異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第167話 ランクスルバウム男爵家の後始末

翌朝、イールスが目を覚ますと、オリフィーネとメサーリアが微笑みながら待っている
「イールス様、おはようございます」
メサーリアが微笑みながらイールスを見ている
「メサーリアおはよう、オリフィーネちゃんおはよう」
イールスがメサーリアを見てから、オリフィーネを見ている
「イールス様おはようございます」
オリフィーネが頭を下げて言うと、メサーリアが微笑みながらオリフィーネを見ている
「オリフィーネちゃん、寂しいかも知れないけど、メサーリアから色々教えて貰ってね」
「はい！ イールス様」
オリフィーネが笑顔でイールスを見ている
「リシリアとも仲良くしてね」
「はい！ 凄く優しいお姉ちゃんです」
オリフィーネが嬉しそうに言う

イールスが馬車に乗り、ビーレルバウム男爵家の屋敷に向かい、侍女の案内で部屋で待っている
「シリカローレル様、本日も美しい姿を拝見できて嬉しく思います」
イールスが入ってきたシリカローレルを見て丁寧に挨拶をしている
「イールス様、御来訪歓迎します。本日も御尊顔を拝謁できて本当に嬉しく思います」
シリカローレルが微笑みながら挨拶をして、部屋の入口から令嬢も入ってくる
「イールス様、本日はお会いできて本当に嬉しく思います。 色々御迷惑ばかりお掛けして申し訳ありません」
令嬢が申し訳なさそうに頭を下げている
「本日は御一緒して貰いたく、お迎えに参りました。 元男爵様が屋敷に戻りますので、最後の後始末を致します」
イールスが笑顔で説明をしている
「え？ 元？ 何が起きたのですか？ まさか！！ 王立学院襲撃事件は…御父様が絡んでいるのですか？」
令嬢の顔が蒼白になっている
「イールス様、何故名前で御呼びしないのですか？」
シリカローレルが疑問そうに呟き、イールスを見ている

「えーと…その」
イールスが苦笑いしているのをシリカローレルが見て苦笑いしている
（イールス様！！ まさか！ 名前を覚えてないのですか！！ 凄く失礼な事です！！）
「イールス様、サビーネリーゼさんを何処にお連れするのですか？」
シリカローレルが令嬢を見てから、イールスを睨んでいる
「ランクスルバウム男爵家に向かいます。後程フィーネリーゼ様も来てくれます」
「え？ 御父様に見付かります！！ どうなるのですか？」
サビーネリーゼが泣きそうになっている
「平民になっているので、文句言えるのでしょうか？ どうなるかな？」
イールスが笑みを浮かべていると、シリカローレルが笑い始める
（トドメを打つのですね…平民と断言したのですから、もう何もされないのですね…後は借金問題だけですか？）
「え！ 平民に？ 何故？ 何が起きているのですか………」
サビーネリーゼは顔面蒼白になり、ふらついている

ランクスルバウム男爵家に到着して馬車を降りると、執事がイールスに挨拶をしている
「お嬢様！！」
侍女が馬車から降りてくる、サビーネリーゼを見て叫ぶ
「お母様は戻られているのですか？」
サビーネリーゼが疲れたように聞く
「大変心配されています。こちらへどうぞ」
侍女が笑顔で言うと、案内で部屋に向かい、しばらくすると女性と男の子が入ってくる

イールスが丁寧に挨拶を終わらせると、ソファーに座り、サビーネリーゼと女性が話し合っている
「イールス様、娘を匿って貰い感謝します。 あの人の事はどうなるのでしょうか？」
女性が不安そうに聞く
「そろそろセーレン様が到着すると思います。 セーレン様からの説明になります」
イールスが女性を見て説明していると、イールスは男の子を見ている

ロイホールと同い年と聞いていたが、中々落ち着いている…ロイホールと仲良くして貰えるかな？

セーレンが到着すると、宮廷魔術師と騎士も一緒に入ってくる
「宮廷魔術師セーレンです。 本日は国王陛下よりの勅命で参りました」
セーレンが女性達を見て言うと、女性達が慌ててその場に座り頭を下げている
「ランクスルバウム男爵は、イールス誘拐監禁未遂、暗殺未遂を指示し実行させた、その罪は疑いようもない、更に王宮宝物庫よりの盗難品を受取りなどの罪により、男爵位没収とする」
宮廷魔術師が書状読み上げていると、女性とサビーネリーゼが震えている
「本来なら家の取り潰しは免れない事だが、被害者の嘆願により、特別にランクスルバウム男爵家は長男ロンドルホークに改めて与える。 精進し王家の為に働くように」
宮廷魔術師が書状を読み終える
「ロンドルホーク、誓いをたてよ」
セーレンが微笑みながら少年を見ていると、女性が慌てて少年に耳打ちしている
「ロンドルホークは王家に忠誠を誓い、王国の繁栄のために働く事を誓います」
少年が自信無さそうに言うと、騎士が書状を少年の前に差し出し、少年が震える手で受け取っている

「セーレン師我々は外で待っています」
宮廷魔術師が言うと、宮廷魔術師と騎士達が部屋を出ていくと、女性とサビーネリーゼが疲れたようにその場に座り込んでいる
「イールス、フィーネリーゼ様の事は国家機密に指定されましたので、イールスの嘆願にしましたよ」
セーレンが微笑みながらイールスを見ている
「有名になりたくないのに…秘密にして欲しかった」
イールスが不機嫌そうに言うと、サビーネリーゼがイールスを見ている
「狙われた本人が許した事で減刑とした方が周囲が納得します。 もう少ししたら、到着しますよ」
セーレンが微笑みながらイールスを見ている

落ち着き、ソファーに座る
「イールス様、本当にありがとうございました」
女性が頭を深々と下げている
「フィーネリーゼ様の為ですから、気にしないで下さい」
イールスが笑顔で言うと、サビーネリーゼがイールスを見詰めている
「イールス様、御姉様の為にですか？ もしかしてイールス様が御姉様を…迎え入れるのですか？」
サビーネリーゼが考えながらイールスを見ていると、女性が慌てている
「フィーネリーゼ様は魔法研究院に新たに新設される、温室薬草栽培研究員になって貰うためです。 助言は必要ですから」
イールスが笑顔で説明をしている
「え！ 御姉様が魔法研究院に入るのですか！！ 凄い出世です」
サビーネリーゼが驚いて叫ぶ
「それでも足りないですね…本当なら爵位もフィーネリーゼ様が受け取る事にするつもりでした。 後世に名を残す研究者になりますね」
セーレンが微笑みながら言う
「え！ 何故ですか！！ 後世に名を残すなんて…」
サビーネリーゼが驚いていると、女性が口を開けて呆然として、ロンドルホークがキョロキョロしている
「当たり前です。この前の薬草は、この国では無い薬草です。 あの薬草や他の薬草が栽培できれば、その栽培方法を確立した人として名を残しますよ…名を残したくない、イールスの所為で余計名を残しそうですが…」
セーレンがイールスを見て呟く
「下賤な身の未熟者ですから早く冒険者になって旅に出たいです」
イールスが笑顔で言う
「イールス様…………」
サビーネリーゼがイールスを見て呆然としている
「本当に誰かイールスに未熟者で無いと言って下さい」
セーレンが呆れたように言うと、女性とロンドルホークがイールスを見ている
（この人は本当は何者でしょう？ 未熟者の意味を解っているのでしょうか？）