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202.公私混同って言うけどどっちが無くても生きて行けないんだから混同してこその人生だと思う
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「出勤中の皆様! 本日もお疲れ様でございます!」
駅前で。朝っぱらから、選挙カーの上で手を振る政治家。
「え~、私は怒っております! じきに年度末を迎えるというのに、なぜ○○は○○で、○○なのか!」
テレビでも良く見る大物だから、足を止めて奴の話に耳を傾けている聴衆は、それなりにいるけれど。
大半はシカト。特に若者。政治への関心の無さがうかがいしれる。
「だからこそ必要なのです! 血統種に関する法律の改正が!」
パン!!
退屈な演説が10分を超えたあたりで、突如響いた発砲音。
「きゃあぁ!」
あちこちで上がる悲鳴。議員に覆いかぶさるSP達。なんだなんだと周囲に視線を巡らせる人々……が、数秒後にはスマホで動画の撮影を始めた。
俺が、聴衆の中に潜んでいた狙撃犯を、制圧している事に気付いて。
「ご苦労だったな。仁」
豪勢な椅子に座ったまま、相変わらずの仏頂面で俺を労う、アスカセレスチャルグループ人材派遣部門・防衛事業の常務。つまりは、俺の親父。
「銃弾を素手でキャッチして、即座に犯人を制圧するとは。さすがはSSS。私も鼻が高いよ」
「そーゆーのはいいです。もう帰っていいっすか? 俺も忙しいんで」
「待て待て待て待て! 唯ちゃん元気か!? お前は連絡取ってるんだろう!?」
だだっ広い常務室を去ろうとする俺を、親父は慌てて立ち上がり、呼び止めた。
「だから取ってねぇって。何度も言ってんだろ。今どこに住んでるのかも知らねぇわ」
この前、偶然マンションで会った事は伏せておく。めんどくさくなるから。
嘘はついてないし、構わないだろう。
「本当に!? 口止めされてるだけじゃなくて!?」
俺の元に駆け寄り、子供のように裾を引っ張る親父。
マジで、しつこい。
唯と別れてから、何度同じやりとりをした事か。
「まさか、俺に防衛の助っ人頼んだのも唯の事をきく為じゃねえよな?」
「失礼な! 私がそんな……仕事に私情を挟む人間だと思うか!?」
確かに。昔の親父だったら考えられない。
ベタな話だけど……とにかく厳しくて、仕事第一で。俺の誕生日も授業参観も各種発表会も、来たためしの無い父親だった。
「今回の護衛は大臣たっての要望だったんだ。代表選が近いから……自分はSSSに守られる価値のある政治家だと、アピールしたかったんだろうな。あいにく本社防衛課のSSSは出払っていたから、助かったよ」
攻撃防御に特化した血統種を、警護役として望む要人は多い。
警護、警備員の派遣は、アスカグループ人材派遣部門の主力事業。
クライアントが民間の人間や団体の場合、その依頼は人材派遣部・警備課が、公人や公的機関の場合は防衛課が、それぞれに請け負う決まり。
派遣依頼は本来、然るべきルートを通って申請され、業務内容に応じた能力の血統種が適切に遣わされるべきなのだが。お偉い方々のワガママな要望は、防衛事業トップである親父の元に直で届く。
「まぁ……あのおっさんが目指してる法改正は、支持したかったし」
「そうだな。亜種への迫害が法的に禁止されれば、唯は今よりも生きやすくなるかもしれない。だから反対派の攻撃から、何としても先生をお守りしないと」
「……私情、挟みまくりじゃねぇか」
俺のツッコミに咳払いをする親父。
「まぁ、とにかく。そういう事だから今後も協力してくれ。亜種の保護案に反対してるのは血統種協会の古参達だから、身バレを防ぐ為に襲撃には今後も通常種を使ってくるだろう。本来なら、SSSの出る幕じゃ無いんだが」
「俺はスケジュール調整さえ出来ればいいけど……社長は? 防衛のトップが亜種保護派の議員の肩を持ったりして、噛みついて来ねえの?」
「……来ない。どうやら社長も、亜種保護の為に色々動いてるらしい」
「あ……そっか」
社長にとって亜種は、もう忌むべき混血種じゃない。可愛い息子の、可愛い嫁だ。
「唯の為だけじゃないんだろうけどな。多様化の受け入れが急速に進んでる通常種界と、足並みをそろえる目的もあるのかもしれない。母さんの研究結果があれば、それが叶うから」
「あの保守的な毒親が……多様化の受け入れ……ね」
あまりの変わりように、ビビる。
凛が一輝の頭蓋骨を陥没させた時……一輝を『自分より幼い凛にやられるなんて、一族の恥』と罵り。凛を『弱者に手加減も出来ない者を強者とは言わない』と言って、敷地内の池に沈めていた。
あまりの仕打ちに、子供心に戦慄したものだ。
俺も似たような事をされた経験はあったが、うちの両親は他所の子供にまでは完璧を求めなかったから。
やはり、トップに立つ人間は違う。射程範囲が自分の家庭内に収まらない。
飛鳥一族、アスカに関わる全ての人間に、敗北を許さないのだ。
そう思ったのを、覚えている。
「社長……零香さんも母親だったって事だな。大事な息子が死にかけて、変わったんだろう」
凛から聞いた蓮さんの怪我の件は、両親にも伝えておいた。
じゃないと、間男から唯を取り戻すと息巻く母さんを、止められなかったから。
「……でも、だからこそ、蓮さんの幸せを死守する気でいる。俺達が唯に会わせて貰える事は……生涯無いかもな」
そんな絶望的な憶測を口にすると、親父は膝から崩れ落ちて。
「耐えられない……。じゃあこれからは、雨が降った時誰が傘を持って来てくれるんだ……。誰が美味しいシュークリームを作って、お仕事お疲れ様って笑いかけてくれるんだ……」
「いつの話ししてんだよ」
ため息を吐く俺を、膝立ちの親父がキっと睨みつける。
「仁、お前は本当にこのままでいいのか!? 偽装結婚だったとはいえ、唯は家族! お前にとっても可愛い妹だろう!?」
妹じゃねぇわ。誰よりもエロイ目で見ちゃう異性だわ。
親父も母さんも、一番近くにいたのに、なぜ気付かん。やはり、優秀すぎる人間は人の心の機微に疎いのだろうか。
「そりゃ会いたいとは思うけど、幸せに暮らしてくれてるなら諦めもつくよ。相手が蓮さんなら、間違いないだろうし」
「父さんは無理! 期待していた賀詞交歓会も、うちの家族は出禁にされて……! あんまりだと思わないか!? こっちはサレた側なのに! 仁からもあちら側に働きかけてくれないか!? 当の被害者である仁の頼みなら、無下には出来ないだろうし!」
どの面下げて頼めっつーんだ。俺が唯に何をしたか、蓮さんに話しちゃったし。
親父達は知らないけど、俺は被害者というよりはむしろ加害者なんだから。
「無理だよ。蓮さんがアスカを辞めたのが、俺への慰謝料みたいなもんだから」
「後継者の最有力候補がいなくなったからって、家族としての傷は癒えないだろう!? 社長や蓮さんに言いにくいなら、凛さんに! ほら、お前のアシスタント、凛さんの婚約者だったもんな!?」
おもちゃ屋で、買って買ってと駄々をこねる子供のように、俺の足にすがりつく親父が……情けない。だがそれ以上に、申し訳ない。
俺があんな事をしなければ……親父達まで、シャットアウトされる事はなかっただろうに。あ、いや、あったか。うちの母は社長と犬猿の仲だから。
いくら哀願した所で、敵に塩を送るようなマネは……
「あなた!!!」
なんて事を考えていたら、突然、母が現れた。
観音開きの扉を、ノックもせずに勢いよく開いて。
「どうした? ああ、そうか、今日は午後から本社に来るって今朝」
親父は、至極落ち着いた様子で立ち上がり、鬼のような形相をした妻を迎え入れた。
さすがは防衛トップ。母の気配を察していたのだろうか。
しかし母は、そんな親父の胸ぐらをつかみ、鼻息を一層荒くして。
「届いたのよ! 社長……あの女から! 果たし状が……!!」
「「果たし状!?」」
いつだか土方歳三の話をされた時を想い出させる、時代錯誤な言葉。
俺と親父は、さすがに困惑して……互いに顔を見合わせるのだった。
駅前で。朝っぱらから、選挙カーの上で手を振る政治家。
「え~、私は怒っております! じきに年度末を迎えるというのに、なぜ○○は○○で、○○なのか!」
テレビでも良く見る大物だから、足を止めて奴の話に耳を傾けている聴衆は、それなりにいるけれど。
大半はシカト。特に若者。政治への関心の無さがうかがいしれる。
「だからこそ必要なのです! 血統種に関する法律の改正が!」
パン!!
退屈な演説が10分を超えたあたりで、突如響いた発砲音。
「きゃあぁ!」
あちこちで上がる悲鳴。議員に覆いかぶさるSP達。なんだなんだと周囲に視線を巡らせる人々……が、数秒後にはスマホで動画の撮影を始めた。
俺が、聴衆の中に潜んでいた狙撃犯を、制圧している事に気付いて。
「ご苦労だったな。仁」
豪勢な椅子に座ったまま、相変わらずの仏頂面で俺を労う、アスカセレスチャルグループ人材派遣部門・防衛事業の常務。つまりは、俺の親父。
「銃弾を素手でキャッチして、即座に犯人を制圧するとは。さすがはSSS。私も鼻が高いよ」
「そーゆーのはいいです。もう帰っていいっすか? 俺も忙しいんで」
「待て待て待て待て! 唯ちゃん元気か!? お前は連絡取ってるんだろう!?」
だだっ広い常務室を去ろうとする俺を、親父は慌てて立ち上がり、呼び止めた。
「だから取ってねぇって。何度も言ってんだろ。今どこに住んでるのかも知らねぇわ」
この前、偶然マンションで会った事は伏せておく。めんどくさくなるから。
嘘はついてないし、構わないだろう。
「本当に!? 口止めされてるだけじゃなくて!?」
俺の元に駆け寄り、子供のように裾を引っ張る親父。
マジで、しつこい。
唯と別れてから、何度同じやりとりをした事か。
「まさか、俺に防衛の助っ人頼んだのも唯の事をきく為じゃねえよな?」
「失礼な! 私がそんな……仕事に私情を挟む人間だと思うか!?」
確かに。昔の親父だったら考えられない。
ベタな話だけど……とにかく厳しくて、仕事第一で。俺の誕生日も授業参観も各種発表会も、来たためしの無い父親だった。
「今回の護衛は大臣たっての要望だったんだ。代表選が近いから……自分はSSSに守られる価値のある政治家だと、アピールしたかったんだろうな。あいにく本社防衛課のSSSは出払っていたから、助かったよ」
攻撃防御に特化した血統種を、警護役として望む要人は多い。
警護、警備員の派遣は、アスカグループ人材派遣部門の主力事業。
クライアントが民間の人間や団体の場合、その依頼は人材派遣部・警備課が、公人や公的機関の場合は防衛課が、それぞれに請け負う決まり。
派遣依頼は本来、然るべきルートを通って申請され、業務内容に応じた能力の血統種が適切に遣わされるべきなのだが。お偉い方々のワガママな要望は、防衛事業トップである親父の元に直で届く。
「まぁ……あのおっさんが目指してる法改正は、支持したかったし」
「そうだな。亜種への迫害が法的に禁止されれば、唯は今よりも生きやすくなるかもしれない。だから反対派の攻撃から、何としても先生をお守りしないと」
「……私情、挟みまくりじゃねぇか」
俺のツッコミに咳払いをする親父。
「まぁ、とにかく。そういう事だから今後も協力してくれ。亜種の保護案に反対してるのは血統種協会の古参達だから、身バレを防ぐ為に襲撃には今後も通常種を使ってくるだろう。本来なら、SSSの出る幕じゃ無いんだが」
「俺はスケジュール調整さえ出来ればいいけど……社長は? 防衛のトップが亜種保護派の議員の肩を持ったりして、噛みついて来ねえの?」
「……来ない。どうやら社長も、亜種保護の為に色々動いてるらしい」
「あ……そっか」
社長にとって亜種は、もう忌むべき混血種じゃない。可愛い息子の、可愛い嫁だ。
「唯の為だけじゃないんだろうけどな。多様化の受け入れが急速に進んでる通常種界と、足並みをそろえる目的もあるのかもしれない。母さんの研究結果があれば、それが叶うから」
「あの保守的な毒親が……多様化の受け入れ……ね」
あまりの変わりように、ビビる。
凛が一輝の頭蓋骨を陥没させた時……一輝を『自分より幼い凛にやられるなんて、一族の恥』と罵り。凛を『弱者に手加減も出来ない者を強者とは言わない』と言って、敷地内の池に沈めていた。
あまりの仕打ちに、子供心に戦慄したものだ。
俺も似たような事をされた経験はあったが、うちの両親は他所の子供にまでは完璧を求めなかったから。
やはり、トップに立つ人間は違う。射程範囲が自分の家庭内に収まらない。
飛鳥一族、アスカに関わる全ての人間に、敗北を許さないのだ。
そう思ったのを、覚えている。
「社長……零香さんも母親だったって事だな。大事な息子が死にかけて、変わったんだろう」
凛から聞いた蓮さんの怪我の件は、両親にも伝えておいた。
じゃないと、間男から唯を取り戻すと息巻く母さんを、止められなかったから。
「……でも、だからこそ、蓮さんの幸せを死守する気でいる。俺達が唯に会わせて貰える事は……生涯無いかもな」
そんな絶望的な憶測を口にすると、親父は膝から崩れ落ちて。
「耐えられない……。じゃあこれからは、雨が降った時誰が傘を持って来てくれるんだ……。誰が美味しいシュークリームを作って、お仕事お疲れ様って笑いかけてくれるんだ……」
「いつの話ししてんだよ」
ため息を吐く俺を、膝立ちの親父がキっと睨みつける。
「仁、お前は本当にこのままでいいのか!? 偽装結婚だったとはいえ、唯は家族! お前にとっても可愛い妹だろう!?」
妹じゃねぇわ。誰よりもエロイ目で見ちゃう異性だわ。
親父も母さんも、一番近くにいたのに、なぜ気付かん。やはり、優秀すぎる人間は人の心の機微に疎いのだろうか。
「そりゃ会いたいとは思うけど、幸せに暮らしてくれてるなら諦めもつくよ。相手が蓮さんなら、間違いないだろうし」
「父さんは無理! 期待していた賀詞交歓会も、うちの家族は出禁にされて……! あんまりだと思わないか!? こっちはサレた側なのに! 仁からもあちら側に働きかけてくれないか!? 当の被害者である仁の頼みなら、無下には出来ないだろうし!」
どの面下げて頼めっつーんだ。俺が唯に何をしたか、蓮さんに話しちゃったし。
親父達は知らないけど、俺は被害者というよりはむしろ加害者なんだから。
「無理だよ。蓮さんがアスカを辞めたのが、俺への慰謝料みたいなもんだから」
「後継者の最有力候補がいなくなったからって、家族としての傷は癒えないだろう!? 社長や蓮さんに言いにくいなら、凛さんに! ほら、お前のアシスタント、凛さんの婚約者だったもんな!?」
おもちゃ屋で、買って買ってと駄々をこねる子供のように、俺の足にすがりつく親父が……情けない。だがそれ以上に、申し訳ない。
俺があんな事をしなければ……親父達まで、シャットアウトされる事はなかっただろうに。あ、いや、あったか。うちの母は社長と犬猿の仲だから。
いくら哀願した所で、敵に塩を送るようなマネは……
「あなた!!!」
なんて事を考えていたら、突然、母が現れた。
観音開きの扉を、ノックもせずに勢いよく開いて。
「どうした? ああ、そうか、今日は午後から本社に来るって今朝」
親父は、至極落ち着いた様子で立ち上がり、鬼のような形相をした妻を迎え入れた。
さすがは防衛トップ。母の気配を察していたのだろうか。
しかし母は、そんな親父の胸ぐらをつかみ、鼻息を一層荒くして。
「届いたのよ! 社長……あの女から! 果たし状が……!!」
「「果たし状!?」」
いつだか土方歳三の話をされた時を想い出させる、時代錯誤な言葉。
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