転生したおれ、悪役令嬢一家を守る! ……って決意したんだけど、その、おれ、ぬいぐるみなんだけど?

しゃぼてん

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第24話 テディベア、だつごく

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 地下牢の暗いろうかをちょっと歩いていくと、またてつごうしがあった。その向こうに、カギのたばが見える。見張りの兵士は、なんかむこうのほうで立ち話をしていた。

 チャンス。今のうちに。

 おれはてつごうしのすき間を通り抜けて、ジャンプしてカギをゲットした。

 さぁて、もどってこれで牢屋のカギをあけよう。
 おれはがんばって鉄のカギの束を運んだ。

 鉄のカギは重いなぁ。おれ、テディベア、もともと力はないけど、細長く変身すると、もっと非力になるっぽい。

 おれががんばってあるいていると。

「ああ……茶色いもふもふしたロープがカギを持ってゆらゆら動いていくのが見える……もうだめかもしれない」

 パパさんのつぶやき声が聞こえた。

 おれはまずクリスティーナたんの牢のカギをあけた。カギがいくつかあるから何度がためさないといけなかったけど、ちゃんと開いた。

「ありがとう。テディ」

 でてきたクリスティーナたんはおれからカギを受け取り、パパさんのいる方に向かった。ちなみに、この時に、おれはもとの形にもどった。

「おとうさま!」

「クリスティーナ?」

 クリスティーナたんはカギをあけ、でてきたパパさんがクリスティーナたんをだきしめた。

「クリスティーナ、ぶじでよかった」

「おとうさま。はやくここからでましょ」

「そうだな」

 クリスティーナたんはおれをだきあげて、呪文をとなえた。

「イミロエハナニイオミヘエトナチイリ」

「な、なんと。クリスティーナ。透明化の魔法なんてものをおぼえているのか? しかも、杖なしでそんな高度な魔法を成功させるなんて」

 パパさんはすっかりおどろいていた。
 やっぱりすごいよね。クリスティーナたんも、このとうめいになる魔法も。
 こんな魔法つかえたら、いたずらやりほうだいだもん。クリスティーナたんはいい子だから、めったに使わないけど。
 男子に悪用されたら大変だぞ。

「まえに、おかあさまのおへやにあったごほんでおぼえたの。つえがなくてもテディがいっしょにいるとだいじょうぶなの」

 え? そうなの? おれって、杖がわりになるんだ。
 でも、「テディにそんな効果はなかったはずだが……」とパパさんがつぶやいているから、たんにクリスティーナたんがすごいだけっぽい。

 クリスティーナたんはパパさんにもとうめいになる魔法をかけ、ふたりは逃走を開始した。

 地下牢の見張りをうまくすり抜け、階段をあがっていくと、じきに立派なろうかにでた。
 ここは王城の中。昔、転生前のおれがゲームをやっていたとき、こんなところを通ったような気がする。ゲームの中はドット絵だから、ちょっと自信ないけど。

 ろうかの先の大扉のところには、兵士が二人たっている。あの扉を通れば、外に出られるだろうけど、扉をあけたら、そこにだれかがいるのがバレてしまう。

「こっちから行こう」

と、パパさんがささやいて、クリスティーナたんの手をひっぱった。

 たしか、パパさんが向かうあの先は広間になっていて、庭へもつながっていた気がする。
 庭園の方から逃げるつもりだろう。
 
 だけど、広間に入ってすぐ、パパさんは立ち止まった。
 パパさんとクリスティーナたんのとうめいになる魔法がとけていた。

 そして、広間には、黒いフードをまぶかにかぶった魔法使いが立っていた。
 さっき大臣のそばにいた奴だ。

 それに、なんだかおれは、この敵に前にも会ったことがある気がする。
 たぶん、おやしきが燃えた火事の時。ロビンをたすけようとしていた時に、火と煙のむこうに見えた人影。
 あれはこの魔法使いだった気がする。

 魔法使いはゆっくりとフードをあげた。
 魔法使いはとても美しい女性だった。
 冷たい美しさ。赤い瞳が冷たくひかっている。
 魔法使いの美しい女はざんこくそうな笑みをうかべた。

「会えてうれしいわ。あなた。クリスティーナ」

 パパさんとクリスティーナたんが、おどろいたようにつぶやいた。

「ベアトリス?」
「おかあさま?」
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