異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第166話 後始末開始 後編

イールスはビーレルバウム男爵家の屋敷に向かい、シリカローレルが出迎えている
「イールス様お待ちしていました。襲撃事件の忙しい中来訪感謝致します」
シリカローレルが丁寧な挨拶をしている
「シリカローレル様本日もお美しい姿を拝見できて大変嬉しく思います」
イールスがシリカローレルに丁寧に挨拶をしてから、シリカローレルの案内で応接室に向かう

「イールス様、こちらが本日到着しました。商人のジエルです」
シリカローレルが紹介すると、ジエルが頭を下げている
「ジエルさんは、行商人として各地を回っていたと伺っています」
イールスが笑顔でジエルを見ている
「運良くビーレルバウムの町で定住出来て嬉しく思います。 本日はどの様な御用でしょうか？」
ジエルが礼儀正しくして、イールスに頭を下げている
「そうですね…単刀直入伺います。 ジエラムス様」
「え！ 何を言われますか？」
ジエルが一瞬驚いたようにした後慌ててイールスに頭を下げている
（何故知っている？ ここまできて、終わりなのか…）
「これが調査して貰った内容です。 元騎士爵家で…ギゼルナム商会の罠に嵌まり、祖父と両親と一族が路頭に迷った様ですね…既に殆どの人が亡くなったと調査結果です」
イールスが笑顔で説明していると、ジエルが迷った様な顔をしてから、イールスを睨んでから、うつ向いている
（折角のチャンスが…王都に来なければ良かったのか…子供達の為に、従うしか無いのか…子供達が不幸になるなら…）

「調べられたのですか…大変申し訳ありませんが…どうか、家族だけは助けて欲しいと思います」
ジエルが頭を下げていると、シリカローレルがイールスを見ながら困惑したようにしている
（え？ もしかしてとんでもない事になるのですか？ もしあの商会と繋がりなら…イールス様の敵ですか？）

「ジエラムス様、丁度商人経験者が必要でした。 ちょっと賠償金で商会を一軒貰う事になっています。 商会の表の顔になって欲しいです」
イールスが笑顔で説明を始めていると、ジエルが驚いたように聞いている
「しかし、ギゼルナム商会が邪魔します。 敵対したら暗殺や不都合が色々有りますが…何故ですか？」
「ギゼルナム商会からですか？ 気にせず力を貸して下さい。お願いします」
イールスが頭を下げると、シリカローレルが苦笑いしてジエルを見ている
（イールス様の頼みですか？ 引き受けなさい！！ イールス様の実力なら商会なんて簡単に無力化してくれます）
「頭をあげて下さい！！ 何故、そこまでして…」
「その商会は色々問題は有ります。後始末の為に色々調べて欲しいです。騎士達も調査に協力して貰います。 家柄については秘密にしましょう」
イールスが笑顔で説明をしている
「断れませんので…家族の事だけは、安全を確保したい…お願いします」
ジエルが頭を下げている
「シリカローレル様、お願いします。 これで色々後始末出来ます」
イールスが笑顔で言う
「イールス様畏まりました。善処します。 不都合は起きないですか？」
シリカローレルが心配そうに聞く
「国家機密です。 賠償金ですから、怨みも晴らしてあげます」
イールスが笑顔で言う
「怨みも？ 何故？」
「ギゼルナム商会を賠償金代わりに貰いました！！ たっぷり調べて不正を出し尽くして下さいね」
イールスが笑顔で説明をすると、シリカローレルが驚いたようにイールスを見ている
「は？ ギゼルナム商会を…はーーーーーーーー」
ジエルが大声をあげている
「イールス様、嫌味な仕返しですか？」
シリカローレルが苦笑いしている
「調査なら怨みを持つ人がやった方が早いです。 受けてくれて助かりました」
イールスが満面の笑顔でジエルを見ていると、シリカローレルが笑い始める
（イールス様の仕返しですか？国家機密なら、王立学院襲撃事件の関係ですね…嫌味な仕返し凄いです…イールス様のこの仕返しなら、ジエルさんはイールス様に忠誠を誓うでしょう…イールス様の策略は凄すぎます）
「ジエルさん、少し打ち合わせをしておきましょう」
イールスが笑顔でジエルに説明をしながら、ジエルも徐々に質問を始めている

イールスが屋敷に帰ると、ヘルクドールとアーセリオドールが待っている
「ヘルクドール様、アーセリオドール様寄り道をしてしまい、戻るのが遅くなり申し訳ありません」
イールスが丁寧に頭を下げている
「イールス、ギゼルナム商会はどうなるか？」
ヘルクドールとアーセリオドールがイールスを見ている
「賠償金の有効性を確認できました。 王家に強制徴収をして貰います」
イールスが笑顔で説明している
「商会はどうするつもりだ？ 運営は難しいぞ…貴族との繋がりも必要だから、普通の商人では無理だ」
アーセリオドールが少し心配そうにイールスを見ている
「帰りにビーレルバウム男爵家に寄り、打ち合わせしてきました。領地より到着した商人に任せるつもりです」
「ビーレルバウム男爵家の？ 交易商隊の商会の一つか？ 信用は出来るのか？ 裏切られれば大変な事になるぞ」
ヘルクドールがイールスを睨みながら聞く
「元騎士爵家の人ですから、貴族にもなれています。それにギゼルナム商会長の策略により、家は乗っ取られて一族離散になり細々と行商人をしていたみたいです。 怨みの仕返しに調査もしっかりしてくれます。 怨みが有る貴族達は恐れるでしょうけど、そのぐらいの人の方が信用が出来ます」
イールスが笑顔で説明している

「怨みを…怨みを晴らす為に一生懸命になるだろうが…イールス何処で調べた？」
ヘルクドールが苦笑いしている
「情報屋に調べて貰いました。 情報屋も怨みが有るので、古い情報から最近の情報まで集めてくれました」
イールスが笑顔で説明している
「はぁ…イールス、自重と言う言葉は知らないのか？ １人で後始末してくれれば良いが…何でも相談には乗るぞ」
アーセリオドールが苦笑いしながら言う
「アーセリオドール様、ありがとうございます。 早速ディオルバルクさんの事件の情報が欲しいです」
「え？ 今度は何をするつもりだ！！ 自重しないのか？ ディオルバルクを調べてどうするつもりだ！！ 騎士の事件の事を調べるのは、大変な事になるぞ」
アーセリオドールが慌てて叫ぶと、ヘルクドールがアーセリオドールを見て苦笑いしている
（アーセリオドール、相談に乗ると言ったらこうなるぞ！！ イールス容赦無いな…アーセリオドールでは調査は無理だぞ）
「騎士の事件の調査なら…侯爵様に相談してきます」
イールスが笑顔で言う
「イールス、他家に調査をして貰うのか？ イールス貴族の繋がりも勉強して欲しい…自重の意味も知って欲しい」
ヘルクドールがイールスを見ながら言う
「イールス目立つ事をしないでくれ…一様王立学院は待機の指示が出ているのだから…」
アーセリオドールが頭を抱えている
「明日は男爵の釈放ですから、立会に行ってきます」
イールスが笑顔で言うと、ヘルクドールが頭を押さえている
（誰か…イールスに自重の意味を教えてくれ…教育して欲しい…王宮で大問題になっているのだから、少しは自由に動かずにいられないのか？ うるさい貴族もいるのだから…）