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19見世物
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*ロキ視点
俺の記憶はここまでしか残っていない。
気付いた時には奴隷商に首輪をつけられ鉄の牢に入れられていた。
盗賊に襲われ依頼人たちも冒険者パーティメンバーも俺以外は全滅。
任務失敗のペナルティにより多額の借金を背負わされ、財産没収の上でこうしてギルドに売られたのだと奴隷商に機械的に説明を受ける。
俺は騙されたこと、メンバーは死を偽装して生きていることを必死に伝えたが、そんなエピソードは耳にタコだと一蹴された。
第一どうやってその話が真実だと証明してくれるのだと聞かれて答えが出なかった。
俺には誰も居ない。
鬼籍の両親はもちろん、質の悪い孤児院は常に飯の奪い合いでコミュニケーション能力のない俺はヒエラルキーも最下位。体が頑丈だったおかげで運よく死ななかったが、孤児院の奴らは友ではなく敵だった。
俺が奴隷に堕とされたことを怒ってくれる人間なんかこの世に一人もいない。
奴隷館の入り口から見える外を檻越しにぼんやりと見つめていると、通行人の一人と目が合った。
特出することのないただの中肉中背の冴えない男だ。
一瞬で興味をなくして目を反らしたが、男のほうはこちらをいつまでも凝視していた。
奴隷として買われるのを待つ日々は単調だった。
出てくる飯はいつも同じ無味の大麦粥でとても食べる気がしない。
しかし痩せて見栄えが悪くなれば商品価値が落ちるので残せば奴隷商から鞭を打たれる。
完食するまで見張られるのが鬱陶しく、仕方なく口にするようになった。
食べて寝て糞をして、たまに布で身体を拭く。
それだけの毎日に生きているのか死んでいるのか分からなくなってくる。
有り余る時間にただただ自分を嵌めた元冒険者パーティのことを考えた。
奴らへの憎悪や復讐心は当然あるのだが、そればかりを考えるのは、自由も財産も人間関係も地位もすべて消え去った空っぽな俺にはそれしか残された物がなかったからだ。
あいつらへの報復を考える時だけ、俺は生への実感が持てた。
毎日あの男と目が合った。
今は元仲間たちを100分割に斬り刻む妄想に忙しいというのに一体なんだというのか。
俺の思考を邪魔するように意識にちょくちょく紛れ込む謎の男。
毎日のように奴隷館の前に現れ檻越しの俺を凝視し、入口をくぐろうとする素振りを見せつつ引き返すという謎の行動を繰り返している。
もしや俺の購入を検討しているのだろうか。
冒険者だった俺は戦闘用の奴隷に振り分けられたようなのだが、男はとても冒険者のようには見えない。
もしかしたら商人の息子か何かで護衛でも探しているのかもしれない。
何にせよどうでもいいことだった。
あの男に買われて対魔物の肉の盾として使い潰され死のうが誰も憐れむ人間などいないのだから。
むしろ元仲間たちは手を叩いて笑うかもしれない。
あいつら…いや、この世なんかいっそのこと全て消えちまえばいいんだ。
復讐という黒い思考に耽っているというのに、完全にノイズとなっている男の視線が鬱陶しい日々。
奴隷など珍しくもなんともない。蔑む時間さえも勿体ないどうでもいい存在。
誰もが興味無さそうに飾られた俺を素通りしていく中、男だけがこちらを全力で意識している。
そしてある日、店の中に一歩足を踏み入れた冴えない男。
とうとう行動した謎の男を睨みつけるが、なぜか俺の視線に頬を染めて挙動不審な様子で奴隷商に声を掛けに行った。
こうして俺は冴えない男の奴隷となった。
男が購入の手続きをしている間に風呂で身体を磨かれ最低限の清潔な服を着せられた。
奴隷商には「お前、当たりを引いたな」と笑顔で背中を叩かれたが、こんな冴えない怪しげな男に買われることの何が当たりなのかさっぱり分からなかった。
俺の記憶はここまでしか残っていない。
気付いた時には奴隷商に首輪をつけられ鉄の牢に入れられていた。
盗賊に襲われ依頼人たちも冒険者パーティメンバーも俺以外は全滅。
任務失敗のペナルティにより多額の借金を背負わされ、財産没収の上でこうしてギルドに売られたのだと奴隷商に機械的に説明を受ける。
俺は騙されたこと、メンバーは死を偽装して生きていることを必死に伝えたが、そんなエピソードは耳にタコだと一蹴された。
第一どうやってその話が真実だと証明してくれるのだと聞かれて答えが出なかった。
俺には誰も居ない。
鬼籍の両親はもちろん、質の悪い孤児院は常に飯の奪い合いでコミュニケーション能力のない俺はヒエラルキーも最下位。体が頑丈だったおかげで運よく死ななかったが、孤児院の奴らは友ではなく敵だった。
俺が奴隷に堕とされたことを怒ってくれる人間なんかこの世に一人もいない。
奴隷館の入り口から見える外を檻越しにぼんやりと見つめていると、通行人の一人と目が合った。
特出することのないただの中肉中背の冴えない男だ。
一瞬で興味をなくして目を反らしたが、男のほうはこちらをいつまでも凝視していた。
奴隷として買われるのを待つ日々は単調だった。
出てくる飯はいつも同じ無味の大麦粥でとても食べる気がしない。
しかし痩せて見栄えが悪くなれば商品価値が落ちるので残せば奴隷商から鞭を打たれる。
完食するまで見張られるのが鬱陶しく、仕方なく口にするようになった。
食べて寝て糞をして、たまに布で身体を拭く。
それだけの毎日に生きているのか死んでいるのか分からなくなってくる。
有り余る時間にただただ自分を嵌めた元冒険者パーティのことを考えた。
奴らへの憎悪や復讐心は当然あるのだが、そればかりを考えるのは、自由も財産も人間関係も地位もすべて消え去った空っぽな俺にはそれしか残された物がなかったからだ。
あいつらへの報復を考える時だけ、俺は生への実感が持てた。
毎日あの男と目が合った。
今は元仲間たちを100分割に斬り刻む妄想に忙しいというのに一体なんだというのか。
俺の思考を邪魔するように意識にちょくちょく紛れ込む謎の男。
毎日のように奴隷館の前に現れ檻越しの俺を凝視し、入口をくぐろうとする素振りを見せつつ引き返すという謎の行動を繰り返している。
もしや俺の購入を検討しているのだろうか。
冒険者だった俺は戦闘用の奴隷に振り分けられたようなのだが、男はとても冒険者のようには見えない。
もしかしたら商人の息子か何かで護衛でも探しているのかもしれない。
何にせよどうでもいいことだった。
あの男に買われて対魔物の肉の盾として使い潰され死のうが誰も憐れむ人間などいないのだから。
むしろ元仲間たちは手を叩いて笑うかもしれない。
あいつら…いや、この世なんかいっそのこと全て消えちまえばいいんだ。
復讐という黒い思考に耽っているというのに、完全にノイズとなっている男の視線が鬱陶しい日々。
奴隷など珍しくもなんともない。蔑む時間さえも勿体ないどうでもいい存在。
誰もが興味無さそうに飾られた俺を素通りしていく中、男だけがこちらを全力で意識している。
そしてある日、店の中に一歩足を踏み入れた冴えない男。
とうとう行動した謎の男を睨みつけるが、なぜか俺の視線に頬を染めて挙動不審な様子で奴隷商に声を掛けに行った。
こうして俺は冴えない男の奴隷となった。
男が購入の手続きをしている間に風呂で身体を磨かれ最低限の清潔な服を着せられた。
奴隷商には「お前、当たりを引いたな」と笑顔で背中を叩かれたが、こんな冴えない怪しげな男に買われることの何が当たりなのかさっぱり分からなかった。
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