異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第165話 後始末開始 前編

屋敷に帰ると、セーレンが女の子と待っている
「セーレン様、本日も美しい姿を拝見できて本当に嬉しく思います」
イールスが応接室に入り丁寧に挨拶をしていると、女の子が血の気の引いた顔で見ている
「イールス、何処に出掛けていたのですか？ アリーオと一緒なら相当な事ですか？」
セーレンがイールスを見ながら考えている
「はい、面倒な事に捲き込まれました。メサリア様もアリーオ様の配慮の無さに怒っています」
イールスが頭を下げたまま言うと、セーレンが苦笑いしている
（メサリアが怒るなら大変な事ですね…関わると面倒な事になりそうですね…聞かない方が良さそうですね）

「イールス、ディオルバルク・ランドルセイルバウムの娘の事で話が有ります」
セーレンが微笑みながら言うと、女の子がイールスを見ている
「ディオルバルク様の御令嬢様の事でですか？ 何か問題に？」
「問題ですわ！ 王家は罪は無いと判断していますが、問題は親族に引き取り手が有りませんわ！ 孤児院に送っても平民として、生きていけるか解りませんわ！！ それにこの魔剣の所有の件でも問題になります」
「え？ 何故ですか？ 誰も引き取らないのですか？ 酷いです」
イールスが驚いて叫ぶ
「引き取らないのではなく、引き取る家が無いです。 親族の家も乗っ取られて行き場が有りません…この魔剣を売っても魔剣を使いこなす者が殆どいないでしょう…イールスが引き受けた依頼なのですから、イールス責任を取りなさい」
セーレンがイールスを睨みながら説明している

え？ 子供の世話なんて出来ないです…どうしたら？ 誰かに預けるしか無いですけど…どうしたら？ 

イールスが考え込んでいる
「ヘルクドール様には許可を貰っています。イールスが面倒を見なさい！！ 専属侍女から教育をさせて、侍女として…従者として育てなさい！ イールスは資金も有るのですから、問題はないです」
セーレンが笑顔で言う
「ヘルクドール様から許可？ 荷が思いと思いますが…」
イールスが苦笑いしている
「リシリアもいますから、大丈夫でしょう、自己紹介しなさい」
セーレンが笑顔で女の子を見ている
「イールスさま…オリフィーネです。よろしくお願いします」
女の子が血の気の無い顔で言うと、深々と頭を下げている
「まだ６歳でもしっかりしていますね…イールス頑張りなさい」
セーレンが笑顔で言う
（いつも後始末ばかりさせるのですから、今回は誰も助けません！ 魔剣も簡単に売れませんから、イールスが全部始末しなさいですわ！！ 王太子殿下も笑いながら許可していますから、逃げ道は塞いでますわ）

セーレンが帰っていくと、オリフィーネを連れて部屋に戻る
「イールス様お帰りなさい、話しは聞いています」
メサーリアが笑顔でイールスを見てからオリフィーネを見て言う
「面倒な事になったけど、もう聞いていたの？」
イールスが苦笑いしている
「ヘルクドール様の許可が出ていると、侍女長様より聞いています。 侍女見習いとして、しっかり教育します」
メサーリアが笑顔で言うと、オリフィーネが慌てて挨拶をしている
「今回は拒否権も無かった…セーレン様もあの笑み…次は何か押し付けないと…」
イールスが考えていると、メサーリアが笑っている

翌朝、イールスはセーレンと共に牢屋に向かい、騎士の案内でギゼルナム商会長と副商会長に会いに向かう
「小僧がイールスか！！」
商会長が怒鳴り、副商会長が物凄い形相で睨んでいる
「未熟者の半人前のイールスと申します。 今日は賠償金の受取りの件で伺いました」
イールスが笑顔で挨拶をしている
「そんな契約無効だ！！ 絶対に許さないぞ！！」
「無効なのですか？ 公爵様と国王陛下の許可の指示を受けています。 セーレン様」
イールスがセーレンを見て言う
「往生際が悪いですね…罪は逃げ道が有っても、賠償金は逃げれません…これが契約の正統性を認めた家々の書類です。 ７大貴族と王家が認めています。文句は言えません」
セーレンが笑顔で説明と契約者の正統性の説明をしていると、副商会長が崩れ落ちている
「それでも認めないぞ！！ 許されないと思え！！ 多くの縁者が貴様を潰すぞ！！」
商会長がイールスを睨んでいる
「縁者ですか？ 借金も相当してますね…文句は言えるのでしょうか？ 取り敢えずこの書類にサインを頼みます。 そうそう…お仲間も相当な事になるでしょう…子爵様は既に家取り潰しになり、騎士団が親族縁者の取り締まりと、不正に荷担してないか調査しています。 副団長様も終わりましたね」
イールスが笑顔で商会長を見ている
「賠償金を支払わなければ、王立学院襲撃事件の首謀者として処分します。 今回は逃げれませんわ！！ 覚悟しなさい」
セーレンが笑顔で説明していると、商会長が真っ青になっている
（逃げ道がないのか？ 公爵家の後継ぎが居なくなった所為だ！！ くそーーーここは賠償金を支払う事で１度逃げなくては…死罪確定なのか…この額にもう…）

商会長が書類にサインをすると、イールスはセーレンと共に確認している
「店の権利及び全ての財産を調査して受けとるようにします」
イールスが笑顔で商会長を見ている
「後悔させてやるぞ！！ 絶対に許さないぞ！！ せいぜい夜道には気を付ける様に！！」
商会長がイールスを睨みながら怒鳴ると、騎士に連れられて部屋を出ていく

「セーレン様、調査をお願いします」
イールスが笑顔でセーレンを見ている
「イールス、商会長を生かすなんて何故ですか？」
セーレンが苦笑いしている
「あの人達は、恨まれ過ぎました。 監獄に行ってどのぐらい持つかな？ あの監獄には商会長達が嵌めた人達も多いですから…」
イールスが笑顔で言うと、セーレンが驚いたようにイールスを見ている
（え？ まさか…そこまで計算に…監獄に送ったら、怨みを持つ人達に…処分させるつもりですか？ イールス嫌味な事を考えていたのですか…）

ディオルバルクを呼び出して貰う
「イールスか…娘はどうなった？」
ディオルバルクがイールスを見て聞く
「セーレン様に嵌められました。 侍女として育てられます」
イールスが苦笑いして説明する
「侍女としてか？ 元気に育って欲しい…」
ディオルバルクが頭を下げて言う
「一つだけ確認したいのですが…手配の件の事件ですが…」
「無実無根だ！ 嵌められただけだ！！ グライバウスに全部説明して、無実の証拠を集めていた…罠に嵌まっただけだ…後少しで証明出来たのに…」
ディオルバルクが悔しそうに説明している

完全に嵌められたのか？ 嵌めた相手が副団長と知らなかったのか？ ディオルバルクさんの罪を率先して認めていたのは、副団長と言う事も知らないなんて…可哀想…