エンド後勇者、奴隷たちに振られまくる総受け生活

極寒の日々

文字の大きさ
12 / 72

12セイレス

しおりを挟む
―――トントン
「失礼します」

現れたのは先程買った少女と女性。
女性の方はシックな色の落ち着いたドレスを、少女はふんわりとした柔らかい生地の白いドレスを身に纏っている。

「す、す、すご、すごく綺麗です! わ、か、かわ、かわ、可愛いよ」

女性と少女を交互に見て感想を伝える。

「このように高価なお召し物…奴隷の私たちによろしいのでしょうか?」

不安そうな女性に向かいぶんぶんと首を縦に振る。

「お、お、お金なら、たく、沢山あるから。え、遠慮なく生活用品をそろえて。ジョ、ジョフィルに言えば、た、多分用意してくれるよ」
「ええ、なんでもお申しつけくださいお嬢様方」

ジョフィルが一歩前に出て微笑めば女性の頬が染まる。
うんうん、ジョフィルはイケメンだからね。

「あ、あの、あの、お、お名前、ク、クローエさんでしたよね」
「はいご主人様」
「ご、ごしゅ、ご主人様はやめてくれ。お、俺のことは、ま、マサキって呼んでほしい」
「かしこまりました。マサキ様」

穏やかな笑顔で頷くクローエは本当に美しい。
俺がノンケならばもうとっくに恋に落ちていたことだろう。

「そ、それで、えっと、君の名前は?」

エルフの少女の方に問いかけると、少女は海色の瞳でジッとこちらを見つめてくる。
しばらく見つめ合っていると少女が突然こちらに抱きついてきた。

「え、え、え?」

少女の小さな体を受け止めながら戸惑っていると、少女は俺の腹に抱き着いたまま上を見上げて小さく呟く。

「セイレス…」
「え?」
「セイレスって言うの」

自分の名前を教えてくれていることに気付いて顔がにやける。

「そ、そうか。き、綺麗な名前だね。き、君に、ぴ、ぴったりだ」

頭を撫でると猫のように気持ちよさそうに目を細めるセイレス。
美少女の可愛い仕草に思わず悶絶しそうになったがジョフィルの目が冷たいのに気づいて我に返る。
俺は決してロリコンではない。ついでにショタコンでもない。

「セ、セイレスと、ク、クローエさんの隷属のく、首輪を外してしまおう」
「え!?」

クローエさんが驚きの声を上げ、セイレスも目を丸くする。
奴隷商から貰った鍵を取り出し手早く二人の首輪を外していく。
これは主人として登録されている人間にしか使えない鍵で、通常は一度も使用されることなく奴隷は一生を終えることがほとんどらしいが、俺の場合は購入したすべての奴隷の首輪に使用しているので慣れたものだ。

「ど、奴隷の身分から解放してくださるのですか…?」

何も嵌められていない自分の首に手を当てて呆然と呟くクローエさんに頷いてみせる。

「ク、クローエさんには、セ、セイレスの、め、面倒を見て欲しい。も、もちろん、きゅ、給与も休みもあるから。も、も、もし、ここを出て行きたいのなら、せ、せめて、代わりの手伝いの人が見つかるまで、す、少しだけ待っててくれると助かる」
「まさか、そんな…本当によろしいのでしょうか…?」
「も、も、もちろん」

喜びよりも、奴隷から解放された事実をまだ呑み込めていないようで困惑している様子だ。
そんな彼女に力強く頷き見守っていると、腹に衝撃が走る。

「わ、セ、セイレス?」

突如ギュッと腹に抱き着いてきたセイレス。
彼女が顔を上げると美しい海色の瞳に涙を浮かべていた。

「やだ…」
「え?」
「セイ、マサキの奴隷…ずっと一緒にいる…」

胸を撃ち抜かれるとはこのことかと感激の渦が押し寄せる。
こんなに可愛い子がこんなに可愛いことを言ってくれている。
しかもこんなうだつが上がらない俺にだ。
たとえそれが幼い子供の精一杯の生存本能から来るものであっても嬉しくて仕方ない。

「だ、だ、だ、大丈夫! お、お、俺が、セ、セ、セイレスのこと! 絶対、ぜ、ぜ、絶対守るから! さ、寂しい時は、一緒にいる!」

力強く宣言するとセイレスの腕の力が強まった。
そんなセイレスの後頭部を恐るおそるポンポンと叩く。

「私も!私もたとえ奴隷から解放されてもマサキ様のおそばに居たいですわ」
「あ、ありがとう。よ、よろしく、お、お願いします」

セイレスに釣られたのかそんな風に続くクローエさんにお礼を言う。
ふと、ジョフィルと目があったがすぐに視線を反らされてしまった。
あれは機嫌が悪いサインだ。
認めては貰えたもののやはり奴隷二人同時購入はかなり堪忍袋を刺激したのだろう。
爆発させないようしばらくは慎重に接しよう。

しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした

444
BL
『醜い顔…汚らしい』 幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。 だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。 その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話 暴力表現があるところには※をつけております

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。 また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

原作を知らないblゲーに転生したので生きるため必死で媚びを売る

ベポ田
BL
blゲームの、侯爵家に仕える従者に転生してしまった主人公が、最凶のご主人様に虐げられながらも必死に媚を売る話。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

処理中です...