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72自信満々
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「セ、セイレスに、あ、痣があるのを発見した…こ、心当たりはないか?」
気を引き締めてクローエに切り出す。
「痣…? さぁ、存じ上げませんわ」
キョトンとするクローエに、彼女の犯行を確信する。
あの痣は昨日今日でついたものではない。
万が一別の誰かが犯人だったとしてもクローエが痣の存在を知らないのはおかしい。
「セ、セイレスを、ふ、風呂に入れる君が、し、知らないのは変だ」
俺の指摘にクローエはあからさまにムッとする。
「だったら聞きますけど、この子をお風呂に入れないマサキ様がどうやって痣を見つけたのですか?」
「そ、そ、そ、それは…な、な、なんというかその……」
いかん。
なんか俺の方が疾しい人みたいな反応をしてしまった。
しかしこれは困ったぞ。
これでは俺が変態だって結論に至ってしまう。
この件が解決するなら最悪それでもいいけど…。
「大体前々からおかしいと思っていたのです。セイレスとマサキ様の距離は近過ぎます。マサキ様が気になさるのはセイレスばかり…。さぁ!どうしてセイレスの腿の付け根に痣があるのを知っているのか、話してください!」
「…うう」
なんだか知らないが俺が追い込まれてしまった。
こうなれば仕方ない。
「そ、それは、お、俺が、セ、セイレスの、ス、ス、スカートの中を——」
「ちょっといいか?」
クローエの軽蔑の視線を受け入れようとした時、フェリクスが会話に入ってきた。
「逆になぜクローエは痣の場所が腿の付け根だと知っているんだ?痣の存在は知らないはずだろ?」
「それは…」
フェリクスの一言にクローエが動揺を見せた。
口篭って視線を彷徨かせていたが、しばらくするとキッと俺を見据えた。
「ええ、本当は知っていました。でもマサキ様の私がやったとばかりの物言いに焦ってしまい、咄嗟に知らないふりをしてしまいました」
「なるほど?」
フェリクスの続きを促す相槌に、クローエは目に涙を溜めた。
「痣の秘密を誰にも打ち明けられないでいました。だって痣はいつもマサキ様がセイレスをお昼寝させた後についているのですもの…こんなこと誰にも言えません」
「つまりセイレスの痣はマサキ様がつけたと?」
ジョフィルが問うとクローエは悲しげにこくりと頷く。
「マサキ様にはお世話になりましたから今まで心に留めていましたのに…犯行が露見する前に私に押し付けるなんてひど過ぎます」
堪えられずに涙を流したクローエの姿は同情を誘うほど儚い。
「違う。マサキはそんなことしない。自分の思い通りにいかなくて嫉妬で八つ当たりしたのはクローエでしょ」
きっぱりと言い切るセイレス。
幼い子を矢面に立たせるのが申し訳ない。
落ち込んだ俺を慰めるように、セイレスは子供とは思えない大人っぽい微笑みを向けた。
クローエはそんなセイレスを見て、更に涙を流す。
「ほら、こうして子供を完全に洗脳しています。多分マサキ様は小児性愛者で加虐趣味をお持ちなのかと…」
「「それはない」」
フェリクスとジョフィルの声がハモった。
そんな二人に怯まずクローエはジョフィルに濡れた瞳を向ける。
「ジョフィルさんもいつもセイレスとの接し方を注意されていたではありませんか。二人があやしい関係だと勘づいていたからですよね? 恩人が変態だなんて信じたくない気持ちは分かりますが、一緒に勇気を出して声をあげませんか? 今こそマサキ様…いえ、勇者に立ち向かうべきです」
勇者という単語を出したのは脅しのつもりだろうか。
クローエの説得にジョフィルがため息を吐く。
「私がマサキ様に注意をしていたのは、こうしてつまらない輩に隙を見せることになるからですよ。分かりましたかマサキ様?」
何故か俺がジョフィルに睨まれてしまった。
「ジョフィルさん、勇者が怖いのですか? 大丈夫、私にはフェリクス様がついております」
フェリクスはつい今し方クローエの言葉を否定したと思ったが、なぜそちら側に引き込めると考えるのか。
「フェリクス様…どうか私の言葉を信じて下さい。この屋敷のみんな、マサキ様を恐れております。助けてください」
うるうると上目遣いでフェリクスを見つめるクローエ。
俺は馬鹿にされていることはあっても恐れられてはいないと思うけどな…。
それにフェリクスは婚約者がいるようだし、そんな分かりやすい色仕掛けが通用するほど単純じゃない。
「被害者であるこの子が、やったのは君だと言っている。とても洗脳されているようには見えない。悪いが君の言い分はおかしい」
フェリクスにキッパリと突きつけられて固まるクローエ。
「で、でも…わ、私こそマサキ様に襲われたのです!私こそが被害者です!私の美貌に目が眩んだマサキ様は無理やり私を襲って——」
「見苦しいですよ、クローエ」
ジョフィルが必死なクローエの言葉を遮る。
「何を言い出すかと思えばなんと愚かな…マサキ様が愛しているのはこの私です」
胸に手を当てきっぱりハッキリ言い切るジョフィル。
「そりゃあ多情な方なので多くの男に目移りしますが、結局一番に求めているのは私です。小娘達なんかを襲うものですか」
フンと大きく吐き出される鼻息。
堂々と胸を張るジョフィルは何故か誇らしげだった。
何かリアクションをしようと思ったが、なんと言えばいいのか分からず結局黙っていた。
ただセイレスは「ほらね」と呆れた呟きを溢した。
気を引き締めてクローエに切り出す。
「痣…? さぁ、存じ上げませんわ」
キョトンとするクローエに、彼女の犯行を確信する。
あの痣は昨日今日でついたものではない。
万が一別の誰かが犯人だったとしてもクローエが痣の存在を知らないのはおかしい。
「セ、セイレスを、ふ、風呂に入れる君が、し、知らないのは変だ」
俺の指摘にクローエはあからさまにムッとする。
「だったら聞きますけど、この子をお風呂に入れないマサキ様がどうやって痣を見つけたのですか?」
「そ、そ、そ、それは…な、な、なんというかその……」
いかん。
なんか俺の方が疾しい人みたいな反応をしてしまった。
しかしこれは困ったぞ。
これでは俺が変態だって結論に至ってしまう。
この件が解決するなら最悪それでもいいけど…。
「大体前々からおかしいと思っていたのです。セイレスとマサキ様の距離は近過ぎます。マサキ様が気になさるのはセイレスばかり…。さぁ!どうしてセイレスの腿の付け根に痣があるのを知っているのか、話してください!」
「…うう」
なんだか知らないが俺が追い込まれてしまった。
こうなれば仕方ない。
「そ、それは、お、俺が、セ、セイレスの、ス、ス、スカートの中を——」
「ちょっといいか?」
クローエの軽蔑の視線を受け入れようとした時、フェリクスが会話に入ってきた。
「逆になぜクローエは痣の場所が腿の付け根だと知っているんだ?痣の存在は知らないはずだろ?」
「それは…」
フェリクスの一言にクローエが動揺を見せた。
口篭って視線を彷徨かせていたが、しばらくするとキッと俺を見据えた。
「ええ、本当は知っていました。でもマサキ様の私がやったとばかりの物言いに焦ってしまい、咄嗟に知らないふりをしてしまいました」
「なるほど?」
フェリクスの続きを促す相槌に、クローエは目に涙を溜めた。
「痣の秘密を誰にも打ち明けられないでいました。だって痣はいつもマサキ様がセイレスをお昼寝させた後についているのですもの…こんなこと誰にも言えません」
「つまりセイレスの痣はマサキ様がつけたと?」
ジョフィルが問うとクローエは悲しげにこくりと頷く。
「マサキ様にはお世話になりましたから今まで心に留めていましたのに…犯行が露見する前に私に押し付けるなんてひど過ぎます」
堪えられずに涙を流したクローエの姿は同情を誘うほど儚い。
「違う。マサキはそんなことしない。自分の思い通りにいかなくて嫉妬で八つ当たりしたのはクローエでしょ」
きっぱりと言い切るセイレス。
幼い子を矢面に立たせるのが申し訳ない。
落ち込んだ俺を慰めるように、セイレスは子供とは思えない大人っぽい微笑みを向けた。
クローエはそんなセイレスを見て、更に涙を流す。
「ほら、こうして子供を完全に洗脳しています。多分マサキ様は小児性愛者で加虐趣味をお持ちなのかと…」
「「それはない」」
フェリクスとジョフィルの声がハモった。
そんな二人に怯まずクローエはジョフィルに濡れた瞳を向ける。
「ジョフィルさんもいつもセイレスとの接し方を注意されていたではありませんか。二人があやしい関係だと勘づいていたからですよね? 恩人が変態だなんて信じたくない気持ちは分かりますが、一緒に勇気を出して声をあげませんか? 今こそマサキ様…いえ、勇者に立ち向かうべきです」
勇者という単語を出したのは脅しのつもりだろうか。
クローエの説得にジョフィルがため息を吐く。
「私がマサキ様に注意をしていたのは、こうしてつまらない輩に隙を見せることになるからですよ。分かりましたかマサキ様?」
何故か俺がジョフィルに睨まれてしまった。
「ジョフィルさん、勇者が怖いのですか? 大丈夫、私にはフェリクス様がついております」
フェリクスはつい今し方クローエの言葉を否定したと思ったが、なぜそちら側に引き込めると考えるのか。
「フェリクス様…どうか私の言葉を信じて下さい。この屋敷のみんな、マサキ様を恐れております。助けてください」
うるうると上目遣いでフェリクスを見つめるクローエ。
俺は馬鹿にされていることはあっても恐れられてはいないと思うけどな…。
それにフェリクスは婚約者がいるようだし、そんな分かりやすい色仕掛けが通用するほど単純じゃない。
「被害者であるこの子が、やったのは君だと言っている。とても洗脳されているようには見えない。悪いが君の言い分はおかしい」
フェリクスにキッパリと突きつけられて固まるクローエ。
「で、でも…わ、私こそマサキ様に襲われたのです!私こそが被害者です!私の美貌に目が眩んだマサキ様は無理やり私を襲って——」
「見苦しいですよ、クローエ」
ジョフィルが必死なクローエの言葉を遮る。
「何を言い出すかと思えばなんと愚かな…マサキ様が愛しているのはこの私です」
胸に手を当てきっぱりハッキリ言い切るジョフィル。
「そりゃあ多情な方なので多くの男に目移りしますが、結局一番に求めているのは私です。小娘達なんかを襲うものですか」
フンと大きく吐き出される鼻息。
堂々と胸を張るジョフィルは何故か誇らしげだった。
何かリアクションをしようと思ったが、なんと言えばいいのか分からず結局黙っていた。
ただセイレスは「ほらね」と呆れた呟きを溢した。
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コメントありがとうございます。
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コメントありがとうございます。
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