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第十四話 星空に過る緊張の糸は甘く
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「そういえばローズと言えば歌がうまいと、マダムレイティから聞いたのだが」
晩餐の時にアシュがワインを傾けながら妾に問いかけた。
妾は歌と聞いて、嗚呼と心当たりに遭遇した。
昔から適当に歌詞を即興で作ってその場限りで歌う。勿論覚えることもない。
ただメロディはいつも一緒だから。聞く人によっては毎回同じ歌なのだろうと勘違いされる。
「他愛もない歌でしてよ」
「習ったわけではないのか」
「昔、音楽を教養として身につけさせられたけれど。才能がなくて」
「歌はうまいのにか」
「楽譜通りにやろうとすると駄目ねえ、自由にやってって言われるとできちゃうの。先生も楽譜を用意しなくなったわ、いつからか」
「君の家系は芸術方面に理解があるのだねえ」
「そうね、お陰で絵も少し習ったわ。よしなさいって止められることなかった。代わりにお勉強や、花嫁修業を頑張っていたから。まさかこうなるとはおもわなかったけれど」
人生って不思議ね、と笑いかければアシュはこくりと頷き。
にこやかに笑う。
「そういえば聞いてくれよ」
「どうしました?」
「愛しの君にふられてしまってね」
「お気に入りの人?」
「いいや、商売筋の関係だ。私と店外で会うつもりはないと言われてね」
「あら残念」
「君の知り合いにいないか? 金髪の蒼目のかっこいいひと」
「そんなひといたら、とっくにモデルにして本にしてるわ」
アシュの好みがわかったところで、サリスもリーゼルグ先生もロス様も好みじゃないってのが判ったのだけれど、それを乗り越えてのカップリングよね。
サリスがそうだ、髪の毛染めちゃうお話しとかどうかしら。アシュの愛しの君にヤキモチ妬いて。きっといいおはなしになる。
教会の鐘が夕刻なのに鳴る。妄想の影響で、力が漏れて勝手に回復した報せとして鐘をつかうのはやめてほしい。恥ずかしい。
「旦那様はこの先どうなりたいの」
「一回結婚した履歴が欲しいんだ。そのあと何か言われても、妻が好きだったんだでとおるだろう? 妻が忘れられない、そういえば周りは勝手に妄想してくれる」
「あら、じゃあ健気な夫を置いて未来で出て行くことになる妾は悪い女になっちゃいそう」
「もちろん君がこのままこの家にいるっていうのも歓迎だよ」
「恋愛じゃないのに?」
「君とは家族のような仲を感じるし。君の周りはいつも面白い」
刺激的だ、と笑い旦那様は皿を下げて貰い、お茶で一服する。
お茶は東洋の血が混じってる妾を気遣って、東洋の緑茶だ。
「専用の茶器があるなんて面白いな。みてくれ、かわったカップだ」
「湯飲みっていうのよ」
東洋ではそのお茶を大事に毎日飲んでるけれど、一杯でもこの国で飲もうとするととてつもない苦労がいる。
茶器の用意や、茶葉の用意がいちからになるし、他のもので代用できない。
アシュの気遣いが形になり、妾のルーツを知りたい意思が見える気がする。
「相変わらずサンフラワー嬢は諦めないね。訓練時間にやってきて、皆が差し入れにめろめろだ」
「ぬかりないわね」
「断る理由作りとして愛妻弁当を一回作ってくれないか」
「なにがよろしくて? サンドイッチ?」
「そうだな、それと君からのラブレターも頼む。頑張ってとか、一言でもいい」
「本当に大変ね。それをしてもきっとあの子は諦めないと思うけれど」
「おしゃべりじゃなければ、私も事情を話すのはやぶさかではないんだがね」
参ったよ、とお茶を飲み終わればアシュは席を立ち、「それじゃあね」と自室に戻っていった。
自室で仕事の書類が待っている。それでも夕飯を一緒に食べてくれただけでも、有難い。
妾もお茶で一服し、確かに旦那としては優良物件のアシュをおもんばかる。
「想われるのも大変なのね」
*
夜更けに紙にペンを走らせて、物語を考えていた。
マダムレイティとの文通代わりの物語。毎週一通は交換している。
想いを込めて妄想を練り上げてから理想の受けと攻めを考えて、シチュエーションを当てはめた。
今回は騎士団のなかにいる小柄な少年が、可愛がられてお姫様みたいにちやほやされる話しにしましょうと、口元がにやける。
こつん、こつんと窓に何かが当たっている。
何かしらと、立ち上がって窓辺に向かうと、サリスがいた。
ここは二階で、木に登って小石を投げていたサリスが妾と目が合うなりぱああと明るい顔をした。
妾は呆れて窓を開ける。
「なにをなさっているの」
「空が今日、一年に一回の星の落ちる日なんです! お嬢にお知らせしようと思って、ほら、星が流れてる!」
サリスが流れ星を見つけて指を差せば確かにきらりと一筋流れていった。
綺麗さに目を見張って感動していると、サリスがにこーっと笑った。
「お嬢は夜空好きでしょう!? だから教えてあげたかったんです!」
「貴方、それだけのために……? 寒くはない? 入る?」
「いえ、夜更けにレディの部屋に入るなんて、俺はここからでいいです」
「サリス……判ったわ、部屋に入らなくて良い。代わりに、隣の部屋のバルコニーにきなさい。バルコニーなら大丈夫でしょう?」
「へ? 一緒に見てくれるの、お嬢!」
「教えに来てくれた貴方をそのまま放っておくわけにはいかないでしょう。待っていてね、軽くつまむものとお茶も持ってくるわあ」
「やったあ!! お嬢とデートだあ!!」
「勝手に言ってなさい」
妾はけらけら笑いながら、キッチンに向かい、そうっと忍び込んでお茶とクッキーを持っていく。隣の部屋に戻れば、バルコニーにサリスが座り込んでいて。妾も隣に腰がけようとすれば、ひらりとハンカチを敷かれた。
「変に紳士ね」
「そうかな、紳士の域を超えたけれど」
「下手をすれば貴方捕まっていたわよ」
「いてもたってもいられなかったんだ、こんな奇跡みたいな美しい日にお嬢といられたら最高だなあって」
「……ばかね」
妾がお茶を手渡せばサリスの手が重なる。
その間サリスは無言で妾の目を見つめ。
妾は目を丸くし、少しだけ気恥ずかしくなる。
「……何か、言ってよ」
「へへ、すみません」
「空を、みなさいよ」
「空を見るお嬢も見たいんです」
「……ばか、サリスのそういうところ、よくないわ」
「ええ? どうしてですか」
だって貴方はきっと他の女の子にもそんなことしてるんでしょう?
言ってるんでしょう?
男の人の純愛なんて、ホモ以外信じないわ。
だって、妾、誠実な男性をしらないもの。
妾に恋をする人はみんな、愛人になってくれって言ってきた。
妾を愛したのではなくて、妾の見た目や体つきが好きだっただけなの。
サリス、貴方もそうなんでしょう?
「お嬢、手つめたいっすね」
なのに貴方は笑って手を握るの。
妾を気遣うの。心が温かくなっていく。
妾は、この暖かさを受け止めて良いのか大事にしていいのかわからなくて。
居心地が少しだけ悪くて、気恥ずかしくて俯いた。
「お嬢、あっほら、また空流れましたよ!」
「……今、お願い事が、できるなら。貴方は何を願うの?」
「商売繁盛!」
そこで、妾のことを言わないあたり。少しだけ緊張が抜けて、妾は安心して笑えた。
「なら妾も願ってあげる」
晩餐の時にアシュがワインを傾けながら妾に問いかけた。
妾は歌と聞いて、嗚呼と心当たりに遭遇した。
昔から適当に歌詞を即興で作ってその場限りで歌う。勿論覚えることもない。
ただメロディはいつも一緒だから。聞く人によっては毎回同じ歌なのだろうと勘違いされる。
「他愛もない歌でしてよ」
「習ったわけではないのか」
「昔、音楽を教養として身につけさせられたけれど。才能がなくて」
「歌はうまいのにか」
「楽譜通りにやろうとすると駄目ねえ、自由にやってって言われるとできちゃうの。先生も楽譜を用意しなくなったわ、いつからか」
「君の家系は芸術方面に理解があるのだねえ」
「そうね、お陰で絵も少し習ったわ。よしなさいって止められることなかった。代わりにお勉強や、花嫁修業を頑張っていたから。まさかこうなるとはおもわなかったけれど」
人生って不思議ね、と笑いかければアシュはこくりと頷き。
にこやかに笑う。
「そういえば聞いてくれよ」
「どうしました?」
「愛しの君にふられてしまってね」
「お気に入りの人?」
「いいや、商売筋の関係だ。私と店外で会うつもりはないと言われてね」
「あら残念」
「君の知り合いにいないか? 金髪の蒼目のかっこいいひと」
「そんなひといたら、とっくにモデルにして本にしてるわ」
アシュの好みがわかったところで、サリスもリーゼルグ先生もロス様も好みじゃないってのが判ったのだけれど、それを乗り越えてのカップリングよね。
サリスがそうだ、髪の毛染めちゃうお話しとかどうかしら。アシュの愛しの君にヤキモチ妬いて。きっといいおはなしになる。
教会の鐘が夕刻なのに鳴る。妄想の影響で、力が漏れて勝手に回復した報せとして鐘をつかうのはやめてほしい。恥ずかしい。
「旦那様はこの先どうなりたいの」
「一回結婚した履歴が欲しいんだ。そのあと何か言われても、妻が好きだったんだでとおるだろう? 妻が忘れられない、そういえば周りは勝手に妄想してくれる」
「あら、じゃあ健気な夫を置いて未来で出て行くことになる妾は悪い女になっちゃいそう」
「もちろん君がこのままこの家にいるっていうのも歓迎だよ」
「恋愛じゃないのに?」
「君とは家族のような仲を感じるし。君の周りはいつも面白い」
刺激的だ、と笑い旦那様は皿を下げて貰い、お茶で一服する。
お茶は東洋の血が混じってる妾を気遣って、東洋の緑茶だ。
「専用の茶器があるなんて面白いな。みてくれ、かわったカップだ」
「湯飲みっていうのよ」
東洋ではそのお茶を大事に毎日飲んでるけれど、一杯でもこの国で飲もうとするととてつもない苦労がいる。
茶器の用意や、茶葉の用意がいちからになるし、他のもので代用できない。
アシュの気遣いが形になり、妾のルーツを知りたい意思が見える気がする。
「相変わらずサンフラワー嬢は諦めないね。訓練時間にやってきて、皆が差し入れにめろめろだ」
「ぬかりないわね」
「断る理由作りとして愛妻弁当を一回作ってくれないか」
「なにがよろしくて? サンドイッチ?」
「そうだな、それと君からのラブレターも頼む。頑張ってとか、一言でもいい」
「本当に大変ね。それをしてもきっとあの子は諦めないと思うけれど」
「おしゃべりじゃなければ、私も事情を話すのはやぶさかではないんだがね」
参ったよ、とお茶を飲み終わればアシュは席を立ち、「それじゃあね」と自室に戻っていった。
自室で仕事の書類が待っている。それでも夕飯を一緒に食べてくれただけでも、有難い。
妾もお茶で一服し、確かに旦那としては優良物件のアシュをおもんばかる。
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*
夜更けに紙にペンを走らせて、物語を考えていた。
マダムレイティとの文通代わりの物語。毎週一通は交換している。
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今回は騎士団のなかにいる小柄な少年が、可愛がられてお姫様みたいにちやほやされる話しにしましょうと、口元がにやける。
こつん、こつんと窓に何かが当たっている。
何かしらと、立ち上がって窓辺に向かうと、サリスがいた。
ここは二階で、木に登って小石を投げていたサリスが妾と目が合うなりぱああと明るい顔をした。
妾は呆れて窓を開ける。
「なにをなさっているの」
「空が今日、一年に一回の星の落ちる日なんです! お嬢にお知らせしようと思って、ほら、星が流れてる!」
サリスが流れ星を見つけて指を差せば確かにきらりと一筋流れていった。
綺麗さに目を見張って感動していると、サリスがにこーっと笑った。
「お嬢は夜空好きでしょう!? だから教えてあげたかったんです!」
「貴方、それだけのために……? 寒くはない? 入る?」
「いえ、夜更けにレディの部屋に入るなんて、俺はここからでいいです」
「サリス……判ったわ、部屋に入らなくて良い。代わりに、隣の部屋のバルコニーにきなさい。バルコニーなら大丈夫でしょう?」
「へ? 一緒に見てくれるの、お嬢!」
「教えに来てくれた貴方をそのまま放っておくわけにはいかないでしょう。待っていてね、軽くつまむものとお茶も持ってくるわあ」
「やったあ!! お嬢とデートだあ!!」
「勝手に言ってなさい」
妾はけらけら笑いながら、キッチンに向かい、そうっと忍び込んでお茶とクッキーを持っていく。隣の部屋に戻れば、バルコニーにサリスが座り込んでいて。妾も隣に腰がけようとすれば、ひらりとハンカチを敷かれた。
「変に紳士ね」
「そうかな、紳士の域を超えたけれど」
「下手をすれば貴方捕まっていたわよ」
「いてもたってもいられなかったんだ、こんな奇跡みたいな美しい日にお嬢といられたら最高だなあって」
「……ばかね」
妾がお茶を手渡せばサリスの手が重なる。
その間サリスは無言で妾の目を見つめ。
妾は目を丸くし、少しだけ気恥ずかしくなる。
「……何か、言ってよ」
「へへ、すみません」
「空を、みなさいよ」
「空を見るお嬢も見たいんです」
「……ばか、サリスのそういうところ、よくないわ」
「ええ? どうしてですか」
だって貴方はきっと他の女の子にもそんなことしてるんでしょう?
言ってるんでしょう?
男の人の純愛なんて、ホモ以外信じないわ。
だって、妾、誠実な男性をしらないもの。
妾に恋をする人はみんな、愛人になってくれって言ってきた。
妾を愛したのではなくて、妾の見た目や体つきが好きだっただけなの。
サリス、貴方もそうなんでしょう?
「お嬢、手つめたいっすね」
なのに貴方は笑って手を握るの。
妾を気遣うの。心が温かくなっていく。
妾は、この暖かさを受け止めて良いのか大事にしていいのかわからなくて。
居心地が少しだけ悪くて、気恥ずかしくて俯いた。
「お嬢、あっほら、また空流れましたよ!」
「……今、お願い事が、できるなら。貴方は何を願うの?」
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