エンド後勇者、奴隷たちに振られまくる総受け生活

極寒の日々

文字の大きさ
17 / 72

17裏切り

しおりを挟む
*ロキ視点


数年一緒に苦楽を共にしていた冒険者仲間たちに裏切られ奴隷落ちした。
生まれ育った孤児院から冒険者として独り立ちして、まだ右も左も分からない時にギルドで知り合ったルーキーたち。
同年代ということで自然と一緒に依頼をこなす頻度は増え、無口な俺を明るく受け入れてくれた気のいい連中だと思っていた。
未熟者の集まりは沢山ヘマや失敗もしたが、それでも助け合い笑い合い、良い関係を築けていると信じていた。

関係崩壊のきっかけは冒険者パーティの回復役である魔術師フルーラの告白を断ったことだ。
大きな目を潤ませバラ色に頬を染めて告げられた愛の言葉に心が揺れないと言えば嘘になる。
しかし彼女はリーダーの想い人だ。
幼馴染の二人の恋路を見守る雰囲気になっていたチーム内での今後を考えるとどうしてもフルーラの想いに応える気にはならない。
何より幼い頃に両親を亡くし孤児院育ちの俺は、冒険者として身を立てることに必死で刹那的な肉体関係ならばまだしも、恋や愛に現を抜かしている余裕なんてなかった。
告白を断ってすぐ、フルーラは俺に弄ばれたとリーダーとメンバーの女剣士に泣きついたらしい。
その話は一気にパーティ内に駆け巡り俺に対して他メンバーの態度が冷たくなった。
告白を断っただけで決してフルーラを弄んだつもりはないと弁明したが、わざと気を持たせるような発言をしてたぶらかしたのだろうと逆に詰め寄られる始末。
そのうちメンバーで話し合って決めていた報酬分配が一人だけ明らかに少なくなった。
当然抗議したが、リーダーは白けた目で「お前以外は納得している公平な分配だ」と吐き捨てた。
それどころか「やっぱり孤児は卑しくてがめついな」と他のメンバーに蔑みの言葉を呟かれ、歯を食いしばって俯くしかなかった。

そんなことが続き冒険者パーティを抜けることを本格的に考え始めた時だ。
裕福な商人の護衛の依頼がパーティに指名で入った。
沢山の宝飾品を積んだ馬車の警護だ。
細心の注意は必要だが、平均冒険者ランクA+であるパーティにとっては難しくない仕事のはずだった。

他の街へ移動する道中、森の中で野宿することになった深夜。
交代でしていた見張りの順番が終わり、仲間の近くに居るのは気まずいので馬車から着かず離れずの場所で一人仮眠を取っていた時だ。

「火事だ! 積み荷を守れ!」

森の静寂から突然の怒号が響いた。
その声に飛び起きた俺は瞬時に馬車を確認して帆に火がチリチリと燃え広がるのを目にする。
防炎処理のされた帆はすぐに業火になるということはないが、それでも火の勢いは決して弱くはない。
生憎パーティの中に水魔法を使える者はいない。
商人一行が焦って積み荷を外へ出そうとしているのを手伝おうと腰を上げようとした。

――グラッ
(あれ…?)

緊急事態だというのに視界が揺れて足に力が入らない。
そのまま地面に崩れ落ちてしまった。
酒に酔っていたわけでも体調が優れなかったわけでもない。
しかし不自然なほど力が入らない。
一体何が起こっているのか。
戸惑う間にみるみる全身の筋肉が麻痺したように痺れ始める。
目の前に生えた頑丈そうな雑草を震える手で掴む。
思い通りにならない筋肉を無理やり動かして上半身を起こし、事態を把握すべく周囲を見渡す。

「ぐぁぁぁぁ!!?」

火事の火に照らされた薄暗い空間に悲痛な声が響いた。

「なんだ!?」
「どうした、大丈夫か!? う、うわぁ!?」

また誰かの悲鳴が上がり、その声の主が崩れ落ちる気配がする。
辺りが騒然とする中、一人暗闇に多少耐性のある俺は何が起こっているのか見えていた。
必死で火の手から商品を守ろうとする商人たちを誰かが剣で斬りつけているのだ。
いや、誰かではない。
護衛であるはずのパーティのリーダーとその親友である副リーダーだ。
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした

444
BL
『醜い顔…汚らしい』 幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。 だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。 その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話 暴力表現があるところには※をつけております

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。 また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

原作を知らないblゲーに転生したので生きるため必死で媚びを売る

ベポ田
BL
blゲームの、侯爵家に仕える従者に転生してしまった主人公が、最凶のご主人様に虐げられながらも必死に媚を売る話。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

処理中です...