異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇

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第271話 クライベルトン子爵家に寄り道 後編

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子爵のいる部屋にノーリス達の案内で戻ってくる
「ノートン!! 大丈夫なのか!!」
子爵が驚いた様に立ち上がり叫ぶ
「治療して貰いましたが… 対価の話が進みません…」
ノートンが苦笑いしている
「対価の話が? まさか!!」
子爵がイールスを見ていると、王国騎士もイールスを見てからケビンを見て目を見開いている
「怪我が治って良かったです」
イールスが笑顔で言う
「お前は、何故ここに?」
ケビンが王国騎士を見て驚いた様にしている
「ケビン大隊長様が何故ここに?」
王国騎士が驚いた様に呟く
「怪我をして、一緒にここまで運ばれたが… 部隊の残り200人ほどいるとは思うが… それよりもこの男頭がおかしいのか?」
ケビンが苦笑いしている
「エリクサーでも使われましたか?」
「は? エリクサーを? 上級ポーションを簡単に使って対価の話がまるで出来てない… ノートン殿にもエリクサーを使っていたみたいだが…」
ケビンが苦笑いしている
「頑張ってゴブリンを殲滅しましょう…イールス様が言われてなかったですか?」
「聞いてないが…」
「ユリアリース王女様の命令が出ていますから、約束をしなくても連合軍になります。 兵士の治療は必要ですよね?」
イールスが笑顔で言う
「ケビン大隊長様、感謝だけで良いそうです。 ゴブリンとの戦いの連合軍として実力を発揮して欲しいとの事です」
王国騎士が言う
「は? 何を簡単に? 何が起きているんだ!!」
ケビンが大声をあげる

王国騎士がこれまでの事を説明を始めて、王家から連合軍の結成とイールスの事を説明している。ノートンとケビンが頭を押さえながら考えている
「にわかに信じられないが、ゴブリンとの戦いは承知した… 常識が無いのは大変だが、周囲がしっかりする事だな…」
ケビンが呟く
「御父様、部隊を再編してすぐに出撃の準備をします」
ノートンが頭を下げて言う
「ノートン無理をするな… 隣接する領主にも伝令を出すが… 何を言ってくるか」
子爵が考え込んでいる
「連合軍に入るのですから、文句は言えません… クライゼント伯爵家が立ち上がれば問題は無いと思います」
イールスが笑顔で説明をしている
「イールス将軍様、クライベルトン子爵家は連合軍に合流します」
子爵が頭を下げている
「感謝します。 それでは遅れを取り戻す為に野営地に戻ります」
「イールス様、もう暗いですから明日の朝戻りましょう… 馬に無理をさせすぎです」
ロイドがイールスを見て言う
「そうか… 明日の朝帰ろうか?」
イールスがロイドを見て言う
「イールス将軍様、部屋を用意させています。 本日はごゆっくりしてください」
子爵が微笑みながら言う

翌朝、イールスが目を覚まして、服を着替えると、侍女の案内で部屋に向かい、子爵とノートンとノーリスと夫人が待っている
「イールス様、ノーリスから事情は伺いましたが、命を助けて貰い感謝していますが… 見ましたか?」
夫人が微笑みながらイールスを睨んでいる
「何の事でしょうか? ゴブリンが上に乗っていたので… ゴブリンの血が臭かったです」
イールスが頭を下げて言うと、夫人が苦笑いする
(見たのを見てないと言うことですか? 責任を取って娘を貰ってくれないのですか?)
「ノートンの治療も感謝します。 エリクサーまで使用して貰い、どんな対価でも支払いましょう」
夫人が微笑みながら言う
「対価など必要ございません、共にゴブリンと戦って貰えて感謝します」
「イールス様に許嫁や婚約者はいないのでしょうか?」
「下賤な身の未熟者の半人前ですが冒険者になりますので、お相手に申し訳無いです」
「は? 冒険者に!! 何故?」
夫人が驚いて目を見開いている

「ノーリスを貰いませんか?」
夫人が微笑みながら言うと、ノーリスが驚いて夫人を見ている。子爵とノートンも驚いて夫人を見ている
(いきなりそのような事を言うとは… 何を考えている? ノーリスの顔まんざらでも無いのか?)
「大変光栄な事ですが、御戯れで言われるのは、ノーリス様に失礼に当たります。 下賤な身の未熟者の半人前にそのような事を言われるとノーリス様の名誉に傷が残ります」
イールスが頭を下げて言う
「中々なれていますね… 家柄も知りたくなりますが、全てはゴブリンとの戦いが終わった後にしましょう」
夫人が微笑みながら言う
(このかわし方、相当なれているでしょう、隣国の情報を集めた方が良いでしょう… 伯爵家に仲立ちをお願いした方が良いでしょうか? どんな人か楽しみですね…)

イールス達は馬を疾走させて、途中ライゼーラ隊と合流してクラウザー達が野営している場所に戻る
「クラウザーさん、明日の朝出発します」
イールスがクラウザーを見て言う
「畏まりました。 ゴブリンの巣が有りましたので潰しておきました」
クラウザーが笑顔で頭を下げている
「ゴブリンの巣? 燃やした方が良いかな?」
「処理済みですが、子爵軍が合流ですか?」
クラウザーが笑顔で説明して、ケビン達を見ている

「ケビン大隊長様が居ましたので合流して貰いました。 クライゼント伯爵家まで案内を頼めます」
イールスが笑顔で言う
「ケビン大隊長!! あの大剣使いの? 」
「有名なのですか?」
「王国でも指折りの使い手です。 義理堅く勇猛な騎士です」
クラウザーが笑顔で説明している
「ならば丸投げ出来ます」
イールスが笑顔で言うと、クラウザーが思い浮かべて頭を押さえている
(丸投げ…イールス様の倒したゴブリンの山を処理するケビン様の姿… それよりも、ここでケビン様が合流されたのは、非常に大きいと思います… 伯爵様にも顔が効く大物です… イールス様は知っていて子爵領に向かったのか? 急に方針を変えたのは… イールス様は何か持っているのか?)

日が暮れると、クラウザーとライゼーラとロイドがケビンとノートンにイールス軍の事で説明をしている
(本当なのか? イールス将軍は本当に人間なのか? 化物と言われた方が納得が出来そうな… それもカシュー団長を子供扱いするほどの兵士が集まっている方がおかしいだろう… やっぱり頭がおかしくなる軍なのか? それに…この者達も相当な手練れと思うが… 戦いになれば解るだろう… 怪我を治療して貰ったからにはゴブリンとの戦いで役にたつ他無いな…)
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