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2.輪廻転生
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結論から言うと、夢のような現実がそこにはあった。
もう一度目を覚ますと、背筋を伸ばし燕尾服を着た五十半ばの理知的な男性が側に駆け寄ってゆっくりと俺の身体を起こした。メイド服の若い女性も少し距離を開けて心配そうにこちらを窺っている。
自分が臥せっていた無駄に大きいクイーンサイズのベッドが置かれても十分なほど空間にゆとりのある部屋。高く白い天井には見たこともない立体的なひし形の巨大な照明。壁を大きくくり抜いた窓の先にはこれまた見たこともない、椿のような形の黄色い花が咲き乱れる木々が並んでいた。
取り敢えず思考は停止したままなので、夢の中という可能性を持ったまま、この部屋にいる彼らのされるがままになったわけだが・・・。
「誰だこれ」
視界に映る自分の身体を見た時からおかしいとは思っていた。小さい。明らかに小さいのだ。
身体を丁寧に拭かれた後、浴衣のような病衣を着せられ、もう歩けるからトイレに行かせてくれと頼み、病院にしては豪奢でペルシャ絨毯にありそうなワインレッド地の万華鏡のような複雑な模様のカーペットが敷かれた長い廊下を執事にしか見えない男に入口まで付き添ってもらい、入った便所(便所と表現して良いのか分からないほど広いが)の洗面台の鏡を見て愕然とする。その鏡でさえも金縁で横幅は大人一人分はあるだろう、経費の無駄でしかないような豪華なものだったが。
翠色の瞳にブロンドのショートヘア。ゲームの中でしか見ないだろうバランスの取れた輪郭にすらりと伸びる白い首筋。小さいが上向きで整った鼻梁。誰もが美少年と讃えるだろう、完璧な顔にまさかこれが自分にくっついているなど受け入れられるわけがない。その顎を撫でてボソリ呟く。
「観賞用には良い顔かも知れねぇけど、野生みのある元の男前な面の方が良かったな・・・まぁ夢ならどうでもいいか。」
その後、自分の様子を見にきた人達との会話で夢の中の設定が少しずつ分かってきた。
この美少年の名は【ランバート】らしい。あのぼっちゃん連呼の執事からは引き出せなかったが、ポニーテールの可愛いメイドが「ランバート様」とこちらを見て呼んだので確定した。そしてランバートには、どちらかと言うとそっちの顔が良かったな、と思う意志の強そうな太い眉が特徴の【ツェンリー兄様】がいる。自分の推定年齢を六~七歳とすると、おそらく三つ上くらいだろう。とてもしっかりした兄様のようでこの家は将来安泰だな。まぁ夢だから将来まで見れるわけないか。俺はいつになったら本当の意味で目が覚めるんだろうか?
「ぼっちゃま。ぼっちゃまは剣技練習の最中に目眩を起こして倒れられたのです。その時、頭を強く打ってしまわれたのでしょう。時折、どこか遠くを見るように茫然とされておりますので心配です。明日までゆっくり休んでいただきたいですが、入学式を控えて楽しみにされていたぼっちゃまを思うと、何とも…。シエル様がもうすぐ来られますので、明日のことをよくよく話し合われてくださいませ。」
入学式?
そういえばツェンリー兄様も「始まる学園生活に浮かれて最近眠れてなかったんじゃないか?気持ちは分かるがこれからは毎日しっかり寝ないと身が持たないぞ。」と言ってたっけ。へぇ、俺、小学校からやり直すの?
そして執事ことウェイトン(兄様がそう呼んでいたので)の言った通り、暫くして【シエル様】がやってきた。顔を合わせてすぐ腕の中に閉じ込められ、安堵の息と共に優しく頭を撫でられたので、おそらく目の前の自分にそっくりな美女はランバートの母親だろう。
夢ならいっそのこと楽しみたいじゃないか。明日はどうしましょうかと母親に聞かれたが即答で学校へ行くと宣言した。
もう一度目を覚ますと、背筋を伸ばし燕尾服を着た五十半ばの理知的な男性が側に駆け寄ってゆっくりと俺の身体を起こした。メイド服の若い女性も少し距離を開けて心配そうにこちらを窺っている。
自分が臥せっていた無駄に大きいクイーンサイズのベッドが置かれても十分なほど空間にゆとりのある部屋。高く白い天井には見たこともない立体的なひし形の巨大な照明。壁を大きくくり抜いた窓の先にはこれまた見たこともない、椿のような形の黄色い花が咲き乱れる木々が並んでいた。
取り敢えず思考は停止したままなので、夢の中という可能性を持ったまま、この部屋にいる彼らのされるがままになったわけだが・・・。
「誰だこれ」
視界に映る自分の身体を見た時からおかしいとは思っていた。小さい。明らかに小さいのだ。
身体を丁寧に拭かれた後、浴衣のような病衣を着せられ、もう歩けるからトイレに行かせてくれと頼み、病院にしては豪奢でペルシャ絨毯にありそうなワインレッド地の万華鏡のような複雑な模様のカーペットが敷かれた長い廊下を執事にしか見えない男に入口まで付き添ってもらい、入った便所(便所と表現して良いのか分からないほど広いが)の洗面台の鏡を見て愕然とする。その鏡でさえも金縁で横幅は大人一人分はあるだろう、経費の無駄でしかないような豪華なものだったが。
翠色の瞳にブロンドのショートヘア。ゲームの中でしか見ないだろうバランスの取れた輪郭にすらりと伸びる白い首筋。小さいが上向きで整った鼻梁。誰もが美少年と讃えるだろう、完璧な顔にまさかこれが自分にくっついているなど受け入れられるわけがない。その顎を撫でてボソリ呟く。
「観賞用には良い顔かも知れねぇけど、野生みのある元の男前な面の方が良かったな・・・まぁ夢ならどうでもいいか。」
その後、自分の様子を見にきた人達との会話で夢の中の設定が少しずつ分かってきた。
この美少年の名は【ランバート】らしい。あのぼっちゃん連呼の執事からは引き出せなかったが、ポニーテールの可愛いメイドが「ランバート様」とこちらを見て呼んだので確定した。そしてランバートには、どちらかと言うとそっちの顔が良かったな、と思う意志の強そうな太い眉が特徴の【ツェンリー兄様】がいる。自分の推定年齢を六~七歳とすると、おそらく三つ上くらいだろう。とてもしっかりした兄様のようでこの家は将来安泰だな。まぁ夢だから将来まで見れるわけないか。俺はいつになったら本当の意味で目が覚めるんだろうか?
「ぼっちゃま。ぼっちゃまは剣技練習の最中に目眩を起こして倒れられたのです。その時、頭を強く打ってしまわれたのでしょう。時折、どこか遠くを見るように茫然とされておりますので心配です。明日までゆっくり休んでいただきたいですが、入学式を控えて楽しみにされていたぼっちゃまを思うと、何とも…。シエル様がもうすぐ来られますので、明日のことをよくよく話し合われてくださいませ。」
入学式?
そういえばツェンリー兄様も「始まる学園生活に浮かれて最近眠れてなかったんじゃないか?気持ちは分かるがこれからは毎日しっかり寝ないと身が持たないぞ。」と言ってたっけ。へぇ、俺、小学校からやり直すの?
そして執事ことウェイトン(兄様がそう呼んでいたので)の言った通り、暫くして【シエル様】がやってきた。顔を合わせてすぐ腕の中に閉じ込められ、安堵の息と共に優しく頭を撫でられたので、おそらく目の前の自分にそっくりな美女はランバートの母親だろう。
夢ならいっそのこと楽しみたいじゃないか。明日はどうしましょうかと母親に聞かれたが即答で学校へ行くと宣言した。
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