もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

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第4部 帝国の終焉 ~滅亡をもたらすダークエルフ~

第164話 反帝国同盟の会合

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 ギルフレイ侯爵領内の山奥にある荒れた古城。
 普段は人の集うことがないその古城の門をイーアはくぐった。
 城の扉の外には見張りの人が立っていたが、イーアを見ると無言で扉を開けてくれた。

 イーアが城内に到着すると、アラムとバルゴが出迎えてくれた。

「イーア! ますますミリアに似てきたなぁ!」

 ミリアとアンドルの幼馴染だったバルゴは、イーアに会うたびにそう言って涙ぐんでいる。
 バルゴは今はアラムの護衛役で、だいたいいつもアラムといっしょにいる。
 アラムはあどけない表情で言った。

「イーア姉さん、ありがとう。各勢力の仲立ちをしてくれて。おかげで同盟はうまくいきました」

「わたしは知り合いに声をかけただけだけどね」

 これから、この古城で反帝国同盟の会合が開かれることになっていた。

 アラムはアンドルの死後、弱冠13才にしてギルフレイ侯爵になった。
 表向き、アンドルはテロリストからアラムと王宮を守るために死んだことになっていたから、爵位継承は問題なく行われた。

 そして、ギルフレイ侯爵領は密かに反帝国勢力の拠点となった。

 ギルフレイという土地は、元々帝国の被支配民族の一つ、フレイヤ人が多く住む土地だった。
 そのため、帝国全土で革命運動が盛んになってすぐ、ギルフレイ侯爵領内でも反政府勢力の活動が激しくなった。
 領主であるアラムは、フレイヤ人を中心とする反帝国勢力や革命主義者達を鎮圧しないといけないはずだったが、アラムはひそかに彼らと手を結んだ。
 以降アラムは、表向きは帝国に対して忠誠を誓いながら、フレイヤ人や革命主義者の反乱を鎮圧できない幼く無能な領主としてふるまい、その陰で反帝国勢力の支援を続けてきた。

 アラムはなかなかすごいことをしている。だけど、アラムは実際の年齢よりもさらに幼くか弱く見えるから、意外と疑われないらしい。
 バルゴいわく、中身がイーアだった時は、きりっとしていてしっかりして見えたけど、中身が本物のアラムになってからは、純粋で気弱なかわいらしい男の子に見えるらしい。

 たしかにイーアの目にもそう見える。アラムはもうすぐ15歳になる少年というより、10歳くらいの子に見えてしまう。
 アラムはずっとチルランだったからか、あるいは、お人よしに見えるアラムのお母さまに似ているのかもしれない。

 でも、実はアラムは頭が良くて大人顔負けに策略に長けている。
 他でもないアラムが、反帝国勢力の同盟を画策し、イーアとともに実行したのだ。

 バララセ解放軍、それにフレイヤ人やギアラド人の組織は、元々帝国からの独立を目標に掲げているから、革命を起こして新しい国を創ろうとしている革命軍とは目的が違う。
 けれど、協力して新しいアグラシアを創っていくことはできるはず。
 そう思ったイーアは色んな勢力に知り合いがいたから、声をかけた。
 そうして年若い二人が中心となって、反帝国勢力の同盟が築かれた。

 各勢力から派遣されてくる代表の到着を城内で待っていたイーアは、突然、声をかけてきた相手を見て、心臓がとまりそうなほど驚いた。

「イーアさん!」

「ンワラデさん!? 生きていたんですか!?」

 イーアの目の前には、マデバ族の伝統的な服を着たンワラデが、満面の笑みで立っていた。
 ンワラデはバララセで殺されたと聞いていたから、イーアは一瞬、幽霊かと思ってしまった。……この古城は幽霊がでそうな雰囲気があるから。

「ええ、そうなのです。私はイーアさんが殺され……もちろん、イーアさんは殺されていなかったのですが、私もイーアさんの素晴らしい偽装にすっかり騙されていましたから、殺されたと信じこんでいまして」

「あれは、偽装っていうか……」

 実際、イーアはほぼ殺されていた。
 ともかく、イーアの「死」が、ンワラデを決断させたらしい。

「イーアさんが殺されたと思った時に、もう、私もいいかげん帝国と<白光>の横暴に堪忍かんにん袋のが切れまして。『友契の書』との契約を破棄はき、自らの死を偽装して、バララセ解放運動に加わったのです。私が裏切ったとあれば、我が一族は皆殺しにされ、マデバ族は一人残らず奴隷にされてしまいますから。完璧な偽装をする必要がありました」

「じゃあ、ンワラデさんが、コサ達が言っていた、バララセ解放軍からの使者ですか?」

「その通りです。私はすでにウェルグァンダルの召喚士ではないため、以前と比べて力は落ちますが。伝令役くらいは務まりますので」

 『友契の書』の精霊との契約は、別の召喚契約書にコピーすることもできる。
 『友契の書』の不調に備えてそうしておくように、ウェルグァンダルの召喚士は指導されているから、たぶん、ンワラデも『友契の書』との契約を破棄する前に、契約を残していたのだろう。
 だけど、『友契の書』なしでは召喚契約に応じない精霊もいるし、召喚にかかる時間や手間も増えてしまうから、同じように召喚できるわけではない。

「ガリに言えば、ウェルグァンダルの召喚士に戻れるんじゃ?」

「いえいえ、私の我がままでそこまで迷惑をおかけできません。私はウェルグァンダルの規則に背いて、日々、召喚術をバララセ解放闘争に使っていますので、ガリは認めないでしょう」

(わたしはガリに迷惑かけまくっているけど……)

 たしかにガリ自身は今でもギアラド独立運動や革命運動からは距離をとっている。
 例外的にガリが召喚術の力まで使って動いたのは、ザヒと大勢のギアラド人の命がかかっていた、あの一件だけだ。……すくなくとも、イーアが知る範囲では。ガリのことだから、ギアラドの人達が窮地に陥ったら、こっそり助けていたりするかもしれないけど。
 
 そして、あの一件ですら、ガリの行動に塔主補佐役のゲオはかなり怒っていたらしい。少なくともリグナムが震え上がるほどにゲオは怒っていたらしい。
 理由は、塔主自らルール違反をしたというだけでなく、塔主の行動によってウェルグァンダルの召喚士全体が帝国から反逆者とみなされてしまいかねないから。

 ちなみに、ザヒはあれ以降ずっと<白光>からの刺客を撃退しながら、ギアラド人勢力を統率している。
 当然ゲオにはバレているけれど、ザヒはすでに破門が決まっている身だから、やりたい放題だ。
 イーアはそういうわけにはいかないので、ゲオには会わないように気をつけている。

 やがてギアラド人の使者が通信用水晶を持って古城に到着した。
 常に<白光>から狙われているザヒは、今もどこかに身を隠しているらしい。
 使者の人は魔導士ではないので水晶が使えなくて、ケイニスとアラムが会議室で水晶の設置と起動を手伝った。
 最後に革命軍のケイニスとジャルバンが到着し、今日の会議に出席予定の全員がそろった。
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