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第4部 帝国の終焉 ~滅亡をもたらすダークエルフ~
第154話 ギアラドの偽王
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ガリとの会話から少したって。囚人部隊の解放のためにケイニスと合流したイーアは、ケイニスから意外な話を聞かされた。
最近、ギアラドの王シャイドと名乗る男が、ギアラド人を集めているのだという。
「シャイドはギアラドの逆王と呼ばれて処刑された男の息子で、魔導士らしい。本当にギアラドの王がギアラド人を集めて蜂起してくれるなら、ありがたい話だが」
ケイニスは少し疑っている様子だった。
イーアが知る限り、ギアラドの逆王と呼ばれて処刑された男とは、ガリの父親のことで、ギアラドの王はガリのことのはずだ。
でも、ガリがギアラド人を集めて蜂起なんてするはずないから、この「ギアラドの王」はまちがいなく偽物だ。
「その人、本物のギアラドの王のはずがないよ。どんな人?」
イーアがたずねると、ケイニスは言った。
「わからない。ジャルバンが連絡をとろうとしたが、返事がない」
イーアは少し考え、ケイニスに告げた。
「わたしは、その人のことを確認してくる。作戦開始は、それまで待って」
「ああ。どのみち作戦開始は決まっていない。今のままでは、あの基地を破壊しても囚人部隊が監視部隊に拘束されるか処刑されて多数の犠牲者がでてしまう」
帝国軍基地の周辺にはケイニスの仲間達が集まっていて、いつでも攻撃できる状態にはなっている。だけど、作戦成功のためには目標の帝国軍基地と各地の囚人兵の監督部隊を同時に潰さないといけないから、囚人兵の解放は簡単ではなかった。
イーアは、ギアラドの王を名のる男がギアラド人を集めている場所をケイニスに教えてもらって、そこへ向かった。
村から少し離れた高台の林の中から、イーアはギアラド人集落の様子をうかがった。
村の中には、雨風すら十分にしのげそうにない、とても粗末な家が並んでいた。
ギアラド王国は元々今の帝都のあたりまでを領土としていたけれど、ノルマート王国に征服されてから、ギアラド人の多くが辺境近くの荒れ果てた土地へと移住させられた。
ここはそうして移住させられたギアラド人の子孫が住む不毛の地の一つだった。
でも今は、その貧村に沢山の人が集まっていて、村の中にはテントらしきものがいくつも張られていた。
ティトがイーアの横で鼻を動かした。
『あやしい臭いがするぞ。これは、かいだことのある臭いだ』
『わたしは透明ローブで村の中の様子をみてくる。ティトは一度、ガネンの森に戻ってて』
『わかった』
イーアは透明になれるローブを着て、村の中に入った。
村に入ってすぐ、イーアは精霊の気配を感じた。
鼻のきく小さな精霊を誰か呼ぼうかとイーアが考えた時、小屋の影、視界の端を黒い影が動いた。
(今の……しっぽ?)
イーアは黒い動物らしきものを追いかけた。
さっき黒い影を見た場所まで移動すると、遠くにまた黒い獣の姿が視界に入った。
今度は胴体も見えた。黒い毛並みにわずかに緑に見える部分があった。
(あれは……ワイヒルト?)
一瞬しか見えなかったけれど、霊獣ワイヒルトのように思えた。
イーアは『友契の書』にささやいた。
『ルヴィ、みんなに戦闘準備をお願いして』
ワイヒルトは比較的人界に近いところに生息しているけれど、人間の村の中をワイヒルトがうろついているはずがない。
ワイヒルトが人と仲良くすることはめったにないのだ。
イーアが知っている唯一の例外は、ザヒだ。
たぶん、あのワイヒルトは、ザヒの相棒だろう。
ギアラドの王を名乗っているのは、きっとザヒだ。
ガリの弟であるザヒは、たしかにギアラドの逆王と呼ばれて処刑された男の息子だ。
イーアはワイヒルトを追いながら考えた。
(ザヒはそれを知らないはずじゃ? ……ううん、<白光>にはすでに知ってる人がいるんだもん。知っていてもふしぎはないよね)
いつ知ったのかはわからないけれど、ザヒは誰かに聞いて自分の出自を知ったのだろう。
問題は、ザヒがなぜこんなことをしているのか。
ザヒが本当に「ギアラドの王」としてギアラド人達と蜂起しようとしているなら、イーアが邪魔をすべき理由はない。
だけど、本当にあの<白光>のザヒが帝国に反旗を翻そうとしているのだろうか。
そんなことありえない、としか思えない。
ワイヒルトは村のはずれに向かい、そのまま林の中へと姿を消した。
イーアがワイヒルトを追って林の中に入るとすぐに、ティトが傍にあらわれた。
『わざわざ誘いにのるつもりか? あいつ、わざと姿を見せてイーアをおびき出そうとしているぞ』
それはイーアもわかっていた。
『うん。さそいにのるよ。ザヒと直接会って、話をしたいから。でも、追いかけっこは面倒だね。ルヴィ、オーロガロンをひとり呼んで。空から様子をみてみる』
最近、ギアラドの王シャイドと名乗る男が、ギアラド人を集めているのだという。
「シャイドはギアラドの逆王と呼ばれて処刑された男の息子で、魔導士らしい。本当にギアラドの王がギアラド人を集めて蜂起してくれるなら、ありがたい話だが」
ケイニスは少し疑っている様子だった。
イーアが知る限り、ギアラドの逆王と呼ばれて処刑された男とは、ガリの父親のことで、ギアラドの王はガリのことのはずだ。
でも、ガリがギアラド人を集めて蜂起なんてするはずないから、この「ギアラドの王」はまちがいなく偽物だ。
「その人、本物のギアラドの王のはずがないよ。どんな人?」
イーアがたずねると、ケイニスは言った。
「わからない。ジャルバンが連絡をとろうとしたが、返事がない」
イーアは少し考え、ケイニスに告げた。
「わたしは、その人のことを確認してくる。作戦開始は、それまで待って」
「ああ。どのみち作戦開始は決まっていない。今のままでは、あの基地を破壊しても囚人部隊が監視部隊に拘束されるか処刑されて多数の犠牲者がでてしまう」
帝国軍基地の周辺にはケイニスの仲間達が集まっていて、いつでも攻撃できる状態にはなっている。だけど、作戦成功のためには目標の帝国軍基地と各地の囚人兵の監督部隊を同時に潰さないといけないから、囚人兵の解放は簡単ではなかった。
イーアは、ギアラドの王を名のる男がギアラド人を集めている場所をケイニスに教えてもらって、そこへ向かった。
村から少し離れた高台の林の中から、イーアはギアラド人集落の様子をうかがった。
村の中には、雨風すら十分にしのげそうにない、とても粗末な家が並んでいた。
ギアラド王国は元々今の帝都のあたりまでを領土としていたけれど、ノルマート王国に征服されてから、ギアラド人の多くが辺境近くの荒れ果てた土地へと移住させられた。
ここはそうして移住させられたギアラド人の子孫が住む不毛の地の一つだった。
でも今は、その貧村に沢山の人が集まっていて、村の中にはテントらしきものがいくつも張られていた。
ティトがイーアの横で鼻を動かした。
『あやしい臭いがするぞ。これは、かいだことのある臭いだ』
『わたしは透明ローブで村の中の様子をみてくる。ティトは一度、ガネンの森に戻ってて』
『わかった』
イーアは透明になれるローブを着て、村の中に入った。
村に入ってすぐ、イーアは精霊の気配を感じた。
鼻のきく小さな精霊を誰か呼ぼうかとイーアが考えた時、小屋の影、視界の端を黒い影が動いた。
(今の……しっぽ?)
イーアは黒い動物らしきものを追いかけた。
さっき黒い影を見た場所まで移動すると、遠くにまた黒い獣の姿が視界に入った。
今度は胴体も見えた。黒い毛並みにわずかに緑に見える部分があった。
(あれは……ワイヒルト?)
一瞬しか見えなかったけれど、霊獣ワイヒルトのように思えた。
イーアは『友契の書』にささやいた。
『ルヴィ、みんなに戦闘準備をお願いして』
ワイヒルトは比較的人界に近いところに生息しているけれど、人間の村の中をワイヒルトがうろついているはずがない。
ワイヒルトが人と仲良くすることはめったにないのだ。
イーアが知っている唯一の例外は、ザヒだ。
たぶん、あのワイヒルトは、ザヒの相棒だろう。
ギアラドの王を名乗っているのは、きっとザヒだ。
ガリの弟であるザヒは、たしかにギアラドの逆王と呼ばれて処刑された男の息子だ。
イーアはワイヒルトを追いながら考えた。
(ザヒはそれを知らないはずじゃ? ……ううん、<白光>にはすでに知ってる人がいるんだもん。知っていてもふしぎはないよね)
いつ知ったのかはわからないけれど、ザヒは誰かに聞いて自分の出自を知ったのだろう。
問題は、ザヒがなぜこんなことをしているのか。
ザヒが本当に「ギアラドの王」としてギアラド人達と蜂起しようとしているなら、イーアが邪魔をすべき理由はない。
だけど、本当にあの<白光>のザヒが帝国に反旗を翻そうとしているのだろうか。
そんなことありえない、としか思えない。
ワイヒルトは村のはずれに向かい、そのまま林の中へと姿を消した。
イーアがワイヒルトを追って林の中に入るとすぐに、ティトが傍にあらわれた。
『わざわざ誘いにのるつもりか? あいつ、わざと姿を見せてイーアをおびき出そうとしているぞ』
それはイーアもわかっていた。
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