが…イールスの誘拐、暗殺未遂と王宮の宝物庫から宝物の窃盗の容疑で本来なら家は取り潰しである」
バウルトリアが説明する
「御父様…なんて事を……」
フィーネリーゼが涙を浮かべている
「この件はイールスに一任してある、イールス処分を頼んだぞ…どんな罰を与えるか楽しみだ」
王太子が笑いながら言う
「窃盗の方は、実際指示はしてませんので、犯人の方を処分をお願いします。襲って来たのは、商会の指示と判明しています。依頼主は男爵として、爵位を息子に譲渡として欲しいと思います。 男爵には借金の怖さを知って貰います」
イールスが笑顔で言う
「罪は償う必要が有るぞ！！」
王太子が睨んでいる
「先ほどの褒美の代わりに嘆願します」
イールスが頭を下げながら言う
「これだからな…バウルトリア師」
王太子が微笑みながらバウルトリアを見ている
「仕方無いですな…フィーネリーゼ殿の家を取り潰したら問題になりかねません…イールスの褒美の代わりなら…良いと思いません！ 元々イールスを襲ったのですから、イールスが許したなら良いと思われますが、減刑して爵位譲渡なら通常の爵位譲渡と異なり、それこそがイールスの狙いでしょう… 国家機密になりますが、イールス相手に襲う馬鹿が愚かです」
バウルトリアが笑っている
「男爵は釈放準備をさせよう…バウルトリア師、セーレン師は子爵と商会長達をすぐに捕らえ、処分するように」
王太子が笑顔で言う
「この会談の前に向かわせています。 宝物庫から盗みなど許しません！ それに男爵に渡った物…ポーションの回収も出来ているから問題は無いですが…イールスが関わった恐ろしさを知ると良い！！」
バウルトリアが笑顔で言うと、フィーネリーゼが驚いてイールスを見ている
（イールス君何をしているのですか？ 王太子殿下もバウルトリア師もイールス君に何をさせているのですか？ 何故こんなに信頼を得ているのですか？ イールス君は何者ですか？）

「イールス君は何者でしょうか？ これだけの信頼を寄せる相手なら… 」
フィーネリーゼが困惑したようにイールスを見ている
「イールスは家柄を絶対に明かしません…イールス伝えますよ」
セーレンがイールスを見て言うと、イールスに視線が集まる
「国家機密だが、フィーネリーゼ殿これから聞くことは、秘密に出来るか？ 恩人の秘密を知るのだからな！」
バウルトリアがフィーネリーゼを見ていると、フィーネリーゼが約束をしている

「レズムード伯爵家次男イールス・レズムードだ！ 公爵家アルゼデンスに暗殺されそうになり、生きて戻り、アルゼデンスの野蛮さを公爵に伝え、公爵家の周囲から切り崩し、公爵を孤立させたのはイールスだ！ それに後継ぎの不正の証拠に公爵に渡し、公爵を泣かせた本人だな！！ レズムード伯爵家の薬草群生地の管理などの研究に数々の功績をあげている！！ 国家機密でなければ、もっと称えられるだろう…国家機密の塊だからな！！」
王太子が笑顔で説明をしている
「アルゼデンス様の件は…それで妹が怒っていたのですね…イールス君あの時はごめんなさい」
フィーネリーゼが驚いた様にイールスを見て考えている
（レズムード伯爵家の次男！！ 物凄く無礼な事をしていたの？ どうしたら？ イールス暗殺未遂をしていたのなら…レズムード伯爵家が怒っているはず…どうしたら？ 後で謝りに向かい…国家機密だから家族にも話せない…どうしたら？ イールス君…あ！ 君付けで呼んで良かったのですか？ あーーーーどうしましょう？ ）

「下賤な身の未熟者ですが、称えられるのは遠慮したいと思っています。 フィーネリーゼ様、これからもブライドル様と仲良くして欲しいと思っています」
イールス頭を下げながら言うと、フィーネリーゼが驚いている
「これが国を救った者が言う言葉だ！！ 」
王太子が笑い始めると、王太子妃とバウルトリアが笑っている
「イールスだからな！ フィーネリーゼ様、これからもイールスと仲良くするぞ！！ イールス争奪戦は凄いからな！！」
ブライドルが笑っている
「イールス争奪戦？」
フィーネリーゼがブライドルを見て驚いている
「ふふふ、あの令嬢達を連れて歩く姿、王国一の人気ですから…ふふふ、楽しみにしてますよ」
王太子妃が笑っている
「保護者達がイールスの家柄を調べようにも、メサリアとシンシリアとメデルが手を組んだので誰も文句は言えませんわ！ シンシリアのイールスの気に入り様に、アリーオの気に入り様とんでもない事ですわ」
セーレンが呆れたように言う
「そんなに噂を流さないで欲しいと思います。 拡張された噂はどんどん広がります。 ほとんど冗談と社交辞令で話しているだけです」
イールスが頭を下げている
「これがイールスだ！ フィーネリーゼ様何をイールスに言っても自身を過小評価している」
ブライドルが笑いながら言うと、全員が同意している