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18陰謀
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*ロキ視点
気付くと5,6人いた商人たちは全員血の海に沈みこと切れていた。
最後に残ったのは今回の旅の責任者の年嵩の商人。
旅慣れた様子で鍛え上げた俺たちにも引けをとらない貫禄を見せていた彼だが、この事態には狼狽えるほかなく、腰を抜かして血でぬかるんだ地面に座り込んでいる。
そんな彼にリーダーたちはゆっくりと近づく。
「ちっ、火を着けるのは殺し終えてからだって言っただろうが」
苛立たしげな声を発したのはリーダーだ。
「な…な…!?」
年嵩の商人は声も出ないようで、口をパクパクさせて二人を見上げる。
彼の首元に副リーダーが刃を突き付けた。
「悪ぃ悪ぃ。手順間違えた」
隣の副リーダーは普段と変わらぬ軽い口調だったが、その顔は返り血でべっとりと濡れていた。
「お、お、お前ら……こんなことしてただで……」
「あーもううるせぇ!死んどけや」
「ぐ、ぐ、ごぼっ…ぐぼっっ……」
年嵩の商人の喉に突き付けられた刃が深く内部に入り込んでいく。
それを止めようと商人が刃を強く握るが侵入はとまらない。
溢れる血が口からボタボタと吐き出され、気道に空いた穴から血で溺れるような苦しげな音が漏れる。
しばらく白目をむいて痙攣していた商人だったが、そのうち動かなくなった。
口が悪い副リーダーの暴言はいつものことだが、「死ね」という言葉を人間相手に実現させる姿は初めて見た。
衝撃に情けない声を発しそうになるが、喉の筋肉も死んだかのように動かず、結果として叫ばずに済んだ。
「きったねぇなぁクソじじいが!」
副リーダーが死んだ商人の服の袖で彼の返り血を浴びた剣を雑にぬぐう。
商人のだらりと力なく垂れた手の指は、刃を抑えようと抵抗し骨が剥き出しになり、酷い指は辛うじて皮と引っ付いているだけでプラプラと揺れているのが見えた。
あまりのおぞましい惨状に頭の処理が追い付かない。
「これで全員か?」
「いや、まだ一人いるだろ?」
「そうだった。なぁロキ?」
リーダーが普段は絶対にしないニタリといやらしい笑みを浮かべている。
ゆっくりと二人が近づいてくるのを馬鹿みたいに見つめることしか出来ない。
「動けないだろ? 寝ているお前に麻痺の状態異常魔術を掛けたからな」
「ひゃはははは、やっぱ脳筋には状態異常はよく利くな」
間抜けに地面に突っ伏すしか出来ない俺を二人は心底馬鹿にしたように煽る。
「お前みたいな卑しい孤児がフルーラの視界に入るのもおぞましいんだよ」
「なんの後ろ盾もない孤児なら使い勝手が良いと思って引き入れてやったがちょっと調子乗ったな、イケメンくんよぉ」
フルーラの名前を聞いて他のパーティメンバーはどうしたのだろうかと思い至る。
近くに居れば助けを望めるかもしれない。
いくら嫌われていようとこんな凄惨な悪事を見過ごすなんて流石にないだろう。
一筋の望みをかけて周囲を目だけで見渡すが、それらしき人影はどこにもない。
「他の奴らを探しているのならもうここには居ないぞ。馬車の積み荷をもって別の国に移動中だ」
「そうそう。俺たちはじゃんけんに負けてゴミの片付けで居残りさせられてんの」
細い糸を嘲笑うように断ち切る二人の言葉。
言われてみればメンバーの中で麻痺のデバフを掛けられるのは魔術師のフルーラしかいないではないか。
「……な……で……」
疑問ばかりが頭に浮かび、言葉を絞り出そうとしたが到底意味がある音は出ない。
しかしそれでも理解したのかリーダーが笑う。
「お前をハブって行ったカジノでうっかり大負けしちまってさ。裏稼業のやつらに目を付けられて姿を隠さなきゃならなくなったんだ。
だからついでに一芝居打って依頼人の宝を貰ってしまおうって計画だ。お前以外の焼死体をメンバー分用意している。これで借金取りの目も誤魔化せるだろう」
「ああ、安心しろよぉ。お前のことは殺さねぇからさ。ギルドには恩がある。このまま迷惑をかけて逃げるのはしのびねぇからよぉ。お前は生きて俺たちの任務失敗の責任を取ってくれや」
リーダーがゆっくりとこちらに膝をついた。
爽やかな笑顔とは裏腹に振り上げられた拳は固く握られている。
それが自分に振り下ろされるのを俺は黙ってみているほかなかった。
「俺たちはこの金で第二の人生を悠々自適に送るんだ。フルーラと幸せな家庭を築いてみせるよ。お前はせいぜい奴隷生活――楽しみな!」
――バキッ
リーダーの拳は確かに俺を殴りつけたようだが麻痺のおかげで痛みは感じない。
しかししっかりとダメージは入っていたらしく、俺の意識はそこで途切れた。
気付くと5,6人いた商人たちは全員血の海に沈みこと切れていた。
最後に残ったのは今回の旅の責任者の年嵩の商人。
旅慣れた様子で鍛え上げた俺たちにも引けをとらない貫禄を見せていた彼だが、この事態には狼狽えるほかなく、腰を抜かして血でぬかるんだ地面に座り込んでいる。
そんな彼にリーダーたちはゆっくりと近づく。
「ちっ、火を着けるのは殺し終えてからだって言っただろうが」
苛立たしげな声を発したのはリーダーだ。
「な…な…!?」
年嵩の商人は声も出ないようで、口をパクパクさせて二人を見上げる。
彼の首元に副リーダーが刃を突き付けた。
「悪ぃ悪ぃ。手順間違えた」
隣の副リーダーは普段と変わらぬ軽い口調だったが、その顔は返り血でべっとりと濡れていた。
「お、お、お前ら……こんなことしてただで……」
「あーもううるせぇ!死んどけや」
「ぐ、ぐ、ごぼっ…ぐぼっっ……」
年嵩の商人の喉に突き付けられた刃が深く内部に入り込んでいく。
それを止めようと商人が刃を強く握るが侵入はとまらない。
溢れる血が口からボタボタと吐き出され、気道に空いた穴から血で溺れるような苦しげな音が漏れる。
しばらく白目をむいて痙攣していた商人だったが、そのうち動かなくなった。
口が悪い副リーダーの暴言はいつものことだが、「死ね」という言葉を人間相手に実現させる姿は初めて見た。
衝撃に情けない声を発しそうになるが、喉の筋肉も死んだかのように動かず、結果として叫ばずに済んだ。
「きったねぇなぁクソじじいが!」
副リーダーが死んだ商人の服の袖で彼の返り血を浴びた剣を雑にぬぐう。
商人のだらりと力なく垂れた手の指は、刃を抑えようと抵抗し骨が剥き出しになり、酷い指は辛うじて皮と引っ付いているだけでプラプラと揺れているのが見えた。
あまりのおぞましい惨状に頭の処理が追い付かない。
「これで全員か?」
「いや、まだ一人いるだろ?」
「そうだった。なぁロキ?」
リーダーが普段は絶対にしないニタリといやらしい笑みを浮かべている。
ゆっくりと二人が近づいてくるのを馬鹿みたいに見つめることしか出来ない。
「動けないだろ? 寝ているお前に麻痺の状態異常魔術を掛けたからな」
「ひゃはははは、やっぱ脳筋には状態異常はよく利くな」
間抜けに地面に突っ伏すしか出来ない俺を二人は心底馬鹿にしたように煽る。
「お前みたいな卑しい孤児がフルーラの視界に入るのもおぞましいんだよ」
「なんの後ろ盾もない孤児なら使い勝手が良いと思って引き入れてやったがちょっと調子乗ったな、イケメンくんよぉ」
フルーラの名前を聞いて他のパーティメンバーはどうしたのだろうかと思い至る。
近くに居れば助けを望めるかもしれない。
いくら嫌われていようとこんな凄惨な悪事を見過ごすなんて流石にないだろう。
一筋の望みをかけて周囲を目だけで見渡すが、それらしき人影はどこにもない。
「他の奴らを探しているのならもうここには居ないぞ。馬車の積み荷をもって別の国に移動中だ」
「そうそう。俺たちはじゃんけんに負けてゴミの片付けで居残りさせられてんの」
細い糸を嘲笑うように断ち切る二人の言葉。
言われてみればメンバーの中で麻痺のデバフを掛けられるのは魔術師のフルーラしかいないではないか。
「……な……で……」
疑問ばかりが頭に浮かび、言葉を絞り出そうとしたが到底意味がある音は出ない。
しかしそれでも理解したのかリーダーが笑う。
「お前をハブって行ったカジノでうっかり大負けしちまってさ。裏稼業のやつらに目を付けられて姿を隠さなきゃならなくなったんだ。
だからついでに一芝居打って依頼人の宝を貰ってしまおうって計画だ。お前以外の焼死体をメンバー分用意している。これで借金取りの目も誤魔化せるだろう」
「ああ、安心しろよぉ。お前のことは殺さねぇからさ。ギルドには恩がある。このまま迷惑をかけて逃げるのはしのびねぇからよぉ。お前は生きて俺たちの任務失敗の責任を取ってくれや」
リーダーがゆっくりとこちらに膝をついた。
爽やかな笑顔とは裏腹に振り上げられた拳は固く握られている。
それが自分に振り下ろされるのを俺は黙ってみているほかなかった。
「俺たちはこの金で第二の人生を悠々自適に送るんだ。フルーラと幸せな家庭を築いてみせるよ。お前はせいぜい奴隷生活――楽しみな!」
――バキッ
リーダーの拳は確かに俺を殴りつけたようだが麻痺のおかげで痛みは感じない。
しかししっかりとダメージは入っていたらしく、俺の意識はそこで途切れた。
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