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番外編
私の旦那様はもう自重する気がなさそうです
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妊娠が分かって約一年後。私は無事に元気な赤ちゃんを産みました。髪の色は私に似ましたが、瞳の色や顔立ちはエルフィンそっくりな男の子です。
跡継ぎの王子が生まれたことは国を挙げての祝祭となった。───というか、国王陛下が暴走しました。私が産後で安静にしていた間に。お祝いの品が次から次へと届くので、一体どれだけの人に広めたの、二人とも!?と戦慄した。初孫にテンションが上がりまくったのは陛下だけではなく、お父様もだったからだ。それでいいのか、王と宰相補佐。
こういう時、宰相様が諌めるべきだと思うのだけど、どうにもならなかったみたい。臣下一同なんとか冷静になってもらおうと頑張ったそうなのだけど、元々私を溺愛している節のある王家の皆様を止め切ることは不可能だったのでしょう。本当にごめんなさい、ウリギア伯爵。あとでクーシェに胃に優しい薬草茶を調合してもらうので、それで許してください。
ちなみに、生まれた王子の名前は『フィール』と名付けました。私とエルフィンの名前からとったものです。いろいろ候補は浮かんだのだけど、この子にはこの名前がいい、とのエルフィンの一言が決定打となりました。
この子にはと言った辺り、まだまだ子作りするのね、と思った私は悪くないと思う。いえ、家族が増えるのは嬉しいのだけど。
少し間隔を空けて欲しいなぁ~と考えてしまうのはダメかしら─────
それからまた一年経った。
「う~~、ぁう~~~」
「ん?………どうしたの、フィール?」
「始祖竜の血族は、特に精神の成長が早いからな。もう自我が芽生え始めているのだろう」
フィールを抱く私の側で愛おしそうに我が子の頭を優しく撫でながら、エルフィンは驚愕の台詞を投下してくれた。私はぎょっとしてエルフィンを見た。
「生まれてまだ一年なのですが………もう、ですか!?」
「ぁいっ!」
エルフィンに言ったつもりが、まさかのフィールからの返事が返ってきた!恐るべし、始祖竜の血脈………!
そういえばかの竜の血族であるストランディスタ王家の者は、全てにおいて成長が早い、特に精神面はそれが顕著だと以前聞いたわね。
エルフィンは生後半年ほどから既に自身の能力を把握していたそうだし。何度も思うけど……どれだけチートなの、エルフィン。そう考えると、フィールも早いうちから教育を始めたほうがいいのかしら。
それをエルフィンに聞いてみると。
「そうだな………私も教育係がついたのがフィールくらいの歳だった。この子には魔力喰いは受け継がれていないから、怯えられることもない。近い内に教育係を決めても大丈夫だろう」
エルフィンが呟いたその言葉に私は凍りついた。おそらくは無自覚に出たのだろうその言葉に胸が締め付けられるようだった。エルフィンは幼い頃、その特殊技能が制御出来なくて周囲から怯えられていた。陰で『化け物』なんて噂する輩もいたそうだ(ソール談)。今はもうそんなことないけれど、かつての心の傷はふとしたことで蘇ってしまうのだろう。
私はフィールをベビーベッドに寝かせると、エルフィンの後ろに回り込み、ぎゅっと抱き締めた。
「───っ、ユフィ………?」
突然の私の行動にエルフィンが戸惑った様子を見せる。でも、これだけは言わなくちゃ。
「……私は。今も昔も、貴方を怖いなどと思ったことはありませんから。そんか能力があろうとなかろうと、貴方の側にいられることが何よりの幸せですから。式の時誓った言葉に嘘はありません、貴方を心から愛しています。だから、貴方もいつでも私に甘えてくれていい───んッ」
言葉は最後まで続けられなかった。途中でエルフィンの口付けによって遮られたからだ。ちょ………フィールがいるのに………!
そう思ってフィールをちら、と見たのだけど。あの子、いつの間にやら寝入ってる………まさか空気を読んで寝たとか!?いやいや、まさかそんな───フィールが気になり、そちらに意識を向けていると、エルフィンの舌が口内にぬるりと入り込んできた。
「んっ!?………ぁ………ン………ッ!」
「ふ……………ぅん………………はっ、……………今は……今だけは私だけを見ていてくれ───」
そう囁いてエルフィンは再び口付けを再開してきた。この時点で私はもう腰が砕けてしまい、いつの間にやらエルフィンの膝の上に乗せられていた。
曖昧になりつつある意識の片隅で、私はぼんやりある事実が思い浮かんだ。
…………………はっ!そういえば侍女たちは!?フィールのことばかりに意識が向いて忘れていたわ!給仕してくれていた侍女たちはどこ………って彼女たち、いなくなってる!!え、読んだの!?空気を読んで姿を消したの!?さすが王城に勤められるだけ優秀な者たちだわ、と誉めるべきなの!?
あと「フィールは寝ているし………実質二人きりだな……………」って呟いたエルフィンから不穏──もとい、色気が駄々漏れなのはスルーしてもしなくても危険よね!?
その後。さすがに「昼間からはダメです!!」とエルフィンに訴えたところ、なんとか口付けだけでやめてくれた。エルフィンが艶を帯びた妖しい笑みを浮かべていたことに「あ、私詰んだかも」とか思ったけど。
だからなのか。夜はいつも以上に長かった、とだけ言っておきます。なんかもう……彼は自身の欲を抑える気がないとしか思えないわ……。結婚するまで彼がどれほど抑えていたのかを思い知らされました。
それでいて、政務もきっちりこなしているのだから、ホントにチートだわ、私の旦那様は。
愛されているというのはイヤというほど分かるのだけど………嬉しいけど、その内また身籠りそうだと思った。
跡継ぎの王子が生まれたことは国を挙げての祝祭となった。───というか、国王陛下が暴走しました。私が産後で安静にしていた間に。お祝いの品が次から次へと届くので、一体どれだけの人に広めたの、二人とも!?と戦慄した。初孫にテンションが上がりまくったのは陛下だけではなく、お父様もだったからだ。それでいいのか、王と宰相補佐。
こういう時、宰相様が諌めるべきだと思うのだけど、どうにもならなかったみたい。臣下一同なんとか冷静になってもらおうと頑張ったそうなのだけど、元々私を溺愛している節のある王家の皆様を止め切ることは不可能だったのでしょう。本当にごめんなさい、ウリギア伯爵。あとでクーシェに胃に優しい薬草茶を調合してもらうので、それで許してください。
ちなみに、生まれた王子の名前は『フィール』と名付けました。私とエルフィンの名前からとったものです。いろいろ候補は浮かんだのだけど、この子にはこの名前がいい、とのエルフィンの一言が決定打となりました。
この子にはと言った辺り、まだまだ子作りするのね、と思った私は悪くないと思う。いえ、家族が増えるのは嬉しいのだけど。
少し間隔を空けて欲しいなぁ~と考えてしまうのはダメかしら─────
それからまた一年経った。
「う~~、ぁう~~~」
「ん?………どうしたの、フィール?」
「始祖竜の血族は、特に精神の成長が早いからな。もう自我が芽生え始めているのだろう」
フィールを抱く私の側で愛おしそうに我が子の頭を優しく撫でながら、エルフィンは驚愕の台詞を投下してくれた。私はぎょっとしてエルフィンを見た。
「生まれてまだ一年なのですが………もう、ですか!?」
「ぁいっ!」
エルフィンに言ったつもりが、まさかのフィールからの返事が返ってきた!恐るべし、始祖竜の血脈………!
そういえばかの竜の血族であるストランディスタ王家の者は、全てにおいて成長が早い、特に精神面はそれが顕著だと以前聞いたわね。
エルフィンは生後半年ほどから既に自身の能力を把握していたそうだし。何度も思うけど……どれだけチートなの、エルフィン。そう考えると、フィールも早いうちから教育を始めたほうがいいのかしら。
それをエルフィンに聞いてみると。
「そうだな………私も教育係がついたのがフィールくらいの歳だった。この子には魔力喰いは受け継がれていないから、怯えられることもない。近い内に教育係を決めても大丈夫だろう」
エルフィンが呟いたその言葉に私は凍りついた。おそらくは無自覚に出たのだろうその言葉に胸が締め付けられるようだった。エルフィンは幼い頃、その特殊技能が制御出来なくて周囲から怯えられていた。陰で『化け物』なんて噂する輩もいたそうだ(ソール談)。今はもうそんなことないけれど、かつての心の傷はふとしたことで蘇ってしまうのだろう。
私はフィールをベビーベッドに寝かせると、エルフィンの後ろに回り込み、ぎゅっと抱き締めた。
「───っ、ユフィ………?」
突然の私の行動にエルフィンが戸惑った様子を見せる。でも、これだけは言わなくちゃ。
「……私は。今も昔も、貴方を怖いなどと思ったことはありませんから。そんか能力があろうとなかろうと、貴方の側にいられることが何よりの幸せですから。式の時誓った言葉に嘘はありません、貴方を心から愛しています。だから、貴方もいつでも私に甘えてくれていい───んッ」
言葉は最後まで続けられなかった。途中でエルフィンの口付けによって遮られたからだ。ちょ………フィールがいるのに………!
そう思ってフィールをちら、と見たのだけど。あの子、いつの間にやら寝入ってる………まさか空気を読んで寝たとか!?いやいや、まさかそんな───フィールが気になり、そちらに意識を向けていると、エルフィンの舌が口内にぬるりと入り込んできた。
「んっ!?………ぁ………ン………ッ!」
「ふ……………ぅん………………はっ、……………今は……今だけは私だけを見ていてくれ───」
そう囁いてエルフィンは再び口付けを再開してきた。この時点で私はもう腰が砕けてしまい、いつの間にやらエルフィンの膝の上に乗せられていた。
曖昧になりつつある意識の片隅で、私はぼんやりある事実が思い浮かんだ。
…………………はっ!そういえば侍女たちは!?フィールのことばかりに意識が向いて忘れていたわ!給仕してくれていた侍女たちはどこ………って彼女たち、いなくなってる!!え、読んだの!?空気を読んで姿を消したの!?さすが王城に勤められるだけ優秀な者たちだわ、と誉めるべきなの!?
あと「フィールは寝ているし………実質二人きりだな……………」って呟いたエルフィンから不穏──もとい、色気が駄々漏れなのはスルーしてもしなくても危険よね!?
その後。さすがに「昼間からはダメです!!」とエルフィンに訴えたところ、なんとか口付けだけでやめてくれた。エルフィンが艶を帯びた妖しい笑みを浮かべていたことに「あ、私詰んだかも」とか思ったけど。
だからなのか。夜はいつも以上に長かった、とだけ言っておきます。なんかもう……彼は自身の欲を抑える気がないとしか思えないわ……。結婚するまで彼がどれほど抑えていたのかを思い知らされました。
それでいて、政務もきっちりこなしているのだから、ホントにチートだわ、私の旦那様は。
愛されているというのはイヤというほど分かるのだけど………嬉しいけど、その内また身籠りそうだと思った。
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