寝てたら若返ってました

77

文字の大きさ
上 下
28 / 47

守るものを見つけた

しおりを挟む
アスター視点



陛下に連れてこられた子供は
無表情で感情が表に出いないか

良く見ると目がおびえているのがわかった

不安なのだろう


シオンは子供嫌いなのか
あからさまな
拒絶の態度を取っている

他のやつらも 子供の相手などしたことがない元冒険者上がりの奴らばかりなので

どうしていいやらとお手上げ状態で
遠巻きに見ているだけだ

白い髪に赤い瞳
見た目は5才くらいの子供

元々は髪も瞳も違う色だったみたいだが
脱色してしまったらしく

無色になった子供は
頼りない瞳で怯えている


小動物大好きな俺のこのみに ドンピシャのど真ん中

「可愛いなぁ~」と声がもれてしまう

怯えてる小動物を懐かせたいという衝動でいっぱいになってると

陛下に子供の面倒をまかせてもらえることになった

よし!

名前を聞くと ひどい呼び名で呼ばれていて
心が痛んだが 

俺が新しく名前を付けてやって
いやっていう程、かわいがってやればいいだけだ
そう思った瞬間

陛下に
『サイ』という名前を先に付けられてしまった

子供は
ポカンととした顔の後
少し ほんの少しだが嬉しそうな顔になったのを見て

その表情を出させるのは俺だったはずだったのにと
先を越されたのが悔しかった

陛下に文句を言いつつ
今後は俺が
もっと 嬉しそうな感情とか
引き出してやろうと 誓う

サイは
魔力が高いので
俺たちと同じ時間を生きることができるだろう

あっという間に歳をとり先に逝っちまうこともなく
ずっと愛情を与えれる存在を見つけたことに
嬉しさを覚えた

ああ、誰かをずっと大切にしたかったんだ
やっと見つけた

陛下はそんな俺を笑ってみていた

シオンは嫌そうな顔をしている

他の奴らは俺の子煩悩の態度をかなり意外そうな顔をして見守っている

シオン以外は
初めて自分たちと
同じ時間を生きれそうな『子供』に戸惑いながら

壊れ物みたいな態度で遠巻きに見守っている

大切には思っているみたいだが
どう扱って良いかわからないようだ




サイは大人しくて言うことを素直に聞く子かと思っていたら

思ったよりもやんちゃで 反抗的だった

陛下に「いやなことは はっきり言っていい 
抵抗してもいい、好きにしてみろ」
そう言われたことから

今までの生活と、違う対応をしてくる俺たちに戸惑い
まずは、全てのことを拒否してきた。
野生動物を慣らしてるみたいだ


スキンシップといえば風呂だろう!と風呂に入れようとすると
風呂に入ったことがないサイは
「入ったことがないから はいらない」そう拒否した
「そうか、サイは風呂入るのが嫌か?」

こくんとうなずいて、

迷った末に
「・・・イヤ」と言ってきた
やっと嫌と言えるようになった 


「そうか、きちっと『いや』って言えてえらいが 
残念ながら 俺はお前と風呂に入りたい」ニヤリと笑うと

「?!」サイが警戒した!

無理やり服を脱がせて 風呂に入れようとすると

攻撃されたと 思ったのか
必死に魔法を使って攻撃してきた

手加減を知らないみたいで

俺じゃなければこの建物すべてを吹き飛ばすくらぃ強力なやつを使ってきてくる

「ホイ、ホイ お前なぁ~ こんな大魔法を、ここで使うかよ、ほらよっと、
たかが 風呂に入るくらいだぞぉ ハハハ」笑いながら
 魔法を全部無効化するとかなりショックの顔をしている

ヨシヨシ、びっくりした顔もかわいいな
いろんな感情を覚えろよ

とっ捕まえて石鹸を泡立てて体中を洗ってやる
石鹸を知らないサイは大暴れをしてる

「ハハハ、体を洗われるのは初めてか?まるで野良ネコだな」

「ヤダ タヤダだ!!」電撃をビリビリ俺に放ってきてるが軽々と電流を絶縁して洗い続けた

「ほら 洗い終わった、100数えたら出てもいいぞ」湯船に放り込むと

「......かず 10までしかわからない」
絶望の顔で俺に言ってきた

数えれないと風呂から出れないと思ったみたいだ

「そうか? じぁ一緒に数えよう」
教えてやると 一生懸命 復唱して数えてきた

おお、必死の顔も可愛いな
俺がニコニコしてると
警戒した顔で離れようとするから
「ホラ、肩まで浸かれ」と抱き寄せた

数え終わった後に
「良く言えたな」と頭をなぜて 笑いかけると

ホットした顔の後に 少し嬉しそうな顔をした

可愛いなぁ~
すべてが可愛い!


体を拭くことも知らなかったので
体をふいてやり 頭を乾かして
俺の布団に連れていって 背中をトントンと叩きながら寝かせた
始めはもがいてたが
「安心しろ ここは安全だ」とやさしく頭をなぜてやると
疲れたのかしばらくしたら眠ってしまった

サイにべったりの毎日は
楽しかった



数ヶ月もたつと
サイも
少しづつ
感情を表すようになった
他の奴には分からないみたいだが
表情は変わっているぞ、口の端が動いてるだろ!
わかるか!と文句を言われたが
貴様らの愛情と努力が足りないんだ!
サイは少し意地っ張りだが
素直でいい子だぞ! もっとよく見てみたらわかるはずだ!
俺は隊長だ! 反論は許さん!


陛下は笑いながら
「サイ、、、いい傾向だな、アスターに懐いたのか 
サイ、

いいか 他のやつらも怖くないからな、

焦る必要はないが 
今のお前は兵器じゃないのだから

色々と経験して 人らしくなって行け」

「.....ん」サイはこくりと頷いてる。





シオンは
「陛下に人としての生活を覚えろといわれてるから、

真似しているだけで

壊れた心はそう簡単には回復しない物だ」と言われたが

少しずつ 進歩してる
普通の寿命だと回復するのに時間が足りないが
俺たちの寿命は無限だ!

数百年、数千年かけば傷跡は残るだろうが回復できる
そう思い

俺はサイを育てるのにのめりこんでいった

サイの身体の崩壊は泉で寝れば
簡単に
回復できると思っていた








あの帝国の討伐は 結果として 帝国の民間人も全滅した




あれだけの大きな国だったのに
帝国での生き残りはサイ一人だった

国内では俺は英雄といわれてるが

他国からは
陽動として前面で戦った俺が
すべてを動かして虐殺したように思われている

敗戦国の民衆を全て虐殺したと
「殺戮のアスター」それが俺の通り名になった

あのとき
種が発芽して 
触手によって死んでしまった者たちを

一気に焔で焼き払ったことで
付けられた通り名


あの時 あそこで 生きていた人は誰もいなかった・・・
だから 哀れで焼き払っただけ




それは誰も知らない





殺伐とした
樹海の魔物の討伐の合間で

子育てというサイとの触れ合いは

俺の疲れてきていた
心を癒してくれた

サイも少しづつ心を開いて
子供らしくなって来ている

可愛い可愛い言うと
ふてくされるようになった
本当にかわいいのに何で文句をいうのか?

楽しいな

子供扱いすると、子供なのに「子供扱いするな!」と真っ赤になって
怒るようになった

ここまでくると隊のやつらも
不器用ながらも
サイにかかわりたかったようで
面白いくらい
「お子様のサイ」と
からい始めた 

そのせいでサイは毎回

プンプンと不機嫌な顔してる



それでも

本人は気に食わない顔をしてるが
やっと 俺以外とかかわり始めてる



シオンは俺の感情の 
のめりこみを危険視して

時々忠告してきたが
放置していた



そんな中
陛下がまだ子供のサイにいきなり討伐の任務を与えた
変異したマンドラゴの討伐

「そろそろ 外を知ってもいいだろう?」
「陛下!まだ10歳でまだ早いです」
「かわいい子には旅をさせろってねね初めてのお使いだよ」
「しかし!・・」「ああ分かった 始めては保護者同伴でお前が見守るつて事ならいいだろ」
「くっ・・分かりました」
「アスターは過保護だな ククク」



しおりを挟む

処理中です...