異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第211話 セーレンと迷宮へ ５

迷宮を出て屋敷に帰ると、メサリアが待っている
「メサリア様、帰りが遅くなり申し訳ありません」
イールスが丁寧に挨拶をしていると、セーレンが疲れたようにイールスの後ろで見ている
「イールス、先程アリーオから使者が来ましたよ」
メサリアが笑顔で手紙を持っている
「アリーオ様から？ メサリア様、何か問題でも有ったのでしょうか？」
「１日半でイールスの部隊に人を送り込みたいと、人が殺到したそうです。御父様も朝から王宮に呼ばれています」
メサリアが嬉しそうに説明している
「人を増やしたくないですが…」
イールスが考え込んでいる
「王家も認めないの一言で押さえてますが…アリーオの元には、嫌みも多いそうですわ！！ エリーゼちゃんの言葉で結構な騒ぎですね…パーティーでワザワザ王女様贔屓と言って、怒るなんて…エリーゼちゃんも策士でしたわ…王家は追加の出兵の相談で大忙しで朝から会議になってますわ！」
メサリアが満足そうに説明している
「あ！ イールスを翌日姿を隠すなんて…余計な騒ぎに…」
セーレンが失笑していると、アーセリオドールが入ってくる

「イールス帰ってきたか…」
アーセリオドールが苦笑いしている
「アーセリオドール様、本日もお姿を拝見できて嬉しく思います」
イールスが丁寧に挨拶をしている
「挨拶よりも…この騒ぎどうにか出来ないか？」
「この騒ぎとは？」
「イールス軍の結成したいと多くの家から言われているそうだ！ 王太子殿下もバウルトリア師も知らん振り…公爵家も侯爵家も通達通りと言い、それ以上は国王陛下次第と伝えて見て見ぬ振り… 一方出征する各家はイールスの身分に不満の陳情を次々と出して、騒いでいる」
アーセリオドールが苦笑いしながら説明している

「身分？ 伺ってなかったので、仕返しをしたいです！ 本当は断りたいですが…」
イールスがアーセリオドールを見て言う
「セーレン師断れますか？」
アーセリオドールがセーレンを見ている
「無理でしょう…あの場で発表したのですから…バウルトリア師も聞いてなかったので、後で国王陛下に文句を言ったそうですわ」
セーレンが苦笑いして説明している
「国王陛下の独断だったのですか！！」
イールスが驚いて叫ぶ
「バウルトリア師も王太子殿下も知らなかったそうですわ」
「それなら仕返しは…火に油を注げば…」
イールスが笑みを浮かべている
「イールス何もするなよ」
アーセリオドールがイールスの笑みを見て慌てて叫ぶ
「シンシリア様にこの事を伝えて…噂を流して貰うかな？ …」
「イールスが仕返しをしますわ！ 楽しみですのーーーー」
メサリアが満面の笑顔で叫ぶ

「イールス、自重はどうした？ 王家に仕返しなんて止めてくれ！！ メサリアも喜んでいるな！！」
アーセリオドールが慌てて叫び、メサリアを見ている
「イールス、ワザワザ噂を流さなくても…シンシリアならしそうですね…エリーゼマリーナちゃんも怒ってますから…」
セーレンが苦笑いしながら想像している
「噂が拡がるのを待った方が良いですね」
イールスが笑顔でセーレンを見ている
「イールス、後始末どうするつもりだ！！ 手に追えないぞ！！」
「アーセリオドール、イールスは家柄を話してないですから、アーセリオドールも何もせずに見ていれば良いですわ！」
セーレンが考えてから言う
「家柄を… レズムード伯爵家と関係なければ…何もしなくて良いのか？」
アーセリオドールが考えている
「セーレン様、シンシリアに会いに向かいますわ！！ イールスの出征命令の仕返しをしてきますわ」
メサリアが笑顔でセーレンを見ている。アーセリオドールがメサリアを見てから、想像して頭を抱えている
（イールスが動かなくても、ここに噂を広めたい人が居たか… イールスを止めても無駄なのか… 御父様は会議が続きそうだな…）

「セーレン様、迷宮はどうでしたか？ イールスとリシリアは無理してなかったですか？」
アーセリオドールが思い出したように聞く
「え！ ………アーセリオドール！！ イールスに自重と言う言葉を教えなさい！！ 国家機密だらけにしたのは、アーセリオドールの所為です！！ リシリアもイールスの所為でとんでもない実力者になってます！！ しっかりイールスの監視をしなさい！！ 全部アーセリオドールの教育の所為です！！レズムード家はしっかり常識を教えなさい！！ 誰の所為であんなとんでもない魔法を使うようになっているのですか！！ いい加減なんとかしなさーーーーーい………」
セーレンがいきなりキレた様に怒鳴り始めると、アーセリオドールがビビって顔が引き攣っている
（イールス何をしてきたのか？ セーレン様がキレた…相当溜め込んだのか？）

イールスが部屋で寛いでいると、サメーリアが手紙を持ってくる
「イールス様、恋文が来ました」
サメーリアが笑顔で手紙を差し出す
「え！！ 恋文？」
イールスが驚いて差し出された手紙を見ている
「シリカローレン様からの手紙です」
サメーリアが笑顔でイールスの驚いている顔を見ている
「シリカローレン様から？ サメーリア、驚かせないで」
イールスが慌てて言うと、手紙を読み始めている

「サメーリア、商会に行くから、リシリアにも伝えてきて…恋文では無いから」
イールスが笑顔でサメーリアに言う
「イールス様への恋文早く見たいです」
サメーリアが笑顔で言うと、部屋を出ていく
「サメーリア！！」
イールスが驚いたように声をあげている

リシリアと商会に向かい、ジエルの説明を受けながら、完成した物を見ている
「完璧だね…」
イールスが鉄製の馬車を見ながら言う
「荷馬車に無理矢理載せていますが、どちらに運びますか？」
ジエルが笑顔でイールスを見ている
「魔法研究院に運んで…何処かで付与魔法させて貰わないと…他の馬車の部品も全部準備をしないとね」
イールスが笑みを浮かべている
「すぐに運ぶ準備をします」
ジエルが笑顔で言うと、箱が積み上げられている部屋に案内する。イールスが箱から外套を取り出して観察をしている

数日間イールスは商会に通い、付与魔法の準備をして過ごすことにする