転生したおれ、悪役令嬢一家を守る! ……って決意したんだけど、その、おれ、ぬいぐるみなんだけど?

しゃぼてん

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第27話 テディベア、盗み聞き

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 こうして、クリスティーナたんに平和な日常がもどってきた。
 数日くらいは。

 その日、クリスティーナたんがお勉強中だから、おれは館の中をおさんぽしていた。

「あ、テディーさま! ……はぁ。今日もポワンとしあわせ」

 ろうかを歩いてたら、メイドがハグしてきた。おれをみかけると仕事中のメイドが、みんな、だきついてくるから、散歩は時間がかかってしょうがない。
 あ、ジャックだ。見つかる前ににげ……

「テディ―!」

 ぐふっ。ジャックもおれを見つけるとうれしそうにとんできて、マッチョハグをした。
 
「はぁー。ぽわんとするー。今日はいい天気だから、遊びにいきたいけど、しごとだからなぁ」

 とジャックは言っているけど、おれ、ジャックがなにか仕事をしているの、見たことないな。職業的にはフットマンっていう召使いらしいんだけど。うろうろしているだけでいいの?

「ちょっと! ジャック! そうじのじゃまだから、あっち行って!」

 ジャックはエリーに怒られて、おれを床におろして、すごすご去っていった。
 おれもエリーにホウキではかれそうだったから、あわてて走ってバルコニーに出た。

 あー。ほんとにいい天気だな。
 よし、しばらくここでひなたぼっこをしとこう。日光をあてといたほうが、おれのもふもふボディのふわふわ度をあげるのによさそうだから。
 クリスティーナたんのテディベアとして、もふもふふわふわの毛並みでなきゃいけないからな。チェスター様には負けるけど。

 チェスター様はまだこの公爵家に滞在中だ。ちょっと前にチェスター様専属メイドがこの館にきて、毎日チェスター様をブラッシングしているからチェスター様の毛並みはますますさらさらにかがやいている。

 おれはのんびりバルコニーでせのびをして寝ころがった。

 しばらくして。

 バサバサッ
 
 カァ!

 なんかぶきみな羽音と鳴き声が!

 カァ!

 カラスだー!
 カラスがおそってきたー!

 カァ!

 おれはカラスをよけるため、あわててバルコニーのはしの方ににげた……んだけど、そこでつるっとすべって、柵のあいだから、落ちちゃった!

 うわー! 落ちるー! 死ぬー! と思ったけど。

 ぽよーん

 と、はねて、ころがって、かべにぶつかってとまった。

 ああ、ぬいぐるみでよかった。
 ダメージもなんもない。

 さてと。ここは一階下のバルコニーみたいだ。
 屋内にもどろうと思ったら、声が聞こえてきた。

「チェスター、街のようすはどう?」

 これは、ママさんの声かな? 
 チェスター様の声が聞こえた。

「この前の件をきっかけに獣人排斥はいせき運動がはげしくなっている。はげしいデモと暴力行為が王国全土にひろがっているようだ。背後に大臣エノックがいるのはまちがいないだろう」

「それだけではないはず。あの邪悪なる闇のものは、大臣エノックに近づき、グリムズリー家だけではなく王国にも復讐ふくしゅうしようとしていた。あのものは不滅。今も誰かにとりつき、人々の対立をあおり、この国を弱体化させようとしているのでしょう」

 え? あの邪悪な体のっとりやろう、まだ生きているの?

「やはり早急に邪悪な闇を見つけ封印しなくては」

「ええ。いずれまた私たちに攻撃をしかけてくるのはまちがいないでしょうけれど」

 なんてこった。
 クリスティーナたんの闇落ちフラグは回避した、と思っていたけど、まだまだぜんぜん、この一家は安全じゃなかったぞ。

「その前に見つけたい。あの邪悪な力は強大だ。今回はテディベアのおかげでなんとかたすかったが」

「ええ。テディには感謝してもしきれない」

 えへへー。それほどでもー。

「このうえなくあやしい存在ではあるが……」

 え? おれ、うたがわれてる?

「あやしくとも、テディはすでに大事な家族です。クリスティーナがそう言うのですから」

「それは否定しない。ただ、あのような超人的な力を持つ動くぬいぐるみが自然発生するとは信じられないだけだ。だが、あのテディベアがいたとしても、次はみなを守りきれるかわからない。邪悪な闇のものがおそってくる前に、つかまえてしまいたい」

 よかった。おれは、あやしい家族として受け入れられているようだ。まぁ、こんなぬいぐるみいたら、おれもぶきみに思うもん。てか、よく受け入れてるよね、この一家。

 それはいいとして、おれ、どこ行こう。室内に入りたいけど、今ここからはいったら、盗み聞きテディベアって思われるし、どうしようかな。

 よし、下にとびおりちゃえ。
 どうせダメージゼロだし。

 おれはバルコニーのはしからとびおりた。
 ぴょーん、とな。

 ぽふっ

「みゃっ!?」

 あ、ミャオリーの頭の上に落ちちゃった。

「くまさまー! 空からくまさまがふってきたミャー! さぁ、ふみふみミャー! ふみふみミャー!」

 おれがミャオリーにむちゃくちゃふみふみをねだられていると。
 カバンをかけたカモメが空をとんでこっちにやってきた。

「あ、カモメールみゃっ」

 カモメは封筒をミャオリーの上に落として飛び去っていった。

「みゃー? ミーへの手紙ミャー。コンニールからみゃー?」

 手紙のふうとうにはなんか足あとみたいなマークがついていて、それでコンニールからってわかったみたいだ。だけど、ミャオリーは困ったように言った。

「でも、ミーは文字がよめないんだみゃー。がっこうにいけなかったからみゃー……。そうだ。クリスによんでもらうミャー!」

 ミャオリーは館の中へ走って行った。
 クリスティーナたんはちょうど、お勉強がおわってきゅうけいにはいるところだった。

「クリスー。ミーにこのおてがみよんでミャー」

 すぐにメアリがミャオリーをしかった。

「使用人がお嬢様にそのような言葉づかいをすることはゆるされません。身分をわきまえなさい」

「いいの。ミャオリーはともだちなの」

 といいながら、クリスティーナたんはミャオリーからてがみを受け取った。

「お嬢様、よくありません」

 クリスティーナたんはメアリをむしして手紙を開いた。
 すぐにクリスティーナたんの表情がかわった。

「なんて書いてあるミャー?」

 クリスティーナたんは、かなしそうな表情になって言った。

「たいへん。ミャオリーのかぞくが、あぶないって」
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