ニートの逆襲〜俺がただのニートから魔王と呼ばれるまで〜

芝桜

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第3章 ニートと帝国動乱

第49話 二日天下

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 ーー  テルミナ帝国帝都北 飛空要塞 艦橋 ヴァルト・ロンドメル公爵  ーー




「アクツはどこにいる! 」

 俺は既に離陸させていた飛空要塞の艦橋に入るなりそう叫んだ。

『現在帝都東400km、高度5千mの位置におります! 』

「もうすぐ射程に入るな。艦長、外した時に備え帝都上空に移動させろ! そして帝都の超魔導砲と連携を取れるようにしておけ! 」

『ハッ! 帝都上空へ移動させます! 』

 俺は艦長に指示をしたあと、広い艦橋の中央に置かれた玉座に腰掛けた。一緒に連れてきた十二魔将は俺の背後に、カストロは隣に控えている。

 玉座に座るとフロアを半円に囲んでいる大きな窓に、飛空要塞が高度を上げ雲の中に入っていく様子が見える。

 俺は目の前に天井から吊り下げられている大型モニターへと視線を移した。

 そこには東から帝都に向かってくる大きな赤いマークと、その手前でかなりの速さで近づいてくる小さな赤いマークが映し出されていた。この小さなマークがアクツだろう。

「アクツの後ろの部隊は5万はいるな。いったいどこから湧いてきやがった? 」

 ここに来るまでにアクツのほかに、地上軍が帝都を目指しているという報告も受けていた。国内が混乱していたとはいえ、これほどの数の軍がどこに潜んでいたってんだ?

「マルス公爵領の外れに突然現れたようです。使用している車両はオズボード公爵軍の車両が多く含まれていることから、オズボードの領からアクツ男爵と共にやってきたのではないかと」

「今朝までオズボードと戦争してた奴らが、どうやって帝国を縦断して来たってんだ? あり得ねえだろうが」

 カストロは何を言ってんだ? 飛空艦に乗ってきたとしてもこの短時間でここまで来れるわけがねえし、そんな艦隊をうちの軍が見逃すはずがねえ。

「そのことなのですが……ハマール公爵領にて戦っていたアクツ男爵が、オズボードが奇襲を掛けてすぐに男爵領に現れました。そしてオズボードの領都にいたアクツ男爵が、今またマルス公爵領に突然現れました。それも軍を率いて……恐らくですが、アクツ男爵は失われた皇家の秘宝であるゲートキーを持っているのではないかと」

「ゲートキーだと? 確か一度行った場所に繋がる転移門を出現させるアイテムだったな。大昔に何者かに盗まれたと聞いていたが……」

 確かにゲートキーがあればアクツのこの異常な移動速度も説明できる。しかしそんなアイテムをいったいどこで……

「宝物庫には皇家の者以外入ることはできません。恐らく皇家の者が持ち出し、ダンジョンで命を落としたのではないかと。それをアクツ男爵が手に入れたと推測いたします」

「ダンジョンか……確かにダンジョンで失った魔道具は宝箱にとして現れるな……チッ、厄介な物を……まあいい、奴を殺せばそれが俺の物になるということだ。ククク……俺のために貴重なアイテムを持って来てくれるんだからな。奴には感謝せねばな」


『まもなくアクツ男爵が射程に入ります! 』

「全ての超魔導砲にエネルギーを充填しろ! 」

 俺はいよいよアクツを討てることに胸を高鳴らせながら艦長へと指示をした。

『二門の超魔導砲へエネルギーを充填します! 』

『魔力充填開始! 特殊弾装填完了! 』

『照準合わせます! 』

『エネルギー充填完了まであと1分……40秒……30……20……10……充填完了! 』

『超魔導砲発射準備完了しました! 』

「うむ、さすがだな。超魔導砲発射用意! 」

 俺は皇帝が討ったことで寝返えらせた、飛空要塞の乗組員たちのスムーズな動きに感心しつつ号令を掛けた。

 アクツは真っ直ぐこっちに向かって来ている。まさかこれほどの遠距離から狙撃されるなど思ってもないのだろう。

 これまでさんざん俺の邪魔をし、コケにしてくれた男をやっと殺せる。今ミンチにしてやるぞアクツ! 

『超魔導砲発射用意! 』

ファイエル撃て! 」

『ファイエル! 』

 ドンッ!

 俺の号令と共に轟音が鳴り響き、要塞先頭部に設置してある2門の超魔導砲から、膨大な魔力と雷のような眩い閃光が解き放たれた。

 それはこれまで見たことのない速度で、真っ直ぐとアクツのいる場所へと向かっていった。

『アクツ男爵の動きに変化なし! 間もなく命中します! あっ! 超魔導砲の魔力消失! 』

「チッ、やはり超魔導砲の魔力は消されたか、あれほどの魔力を一瞬で消すとはとんでもねえ野郎だ。弾丸はどうだ! 」

『弾丸の反応は残っています! 到達まであと3秒……2……1……命中! 』

「やったか!? 」

 俺はモニターに映る赤いマークに、二つの弾丸が当たるのを見て思わずそう叫んだ。

『ア、アクツ男爵の動きに変化なし! いえ、少し後退したようですが、再びこちらへと向かってきております! 』

「なっ!? どういうことだ! 2発とも命中したんじゃねえのか! 」

『ま、間違いなく命中しました』

「まさか避けたのか? いや、奴は魔導砲の魔力を消して安心していたはずだ。あれが避けれるわけがねえ。も、もう一度だ! 今度は帝都の超魔導砲の射程に入ったところで連携して撃て! 全ての逃げ道を塞げ! 」

 俺は何かの間違いだと、そう焦る気持ちを抑えつつ再度射撃用意をさせた。

『りょ、了解! 超魔導砲エネルギー充填します! 』

『アクツ男爵は真っ直ぐこちらへと向かってきます! 』

「真っ直ぐだと!? 」

 距離が近くなればなるほど避けるのは難しくなるというのに、真っ直ぐ向かってくるとは馬鹿なのか?

 力を過信したか。なら今度こそ確実に仕留めてやる!

 俺は帝都の超魔導砲の射程に入るのを今か今かと待ち構えた。



 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



「びっくりしたぁ! マジ焦った! 」

 俺はついさっき何の前触れもなく飛んできた、魔力の塊と直径1mはある弾丸にちびりそうになっていた。

 マルスの領都に展開していた飛空艦隊を全滅させ、見えない飛空艦を個人的に回収したあと帝都へと向かっていた。そして荒川さんたち地上軍を追い抜いたところで、いきなり探知に帝都方面から飛んでくる膨大な魔力反応が現れた。俺は突然現れ向かってくる二つの魔力を急いで消滅させた。しかし安心していたところにデカイ弾が二つ俺に襲い掛かってきた。

 それは避ける間もなく二つとも俺の展開していた結界に阻まれたが、あまりに突然のことでかなりヒヤッとした。

 誰が撃ってきたのかは確認できない。かなり広範囲に展開しているはずの探知にも魔力反応がない。やや上方から飛んできたのは間違いないから、恐らく魔帝の飛空要塞から放たれたものだと思う。

「あれが超魔導砲ってやつか。聞いてはいたけど結界を張ってなけりゃどうなっていたか……全力で張っておいてよかったぁ~」

 1等級の護りの指輪に身代わりのアムレットもあるけど、二発だったからな。万が一があったかもしれない。

 しかし結界やべえわ。かなりの衝撃だったはずなのにビクともしなかった。こっちも全力で飛んでたから少し後方に押されたけどその程度だ。これやっぱ核も防げるんじゃね? 試したくないけど。

「雲でまったく見えないうえに、探知の範囲外から撃ってくるのは厄介だな。こんなの普通の戦艦なんか近づけもしねえんじゃねえか? 魔帝があれ一隻で飛空艦隊と戦えるとか言ってたのも納得だわ。うちの飛空宮殿なんか足元にも及ばない火力だよな」

 そりゃ飛空宮殿を俺に譲渡するわけだわな。やべぇ、あの超魔導砲とか欲しい。ライムーン伯爵には今回で貸しができるし作ってもらおうかな。

「しかしあの一撃だけか? 」

 すぐに次弾がくると思ってたんだけどな。

 俺がそんなことを考えながら進んでいると、突然地上から6本、前方から2本の魔力反応が襲いかかってきた。

「来たっ! てか多くね!? 『滅魔』! 」

 ガンッ! 

 ガガンッ!

 俺はジグザグに飛行しながら滅魔を放ち、8本の魔力の塊を消滅させた。しかし同時に襲いかかってきた弾丸は全て避けきれず、4発ほど被弾してしまった。

 が、結界はヒビすら入っていない。

「4発でも無傷か。SSS-の魔力を込めた結界やべえな。もしかして無敵なんじゃね? 」

 やっぱ核もイケる? 清浄のネックレスって放射能防げるのかな? 試したくないけど。

 それから3分ほどすると、また地上と前方のから超魔導砲が襲いかかってきた。今度は通常の対空砲も混ざっている。

 しかし最初の逃げ場のない統制された射撃と違い、その攻撃はバラバラで避けるのは簡単だった。

 まるで攻撃が通用しないことに動揺し、錯乱しているかのようだ。

「見つけた! 」

 俺は前方の雲の中に巨大な魔力反応を感知した。間違いなく飛空要塞だと思った俺は、滅魔を放ち落とそうとして……やめた。

 あの飛空要塞があれば戦後処理が楽になる。魔石もかなり高ランクのを複数使っているし、すぐに使える状態で鹵獲した方が良さそうだ。

 そう考えた俺は高度を下げ、まずは帝都に設置されている超魔導砲などの兵器を無力化してから再び上昇した。

 そして雲の中に入り、こちらに船尾を向け逃げようとしている真っ黒な飛空要塞を見つけた。

 その船は飛空空母の倍ほどの大きさがあり、甲板にはまさに堅牢な要塞とも呼べるべき5階建てほどのゴツイ建造物が建っていた。

「オイオイ、やり逃げしようってのか? 逃がすわけねえだろうが! 『滅魔』! 」

 俺は対空砲を放ちながら逃げようとする飛空要塞を全力で追いかけ、張られている多重結界を消滅させた。そして高ランクの魔力反応が複数ある、艦橋と思われる場所以外にいる魔族へと滅魔を放った。

 殺してはいない。ロンドメルが死ねば、要塞のクルーたちは魔帝のいうことを聞くだろうからな。

 飛空要塞の防衛システムを丸裸にした俺は、結界を再展開される前に魔鉄製の片手剣。【斬魔剣】と名付けたそれを取り出し、剣に魔力を流した。そして青白い光を放つ斬魔剣を大きく振りかぶり、艦橋と思われる場所にある大きな窓を斬りつけた。

 魔力を込めるほどに切れ味が増す斬魔剣により、飛空要塞の艦橋の窓はあっさりと斬られ、俺はゆっくりと艦橋内に降り立った。

 やたらと広いフロアの中央の玉座には、金色の鎧をまとった赤髪の大男が座っていた。その隣には腰を抜かしている貴族衣姿の燻んだ赤髪の老人がおり、その二人を守るように黒い鎧を着た6人の騎士が盾を構えて立っていた。


「ア……アクツ……」

「テメェがロンドメルか……お前何してんだ? 」

 驚愕の表情で俺の名を呼ぶロンドメルにそう問いかけた。

「な、何をだと? それはこっちのセリフだ! 超魔導砲が効かぬとは化け物め! 」

「そんなことを聞いてんじゃねえよ。テメェは誰の鎧を着てんだって聞いてんだよ」

 俺はロンドメルの着ている金色の鎧を見てショックを受けていた。

 それは俺が魔帝に譲ったオリハルコンの鎧だったからだ。

 マジなのか? 本当に魔帝はコイツに負けたってのか? 

「これは俺が前皇帝を殺し奪ったものだ。それがどうしたというのだ」

「……お前が魔帝を殺しただと? 」

「そうだ。ククク……少し手こずったが、配下の者にことごとく裏切られた皇帝など俺の敵ではなかったわ」

「……そうか。確かお前はSS-ランクだったよな? ならお前にも配下の者に裏切られるのを経験させてやる。『魂縛』 」

 俺はロンドメルの言葉に怒りを通り越し、一気に心が冷えていった。そして斬魔剣を聖剣に持ち替え、ロンドメルと隣の老人。そして奴らを守る騎士に向け魂縛のスキルを放った。

「な、なんだその黒い霧は! 十二魔将! 俺を守れ! 」

「「「ハッ! 『炎壁』! 」」」

「なっ!? 通り抜けただと! ぐっ……」

「ロンドメル様!? うっ……」

「「「うぐっ……」」」

 聖剣を通して放たれた黒い帯状の霧は、炎の壁や騎士たちの構える盾を通り抜けその胸に吸い込まれていった。

 俺はロンドメルと魔将たちの魂を縛った手応えを感じたあと、窓際にあるクルーの椅子へと腰掛けた。100人ほどいた男女のクルーは、艦橋の端の方で固まり震えている。悪魔だ化物だという声が聞こえるが、俺が視線を向けると全員が顔を伏せた。

 俺はそんな奴らを無視してロンドメルたちに視線を戻した。

「な、何をした! アクツ! 俺に何をした! 」

「キャンキャン吠えるな。そのスキルは魂縛といって、まあ隷属の首輪のスキルバージョンみたいなもんだな。俺の命令に逆らった時に締まるのは首ではなく魂だけどな」

 俺は魂を縛られる苦しみが収まったのか、玉座から立ち上がり青ざめた顔でわめき散らすロンドメルに淡々とスキルの説明をした。

「れ、隷属だと! 俺が貴様に隷属させられたというのか! ふざけるな! チキュウの下等種にこの俺が隷属するなどあり得ねえ! 」

「すぐに身をもって知ることになる。とりあえずロンドメルとそこの魔将とかいう奴ら。命令だ、鎧を脱げ」

「誰が貴様の言うことな……があぁぁぁ! 」

「「「ぐあぁぁぁ! 」」」

「早く脱がないとずっとその苦しみを味わうことになるぞ。そしていずれ魂が消滅する。魔界にも帰れなくなるかもなぁ? 」

 俺は笑みを浮かべながら、さっそく魂を縛られる苦しみを味わってくれたロンドメルたちに忠告した。

 それから1分ほどで魔将たちが鎧を脱ぎ、そして苦しむロンドメルが魔将と老人に命令して鎧を脱がせてもらっていた。

「ハァハァハァ……な、なんだこれは……なんだこの恐ろしいスキルは……こんなものが……こんな……」

「オイオイ、さっきまでの威勢はどうした? 慌てて配下に鎧を脱がせてもらって情けねえな。魔帝だったら意地でも鎧を脱がなかったぜ? 馬鹿がつくほど意地っ張りだったからな。死んでも俺の命令なんかに従わなかっただろうな。それに比べてお前さ、たいしたことねえな? 」

 俺は胸を押さえ、怯えた目を向けるロンドメルに笑いながらそう言った。

「クッ……お、俺の負けだ。明日には俺がデルミナ神様の加護を得る。その際にはアクツ男爵を公爵にし、このチキュウの領地を全てくれてやる。これは加護を受けた皇帝にしかできねえことだ。その後はチキュウのことには一切口を挟まねえ。貴様が好きにすればいい」

「断る。てか、どっかで聞いたことがあるセリフだな。まあいいか。お前さ、馬鹿なの? お前に命令できる立場の俺が、なんでお前の許可を取らなきゃなんねえんだよ。だいたい地球の領地を得るなんて罰ゲームをなんでしなきゃなんねえんだ? それにだ。お前を殺せばマルスが加護を得る可能性が高くなんだろ? だったらマルスに皇帝やらした方がいいに決まってんじゃねえか。お前はここで死ぬ。これはもう確定してんだよ」

 俺は取引に見せかけたロンドメルの命乞いを拒絶した。

「この俺が死ぬ? この俺がここで……クッ、クソが! 十二魔将よ! 盾となれ! 『インフェルノ灼熱地獄! 』

「『滅魔』! 命令だ。この部屋から出ることを禁じる。スキルを使用すること、俺に攻撃することも禁じる」

 俺はロンドメルが魔将を盾にし、出口へと駆けながら放ったスキルを無効化した。そしてロンドメルたちに、スキルの使用と部屋から出ることを禁じた。

 ロンドメルは俺の命令を聞いた途端に立ち止まり、背を向けていた状態からゆっくりと振り向いた。俺はその恐怖と怯えに染まっているロンドメルを鼻で笑ったあと、魔将と老人に命令をした。

「命令だ。スキル以外どんな手を使ってでもいいからロンドメルを殺せ」

「「「なっ!? 」」」

「き、貴様! 十二魔将に俺を殺させる気か! 」

「さっき言っただろ? お前に配下に裏切られるのを経験させてるって。せいぜいあがいて見せろ」

「ひぎっ! ぎゃぁぁぁぁ! ロ、ロンドメル様……お許しを」

「「「ぐあぁぁぁ……ロ、ロンドメル様……お許しください」」」

「よせ! やめろ! カストロ! ゲッヘラー! クッ! おのれアクツ! 」

「驚いた。何人か拒絶して死を選ぶと思ったのに全員が剣を握るとはな。そいつら側近だろ? お前も魔帝と同じで人徳ねえな? 」

 俺は鎧を脱ぐと判断した時よりも早く、剣を手にロンドメルに襲いかかった側近たちを見て心底驚いていた。

 魔将とかいうくらいだから親衛隊みたいなもんだろ? 誰も命を懸けて守ろうとしないなんてな。それだけ魂を縛られるのが苦しかったのか、それともロンドメルに忠誠心なんて無かったのか。まあ両方だろうな。

 いずれにしろ防具がないんだ。すぐに決着が着くだろう。

「貴様ら! 重用してやった恩も忘れやがって! カストロ! この老ぼれが! 死ね! 」

「ぎゃぁぁぁぁ! ロ、ロンドメル……様」

「ロンドメル様! お覚悟! 」

「グッ……ゲッヘラー! 貴様毒を! 」

「お許しくださいロンドメル様……皆! 」

「「「了解! ロンドメル様! お許しください! 」」」

「うわぁ……変異毒まで使うの? これはエグいことになりそうだ。命令だ。ポーション類を使うことを禁じる」

 俺は魔将たちが剣を短剣に持ち替え、ロンドメルに斬った時の反応が気になり短剣を鑑定した。するとそこには『デススネークの変異毒』と表示され、荒川さんが以前飲まされたデビルスパイダーの変異毒と似たような毒が塗られていることがわかった。

 これは思ったよりエグいことになりそうだと思った俺は、解毒ポーションなどを使うことを禁じた。

「なっ!? アクツゥゥゥ!! 貴様ぁぁぁぁぁ! ガアァァァァ! 」

「うおっ! 変身した! バーサーカーモードか? 」

 俺の命令にキレたのかロンドメルは、口が裂け目が吊り上がり牙を剥き出しにしている魔人本来の姿に変身した。そしてそれにより筋力があがったのか、魔将たちを次々と斬り伏せていった。

 そして5分後。胸を貫かれ首を落とされた魔将たちの中心には、ロンドメルだけが立っていた。

 俺は目や口や耳などあらゆる穴から血を流し、剣を支えに辛うじて立っているロンドメルへとゆっくりと歩いていった。

「ずいぶんと苦しそうじゃねえか」

「グフッ……ア……クツ……コロシ……テヤ……ル」

「配下にことごとく裏切られたお前なんか俺の敵じゃねえよ。しかし日本には三日天下って言葉があるんだけどよ、お前三日も保たなかったな? まあ所詮は道化だったってことだ。その醜くなった顔を全世界に晒してやるから安心して死ね。じゃあな……帝国一の道化野郎」

 俺はそう言って聖剣をロンドメルの胸にある魔石目掛けて突き刺した。

「グッ……ガアァァァァ! アクツゥゥゥ! キサマガ……イナケレバオレガ……コウテイニ……オマエサエイナケ……レ……バ……」

 ロンドメルは断末魔のように叫んだあと息絶えた。その顔は醜く、憎しみに満ち溢れていた。

「弱え……こんな奴にあの魔帝が殺られたってのかよ」

 こんな程度の奴に……

 クソ魔帝め……メレスを置いて逝きやがって……


 魔帝……仇をとってやったぞ。


 俺さ、お前のこと嫌いじゃなかったよ。


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