異世界転生した攻略キャラから提案ですが姫様隠しキャラ落としませんか?

かぎのえみずる

文字の大きさ
60 / 83
第三章 アレクサンドル編

第五十八話 悪女の演技

しおりを挟む
 ヴァスティは一旦帰ることになり、馬車で帰る姿を見届ける。
 あまり長居すると身体によくないらしい。キャロラインへの告白や話は、また今度となった。
 いっぺんに今夜は色んなコトが起きた、アッシュの部屋に戻り、看病を続けながらやがては眠りについていた。

 アッシュの契約獣である火の鳥が、あたりをうろうろしていたが、俺は笑って「大丈夫だよ」と撫でてやる。あまり熱い炎ではなかった。
 火の鳥は、くるると鳴くと、心配げにアッシュの側に。

 もう朝焼けが見える時間帯で、俺は眠るイミテをその場に置いて、窓辺に姿を寄せる。
 窓辺に紙が置いてあり、日本語で手紙が置いてあった、俺宛てに。

『ヴァスティルート確約おめでとう、前みたいに死にたくなければ早めに復活薬を作っておくことね』

 ……シルビア――チリコからか。ヴァスティも復活薬が必要だという未来が見えていたと言っていたし、早めに習得するしかない。
 オークションの日まで日数もないし、他の五生宝の確認もしておこう。
 時期は絶対被らないはずだが、今回みたいにピュアクリスタル同時狙いだと面倒だなぁ。

 幾日か看病してもアッシュは目覚めず、ついにオークションの日がやってきた。
 ディスタードに看病を任せ、オレとアレク先生、それからキャロラインとイミテで向かうこととなった。

 キャロラインとイミテは今度は、ピンクと水色のバッスルドレスを着ていた。
 女性陣は華やかだけれど、支度が大変そうだ。
 イミテは動きづらそうで、今にも転びそうなので支えてやる。

「イミテ、しっかり歩きなさいよ」
「そうはいってもなお前様、おなごの服はどうしても難しいものである」
「アレク先生、キャロラインのエスコートお願いします、俺はイミテを」
「え……リーチェ、エスコートしてくれないの?」

 キャロラインはぱちぱちと瞬いた後に判った、と頷きしょんぼりしていた。
 既に年老い薬は飲んでるので、大人の哀愁みたいな空気と色気がすごかったが、負けない!
 イミテの腰に手を滑らせ、キャロラインをエスコートしたときと差異を作る。
 差異を見せることで、イミテは特別だと見せつける。
 イミテは名女優なのか、ちらりとキャロラインへ意味ありげに視線を送ってから、俺へ耳打ちする。

「こんなかんじでいいのであろう、悪女というものは」
「大変助かります、イミテつぁん」

 道中の馬車でいちゃつくようにべたべたべたべたしながら、やがて会場につくと、気を引き締めアレク先生に資金を持って貰う。
 会場は白い昔の博物館みたいな場所で、オークションに出すものを事前に展示されているものもあった。
 皆がドレスアップしており、会場につくなり、アレク先生の招待状を確認すれば席へと案内される。飲み物を問われ、皆はコーヒーか紅茶を頼んだ。
 持っていた資金もアレク先生は受付時に、受付の人に預かって貰い、そこからオークションに参加するとき自動的に清算で引かれるみたいだ。
 全部で金貨五百枚はある、結構余裕だと思うんだよなぁってとあるものを見るまでは、思っていた。




 の肖像画が、それもかなりイイ画家さんが書いた肖像画が飾られていた。



 アレク先生はまだ気付いていない、やばいなこれ。
 あの先生が暴走しませんように。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について

あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。 「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」 精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。 それでも生きるしかないリリアは決心する。 誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう! それなのに―…… 「麗しき私の乙女よ」 すっごい美形…。えっ精霊王!? どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!? 森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。

処理中です...