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第一章 リーチェ編
第二十五話 手が滑った
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まぁそれは、王子様らしくしなければとか考えていたからなぁ。
一応身分のこともあったし、周囲の目もあったから。
一緒に行動するとなると、言葉を伝えるには一番使い慣れた言葉を使う必要がある。
だから乱暴な言葉使いになっていたが、そのほうが好かれるとは。
「キャロライン、あのさ」
「リーチェ様捕まって、私に、イミテさんもリーチェ様に捕まって! 早く乗って行こう!」
「キャロライン、――ッヴァスティを、どう思っている?」
ドラゴンの背にイミテと二人で、キャロラインの後ろから乗りながら尋ねてみる。
今なら素の感情を聴けそうで。
「――ヴァスティ、ですか? ……勝負事をしながらする話ではないので、この勝負が終わってから話しますよ!」
「本当か!? 本当のほんとか?!」
「はい、ですから集中してくださいね! 一緒に勝ちましょう!」
負けられない理由ができると、人は強くなるとよく聴く。
特に小説や物語の世界においての話だと思っていた、けど俺の目の前がリアルなんだから。
ゲームがもとの世界とか関係なしに、勝ちたくなった。
勝ってヴァスティに対して何を思っているのか、聞きたくなった!
「キャロライン、振り落とされるなよ!」
「手綱握ってるのは私ですって!」
*
次はキウイだ、苺は一番手に行くことが出来たが、先にはアッシュ殿下が既にいた。
アッシュ殿下が組んでいる女性に、金色のキウイが出るまで食べさせていた。
結構ひどいことするな、と思いながら、案の定、俺は銀のキウイ指定だった。
「此方の食材は、代表者一人が食してください!」
「なぁなぁ、この食材って無駄にならないのか、大丈夫?」
「ご安心を。皆様のイベントが終わってから街の人々に振る舞われる、貴重な甘味のイベントですので」
兵士の一人にこっそり問いかけるとそんな回答が返ってきたので、ほっとしていた。
「但し、銀の果物などなどは、廃棄確定ですね。リーチェ殿下がこない箇所は」
「ですよねえー!! うっし、キャロラインさがってろ、俺が喰う!」
「う、うん、判った。いつでも出発できるようにするね!」
「随分と――仲良くなったんだね、キャロライン姫、リーチェ殿下と」
アッシュ殿下がキャロラインのほうへ近づき、キャロラインは瞬き驚いた顔をする。
「アッシュ様? どうしたんですか」
「君があまりに他の男と仲良くするから、妬けるんだ」
「……? 私は、殿方と仲良くなってはいけない決まりでもあるのでしょうか?」
銀色のキウイを喰いながらついつい盗み聞きしてしまう。
アッシュ殿下の主張もすげえが、キャロラインの言葉も天然物だ。
アッシュ殿下がやれやれと首をふり、嘆息をついた。
「キャロライン――君はオレの運命の人だと思っていた」
その割には正規ルート入れさせてくれなかったよな?
じ、ともぐもぐ食べながら睨んでいたら、アッシュ殿下が笑いかけてくる。
こちとらそのせいで、俺のルートからヴァスティっていう面倒なルート狙いになったんだからな?!
「リーチェ殿は君には似つかわしくない」
「何がどうして? 貴方が何を言いたいか判らないの私」
「キャロライン――たった一つだよ。伝えたいことは。どうして俺の物にならないんだ?」
「そうですね、体を張って自らこの場でも食べようともしないから? あそこの女の子、泣きそうになりながら食べてますよ」
「ああ、いいんだよ、後で吐けばいいんだし」
「あの子の気持ちは考えないの?」
「君以外はどうとでも――!?」
持っていたキウイを思わず、アッシュ殿下に投げつけた。
一応身分のこともあったし、周囲の目もあったから。
一緒に行動するとなると、言葉を伝えるには一番使い慣れた言葉を使う必要がある。
だから乱暴な言葉使いになっていたが、そのほうが好かれるとは。
「キャロライン、あのさ」
「リーチェ様捕まって、私に、イミテさんもリーチェ様に捕まって! 早く乗って行こう!」
「キャロライン、――ッヴァスティを、どう思っている?」
ドラゴンの背にイミテと二人で、キャロラインの後ろから乗りながら尋ねてみる。
今なら素の感情を聴けそうで。
「――ヴァスティ、ですか? ……勝負事をしながらする話ではないので、この勝負が終わってから話しますよ!」
「本当か!? 本当のほんとか?!」
「はい、ですから集中してくださいね! 一緒に勝ちましょう!」
負けられない理由ができると、人は強くなるとよく聴く。
特に小説や物語の世界においての話だと思っていた、けど俺の目の前がリアルなんだから。
ゲームがもとの世界とか関係なしに、勝ちたくなった。
勝ってヴァスティに対して何を思っているのか、聞きたくなった!
「キャロライン、振り落とされるなよ!」
「手綱握ってるのは私ですって!」
*
次はキウイだ、苺は一番手に行くことが出来たが、先にはアッシュ殿下が既にいた。
アッシュ殿下が組んでいる女性に、金色のキウイが出るまで食べさせていた。
結構ひどいことするな、と思いながら、案の定、俺は銀のキウイ指定だった。
「此方の食材は、代表者一人が食してください!」
「なぁなぁ、この食材って無駄にならないのか、大丈夫?」
「ご安心を。皆様のイベントが終わってから街の人々に振る舞われる、貴重な甘味のイベントですので」
兵士の一人にこっそり問いかけるとそんな回答が返ってきたので、ほっとしていた。
「但し、銀の果物などなどは、廃棄確定ですね。リーチェ殿下がこない箇所は」
「ですよねえー!! うっし、キャロラインさがってろ、俺が喰う!」
「う、うん、判った。いつでも出発できるようにするね!」
「随分と――仲良くなったんだね、キャロライン姫、リーチェ殿下と」
アッシュ殿下がキャロラインのほうへ近づき、キャロラインは瞬き驚いた顔をする。
「アッシュ様? どうしたんですか」
「君があまりに他の男と仲良くするから、妬けるんだ」
「……? 私は、殿方と仲良くなってはいけない決まりでもあるのでしょうか?」
銀色のキウイを喰いながらついつい盗み聞きしてしまう。
アッシュ殿下の主張もすげえが、キャロラインの言葉も天然物だ。
アッシュ殿下がやれやれと首をふり、嘆息をついた。
「キャロライン――君はオレの運命の人だと思っていた」
その割には正規ルート入れさせてくれなかったよな?
じ、ともぐもぐ食べながら睨んでいたら、アッシュ殿下が笑いかけてくる。
こちとらそのせいで、俺のルートからヴァスティっていう面倒なルート狙いになったんだからな?!
「リーチェ殿は君には似つかわしくない」
「何がどうして? 貴方が何を言いたいか判らないの私」
「キャロライン――たった一つだよ。伝えたいことは。どうして俺の物にならないんだ?」
「そうですね、体を張って自らこの場でも食べようともしないから? あそこの女の子、泣きそうになりながら食べてますよ」
「ああ、いいんだよ、後で吐けばいいんだし」
「あの子の気持ちは考えないの?」
「君以外はどうとでも――!?」
持っていたキウイを思わず、アッシュ殿下に投げつけた。
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