エンド後勇者、奴隷たちに振られまくる総受け生活

極寒の日々

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5奴隷エルフ

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「さぁさぁどなた様もお立ち合い! こんな美しい物を目にする機会なんて今後ないよ!」

普段祭りなどで使われている広場の中心で男が叫んでいる。
何やらイベントをやっているらしい。
道行く人達が足を止めて声の方を振り返る。

「な、なんだろ」
「蚤の市かなんかですかね?行ってみましょうか」

興味深い客引きの台詞にワクワクで野次馬に加わる。

「たなびくシルバーブロンドに抜けるように白い柔肌! 神秘的なスカイブルーの瞳! この世の美を結集させた集大成!」

叫ぶ男の隣に小さな影があった。
マントのフードを目深く被り両手は縄で拘束されている。

「特殊なルートから仕入れたエルフの奴隷です! 皆様とこの感動を分かち合おうと今回特別に無料でご披露いたします!」

よく通る男の声に思わず後ずさる。

「あ…あ…まずい…」
「どうしたんですか?」

野次馬から半歩下がるとロキから不思議そうに問われる。

「ジョ、ジョフィルから、ど、奴隷を売買する場所への接近は、き、禁止されてるんだ」
「なんで元奴隷の執事から命令なんかされてるんですか」

呆れ顔のロキ。
だってジョフィルは怒ったら怖いし、執事として何かと世話になりっぱなしで頭が上がらないのだから仕方ないではないか。
ちなみにロキの言う通りジョフィルもまた元奴隷であり、それは屋敷では周知の事実だ。
というか今屋敷で働いている人間は俺が買った元奴隷しかいない。
ジョフィルは俺が生まれて初めて買った奴隷で、どこかの貴族のお坊ちゃんだったのに権力争いに負けて奴隷堕ちしたとか。
冷たくもどこか全てを諦めたような寂しげな美貌に惹かれて即購入して即告白するも完全無視。
黙ったまま人形のように動かないジョフィルの世話をしているうちに段々と言葉を話してくれるようになった。
まぁそれも「気持ち悪い」とか「触るな」とか辛辣なものばかりだけど。
ちなみに「触るな」ってのは決して疚しい気持ちでお触りしていたのではなく、動こうとしないジョフィルを風呂や寝室に誘導する為に行ったものだ。
「触るな」と言われて以降は魔法を使いノータッチで動かないジョフィルを完全介護するようになった。
しかしそうなってくるとプライドが許さなかったのか普通に動き始めてしまった。
別に残念とか不届きなことは断じて思っていない。
人間としての活動を再開した彼を祝福し、振られてしまった以上無理強いは出来ないので今後について話し合った。
奴隷から解放するのは当然として好きなところで好きなように生きられるサポートを申しでたが、聞けば解放されたところで帰る場所がないという彼。
ならばとお願いして一人では大きすぎる屋敷の管理を任せることになった。
きちんと雇用契約も結んで給金も話し合って決めている。
そうしてジョフィルを諦めた俺はそれからも同じように奴隷に一目惚れしてはフラれ続けた。

奴隷を屋敷に連れ帰る度にジョフィルに怒られている。
フラれた俺では近づくのも良くないだろうとジョフィルに元奴隷たちの世話を丸投げしているから怒って当然だ。
そのうち独立せずに屋敷で仕事をしてくれる元奴隷たちも増えたが、それを取り仕切るのにジョフィルは余計に忙しそうだ。

だから外出するとなると必ず奴隷を連れて帰らないように念を押されいる。
だというのに約束をまる無視でロキを連れ帰った事でいよいよジョフィルの堪忍袋の緒が空前の灯。
あと1ミリのギリギリを保っているらしく、次回もし奴隷を買ったら家から締め出すと宣言されている。

「見るくらいならいいんじゃないですかね」
「そ、そうかな? い、いや、でも…」

興味はあるものの怒ったジョフィルと天秤に掛けるとジョフィルに軍配が上がる。
そのまま背を向けようとした時だった。

「これは美しい!」
「本当に生きてるの? 作り物じゃないわよね?」
「目の保養になるなぁ」

興奮を抑えきれない様子で盛り上がる周囲。
好奇心の虫が顔を出し天秤の奴隷を見る方の皿にニョロニョロと移り比重がガクンとそちらに傾く。
別に買うつもりなんてこれっぽっちもないのだからロキの言う通り少し見るくらい構わないのではなかろうか。
買わなければバレようがないのだから。
それに奴隷商と思われるあの男が奴隷はエルフと言っていた。
エルフは隠れ里に暮らしており魔王討伐に世界中を飛び回っていた時にも一度も彼らには出会わなかった。
これを逃したらエルフを目にする機会などないかもしれない。
ジョフィルの怒り顔が完全に脳内から消え去った俺は思い切って振り向いた。
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