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45解放
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行っちゃった。
しばらく去った扉を見つめていたが、ジョフィルは戻って来そうにない。
気を取り直して名前をどうするのか考えなければ。
「き、君のご、ご両親からはなんて呼ばれてたんだ?」
「親が居たことはありません」
そうきっぱりと告げられたが単為生殖でもあるまいし多分居ると思うのだが…。
正式な名前はなくとも両親が幼少期に呼んでいた愛称みたいなものがあればと思ったが、とんだ地雷を踏んだかもしれない。
生まれた時から奴隷だったのだから、分かりそうなものなのに俺の馬鹿無神経。
「あーえっと、でも遥か昔、微かに誰かに抱かれて“ぬいぐるみちゃん”って呼ばれていたような? 多分赤ん坊のころの記憶かな…温かくて安心出来て、あれが母親だったのかなって今なら思います」
気まずそうにする俺に気付いた彼は、少し考える素振りをしてそんなことを口にした。
「俺は奴隷館で生まれ育ちました。そこの子供は一塊にされて、まとめて死なない程度に育てられて出荷されます。俺もそうやってなんとか生き延びて今も奴隷としてやっています」
「そ、そっか…」
相槌を打つことしか出来ない。
困っている俺に気付いたのか、彼の方がより困ったように眉を下げた。
「ごめんなさい。奴隷のことなんて気分の悪い話を聞かせて」
「か、顔をあげてくれ」
深々と下げられた頭に声をかける。
「テ、テディ…」
「え?」
「き、君の名前、テディでどうかな?」
「俺…いや、私に名前を授けてくれるのですか?」
目を丸くする彼に笑いかける。
「き、気に入らなければ、あ、後で変えて貰っていいから。と、とりあえずここにいる間の通称ってことで」
「テディ…テディですね。ありがとうございます!こんなに嬉しい施しは初めてです」
本当に嬉しそうに笑うものだから、こんな適当な名付けでよかったのか若干不安が過ぎる。
「俺、ご主人様の為に頑張って働きます!さっきから、なんだか体調も凄くいいんです。死ぬ気で奴隷として勤めます」
「あ、あ。い、いや。テ、テディにはこのまま働いてもらうことは出来ない」
せっかく張り切っているところに悪いが拒否させてもらう。
「え…そんな…」
俺の言い方が悪かったのか途端に絶望の表情になるテディ。
「俺は…殺処分でしょうか…?」
「ち、違う!ち、ち、違うから! た、ただこの家に奴隷は置かないんだ」
「…?」
「つ、つまりテディを奴隷から、か、解放しようと思う」
「……は?」
突然の俺の言葉を飲み込めないようで、テディは呆然とした。
「奴隷から、解放…? え? じゃあ俺は一体どうすれば?」
今まで俺が買ったのは、全員一般人から奴隷落ちした人間ばかりだった。
だから多少戸惑うことはあっても、奴隷身分から解放されること自体はみんな喜んで受け入れたと思う。
間違っても今のテディのように捨てられた子猫のように不安そうではなかった。
「だ、大丈夫だ。せ、生活に慣れるまで、こ、こっちで面倒見るし、は、働き先のサポートもする」
「生活…働く……」
まるで聞いたことのない恐ろしい言葉のように恐々と呟く。
「じゃ、じゃあ奴隷の首輪、は、外すから…」
一歩近づくと、無意識だろうか若干テディの身体が後ろにのけぞる。
「だ、大丈夫。い、痛くないから」
「は、はい…」
テディは俺の言葉に頷いたが、あまりに声がか細い。
なんだか俺が無体を働こうとしている錯覚に陥りそうだ。
怯えるテディの首に手を添えると、そのまま首輪に魔力を流し込んだ。
本来は正式な契約者でないと外せないのだが、こんな簡単な隷属魔法ならば分解は容易い。
あっさりと外れた首輪。
テディは何もついてない首が心許ないとばかりに首元を抑えて呆然としていた。
しばらく去った扉を見つめていたが、ジョフィルは戻って来そうにない。
気を取り直して名前をどうするのか考えなければ。
「き、君のご、ご両親からはなんて呼ばれてたんだ?」
「親が居たことはありません」
そうきっぱりと告げられたが単為生殖でもあるまいし多分居ると思うのだが…。
正式な名前はなくとも両親が幼少期に呼んでいた愛称みたいなものがあればと思ったが、とんだ地雷を踏んだかもしれない。
生まれた時から奴隷だったのだから、分かりそうなものなのに俺の馬鹿無神経。
「あーえっと、でも遥か昔、微かに誰かに抱かれて“ぬいぐるみちゃん”って呼ばれていたような? 多分赤ん坊のころの記憶かな…温かくて安心出来て、あれが母親だったのかなって今なら思います」
気まずそうにする俺に気付いた彼は、少し考える素振りをしてそんなことを口にした。
「俺は奴隷館で生まれ育ちました。そこの子供は一塊にされて、まとめて死なない程度に育てられて出荷されます。俺もそうやってなんとか生き延びて今も奴隷としてやっています」
「そ、そっか…」
相槌を打つことしか出来ない。
困っている俺に気付いたのか、彼の方がより困ったように眉を下げた。
「ごめんなさい。奴隷のことなんて気分の悪い話を聞かせて」
「か、顔をあげてくれ」
深々と下げられた頭に声をかける。
「テ、テディ…」
「え?」
「き、君の名前、テディでどうかな?」
「俺…いや、私に名前を授けてくれるのですか?」
目を丸くする彼に笑いかける。
「き、気に入らなければ、あ、後で変えて貰っていいから。と、とりあえずここにいる間の通称ってことで」
「テディ…テディですね。ありがとうございます!こんなに嬉しい施しは初めてです」
本当に嬉しそうに笑うものだから、こんな適当な名付けでよかったのか若干不安が過ぎる。
「俺、ご主人様の為に頑張って働きます!さっきから、なんだか体調も凄くいいんです。死ぬ気で奴隷として勤めます」
「あ、あ。い、いや。テ、テディにはこのまま働いてもらうことは出来ない」
せっかく張り切っているところに悪いが拒否させてもらう。
「え…そんな…」
俺の言い方が悪かったのか途端に絶望の表情になるテディ。
「俺は…殺処分でしょうか…?」
「ち、違う!ち、ち、違うから! た、ただこの家に奴隷は置かないんだ」
「…?」
「つ、つまりテディを奴隷から、か、解放しようと思う」
「……は?」
突然の俺の言葉を飲み込めないようで、テディは呆然とした。
「奴隷から、解放…? え? じゃあ俺は一体どうすれば?」
今まで俺が買ったのは、全員一般人から奴隷落ちした人間ばかりだった。
だから多少戸惑うことはあっても、奴隷身分から解放されること自体はみんな喜んで受け入れたと思う。
間違っても今のテディのように捨てられた子猫のように不安そうではなかった。
「だ、大丈夫だ。せ、生活に慣れるまで、こ、こっちで面倒見るし、は、働き先のサポートもする」
「生活…働く……」
まるで聞いたことのない恐ろしい言葉のように恐々と呟く。
「じゃ、じゃあ奴隷の首輪、は、外すから…」
一歩近づくと、無意識だろうか若干テディの身体が後ろにのけぞる。
「だ、大丈夫。い、痛くないから」
「は、はい…」
テディは俺の言葉に頷いたが、あまりに声がか細い。
なんだか俺が無体を働こうとしている錯覚に陥りそうだ。
怯えるテディの首に手を添えると、そのまま首輪に魔力を流し込んだ。
本来は正式な契約者でないと外せないのだが、こんな簡単な隷属魔法ならば分解は容易い。
あっさりと外れた首輪。
テディは何もついてない首が心許ないとばかりに首元を抑えて呆然としていた。
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