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嘘も方便というかある程度嘘をついて自己防衛しなければ多分人生乗り切れない

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 「ええと、それで……エレナ嬢が狙ったのがあなただったとしても、傷害未遂には変りないわよね? 王族の暗殺ほど厳罰は処されないけれど……どうするつもり? 」

 「あれだけの騒ぎになってしまった以上、犯人をあげない事には収束は見込めないと思います。ですから騎士団長には、俺から虚偽報告をしておこうと」

 「虚偽報告?」

 「犯人は私の非公式な恋人で、陛下との仲を怪しんだ彼女が、嫉妬心ゆえに私に向かって花瓶を投げた。私は責任を取って護衛騎士を辞する。だから彼女の素性と罪は、明らかにしないで欲しい。と」

 俺の提案に、大きな瞳を更に大きく見開いて驚く陛下。
 馬車の中でこの提案をした時のエレナ嬢も、全く同じ顔をしていた。

 「そんな……それでいいの!? あなたにとっては著しく不名誉な解決策じゃない! エレナ嬢の名前は隠し通せたとしても、あなたの事は……いくら隠しても、そういう噂はあっという間に広がるわ! そうしたら家名にも傷が……!」

 「どうせ異動願いを出すつもりでいたのですから、ちょうどよかったのです。それに、私は名誉や家名が傷ついても、痛くもかゆくもありません。愛するあなたが苦しんでいる姿を見る方が、耐えがたい程に苦痛です」

 陛下の小さなお顔を、両手で包み込む。少々大胆かもしれないが、こんな事を出来るのも、きっと今夜が最後だろうから。思い切って。

 「レオナルド……」

 「陛下……最後にもう一つだけ、お願いを聞いていただけませんか」

 徐々に距離を詰める。
 お互いの吐息が、頬にかかる程に。

 「い、いいわ……キス位なら……なんとか……」

 陛下は俺の希望を聞く前に、ぎゅっと目を閉じた。

 「違います。したいのは山々ですが、やはり男にキスするのは抵抗大ですので。そうではなくて……」
 
 『ご紹介下さる従妹君には、一連の事は俺が陛下のお望みをかなえる為に着た、濡れ衣だったと……きちんと説明しておいてください』

 そう耳元で囁いた俺を、陛下は未だかつてない程の呆れ顔で見つめた。
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