ニートの逆襲〜俺がただのニートから魔王と呼ばれるまで〜

芝桜

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終章 ニートの逆襲

第6話 エルフ竜騎士団

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「ヴリトラ! あそこの飛空艦の横に竜たちを着陸させろ! 」

 桜島の飛空艦発着場の上空に辿り着いたところで、俺はヴリトラにメレスの旗艦の近くに着陸するよう命令した。

《ヴオッ! ヴオォォォォン! 》

 するとヴリトラは首を縦に振ったあとに、高度を下げながら後方にいる53頭の竜に向け咆哮した。

 後方を飛んでいた竜たちはそれに答えるように咆哮し、ヴリトラの後に続いて王竜、上位竜、ノーマル竜の順にそれぞれ発着場へと降り立った。

「よし、ヴリトラ。ここで少し待っていてくれ。あとで鞍《くら》というか座席を付けるから嫌がらないようにな」

 俺はまたがっていたヴリトラの首から立ち上がり、飛翔のスキルで地上へと降りながらそう言い聞かせた。

《ヴオッ! ヴオァ! ヴオッ! 》

「ん? 風竜王《ウインドドラゴンロード》と話したいのか? ああ、確かメスだったな。あんまりしつこくして嫌われないようにな? 」

《ヴォォン! 》

「俺は強くて紳士なオスだから大丈夫だって? 紳士って……まあいいや、ほどほどにな」

《ヴォッ、ヴォッ! 》

 念話で伝わって来たイメージに呆れていると、ヴリトラはさっそく回れ右をして二足歩行で風竜王のもとへと歩いていった。

 ……妙に人間臭いんだよなこの竜。本当に幻獣界から召喚された竜なのか?

 俺はかつての宿敵であるヴリトラの人間臭さに首を傾げた。

 まあいいか。多少時間が掛かったが、こうして無事に奥の手を用意できたしな。

 そう、俺が悪魔に対抗するために用意していた奥の手とは、この【魔】の古代ダンジョンの竜たちのことだ。

 ダンジョンから魔物が溢れ出したと聞いた2時間前。

 俺は管制塔にどんな魔力反応があっても騒がないように命令し、ラウラに連絡をして状況を伝えた。そこでラウラもアメリカ領に向かう所だったと知り、俺のところに来れないことを詫びるラウラに気にしなくていい。それよりアメリカの人たちを頼むと言って念和を切った。

 そして【魔】の古代ダンジョンへと向かい、この竜たちを用意した。

 当初は強力な悪魔や魔界の魔獣らしいケルベロスなどが、大量に日本各地に上陸した時のために用意していた最後の手段だった。それをまさかこんなに早く出すことになるとはな。

 しかしこの竜たちが街に現れれば、鬼系ダンジョンクラスの上層や中層の魔物なんてその姿と咆哮を聞いただけで怯え隠れようとするだろう。

 俺はこの竜たちを各ダンジョンから出てくる魔物の殲滅と、街で暴れているゴブリンやオークやオーガの動きを止めるために使うつもりだ。

 とにかく今は各地で起こっている殺戮を止めるのが優先だ。ゴブリンやオークが逃げて更に分散したとしても、一旦仕切り直せさえすれば軍とギルド員と民兵でローラー作戦を行い片っ端から狩ることができる。こっちには弥七や幻影大隊がいるしな。すぐに見つけてやるさ。

 ああそうそう。この竜たちはヴリトラがいることからわかるように、俺が昔古代ダンジョンの最下層から地上に出るまでに倒した竜と、エインヘルヤルたちが倒した竜を蘇生させたものだ。

 生きたままダンジョンから竜たちを出すことはできないしな。サイズ的に階段なんか登れないし。

 今回蘇生させたのは、最下層のボスで伝説級の名付きの黒竜であるSS+ランクのヴリトラ。

 80と90階層のボスであり95階層からちょこちょこ現れていた王竜の中から、S+ランクの火竜王と風竜王と氷竜王の3頭を。

 60と70階層のボスであり91階層から雑魚敵として各階層にいた上位竜の中から、Sランクの上位風竜10頭。

 そして40と50階層のボスであり下層全般の雑魚敵だった、S-ランクのノーマル竜を40頭の全部で54頭だ。

 蘇生したことにより竜たちのランクは下がったが、狭いダンジョンではなくこの広い大地と空ならその能力を最大限発揮することができるはずだ。下がった分はそれでカバーできるだろう。

 ああ、それとヴリトラや王種たちを蘇生させたことで俺のランクも下がった。

 ヴリトラと王種は俺が倒した竜だ。それも4年以上前にだ。当然魂はもうこの世には無く、俺の魂の中にだけある状態だ。その魂が蘇生したことにより無くなれば、当然倒した時に得た力も失う。

 その結果。今のステータスはこんな感じになった。


 ーーーーー

 阿久津 光 

 種族:人族

 体力:SS+

 魔力:SSS-

 力:SS

 素早さ:SS

 器用さ:SSS-


 取得ユニークスキル: 【滅魔】.【結界】.【飛翔】. 【契約】.【再生】・【魂縛】

 取得スキル:

【スモールヒール Ⅳ 】. 【ミドルヒール Ⅴ 】
【ラージヒール Ⅴ 】.【エリアヒールⅢ】
【鑑定 Ⅳ 】. 【探知 Ⅴ 】. 【暗視 Ⅴ 】. 【身体強化 Ⅴ 】. 【豪腕 Ⅴ 】
【追跡 Ⅴ 】.【錬金 Ⅳ 】.【調合 Ⅲ 】.【硬化 Ⅳ 】.【鷹の目 Ⅴ 】.【遮音 Ⅴ 】
【 隠蔽 Ⅴ 】.【危機察知 Ⅲ 】.【地図 Ⅳ 】.【言語 Ⅳ 】.【精神耐性 Ⅲ 】
【状態異常回復 Ⅱ】
【風刃 Ⅴ】.【圧壊 Ⅳ 】.【炎槍 Ⅴ  】 .【豪炎Ⅳ】.【灼熱地獄 Ⅴ 】
【氷槍 Ⅴ 】.【氷河期 Ⅴ 】 .【地形操作 Ⅴ 】.【千本槍 Ⅴ】.【光槍Ⅳ】.【聖炎Ⅳ】


 備考: 【魔を統べる者】【デルミナ神の加護】

 ーーーーー


 まあ全ての能力が1ランク落ちたってとこだ。この程度で済んだのは、これまで高ランクの魔物を大量に倒していたからだろう。あとデルミナの呪いも影響しているのかもしれない。

 ランクはどうせ悪魔どもを倒した後は、また元に戻るだろうから気にしない。俺の強さはステータスなんかじゃなくてこのチートスキルだからな。

 いやぁ、それにしてもこれだけの数の竜を蘇生するのはしかししんどかった。魔石と身体は完全体に近い状態で残していたけど、そこはさすが竜種だ。人間やドッペルゲンガーを蘇生するより遥かにしんどかった。何度も古代ダンジョンに魔力の補充に行ったよ。

 まあこうなるとは思っていたからダンジョンの前で蘇生させたんだけどな。

 そして問題なく『魂縛』のスキルで、ヴリトラを始め竜たちを隷属させることができた。

 本来なら魂縛のスキルは3ランク以上下のランクの者にしか発動できないから、1ランクしか差がないヴリトラには効かないはずだ。けど、なんとなくできそうな気がしたからやってみたらできた。

 当初はヴリトラと交渉して、契約のスキルで縛ろうと思ってたんだけどな。魂縛が成功したのは、恐らく滅魔同様に熟練度が上がったからだと思う。これまで寄子の貴族やその一族の魂を縛りまくったし、うちの軍やギルド員への刑罰の度に、古代ダンジョンの竜を隷属させて戦わせたりとかなり使ったからな。間違ってもデルミナの呪いのお陰じゃないはずだ。多分……



「コウ! 」

「コウさん! 」

「コウ君! 」

 俺が地上に降り立つと、リズを筆頭に恋人たちとアルディスさんが駆け寄ってきた。

「みんなお待たせ」

「コウ! マジなのか? マジでドラゴンを使役したのか? 」

 俺が手をあげて皆に挨拶をすると、リズが真っ先に抱きついて目を輝かせながらそう確認してきた。

「コウさん凄いですぅ! ドラゴンさんまで魂……使役してしまうなんて驚き桃の木ですぅ! 」

 シーナはうっかり魂縛のスキルのことを口にしそうになったが、アルディスさんがいることに気付いて慌てて言い直した。

「コウ君! ドラゴンまで支配下に置くなんて凄いわ! いったいどうやったのよ!? これだけの竜がいれば世界征服なんて余裕よ? やっちゃう? ゼオルムを皇帝の座から引きずり下ろしちゃう? 」

 リズ並みに興奮している様子のアルディスさんが、俺の両手を取りながら夫が皇帝をしている帝国を滅ぼせと持ちかけてきた。

「お、お母様! それではお父様がかわいそうです」

 メレスが魔帝がかわいそうだとアルディスさんに言うが、それは父親が負けるのは確定と言っているようなものだと気づいているんだろうか? 是非録音して魔帝に聞かせてやりたい。

「アルディスさん、コウはそんな面倒なことしないわよ。それにしてもまさかこんな事を考えてたなんて……大量の大型の軍旗を発注したのも、革の加工職人を集めて何か作らせていたのもあの竜のためだったのね。あの竜たちのために……

 ティナがアルディスさんをたしなめながらも、どこか遠い目で俺の後ろに整列している竜たちを見つめながらそう口にした。

 きっと今後何百年もかかり続ける餌代のことを考えているんだろう。

 すまんティナ。なんとか餌代を捻出する方法を考えるから。それどころか利益が出る方法を考えてみせるから。

「本当にとんでもない人。私がいた王国、いえ世界全体でも竜を使役するのはもちろん、ダンジョンから出した人間なんて一人もいなかったわよ? それを50頭以上も……蘇生したのね? 」

 カーラが呆れた顔をしながらも、俺が竜を蘇生して使役したことを言い当てた。

「ああ、あの黒竜はヴリトラだ。俺がダンジョンの最下層に飛ばされて、一番最初に倒した【魔】の古代ダンジョンの百階層のボスだよ」

 俺は首を後ろに向け、あの黒竜が古代ダンジョンの最下層のボスだと皆に紹介した。

 しかし俺の視線の先のヴリトラは風竜王の前で頭を下げ、見るからに落ち込んでる様子だった。恐らく言い寄ったが相手にされなかったんだろう。

 その姿に【魔】の古代ダンジョンのボスとしての威厳など、全くと言っていいほど感じられなかった。

 何してんだよヴリトラ……

「ああっ!? どこかでみたことあると思ったら、昔一度だけ死体を見せてもらったあの黒竜じゃんか! 」

「ふえぇ! あれがヴリトラさん……SSS-ランクの名付きの黒竜……」

「言われてみれば以前見た黒竜ね。まさか古代ダンジョンの最下層のボスまで蘇生させちゃうなんて……」

 リズとシーナとティナは昔見せたことがあるから思い出したようだ。

「あれが私とゼオルムが挑もうとしていた【魔】の古代ダンジョンの最下層のボス……」

「あの黒竜が光が命懸けで戦ったというヴリトラなのね……でも光? なぜヴリトラはうなだれているの? 何かあったのかしら? 」

「さ、さあ? それより皆には王竜に乗って各ダンジョンに行ってもらいたいんだ」

 俺はヴリトラの名誉のためにメレスへ曖昧な返事をしたあと、皆に竜に乗って鬼系のダンジョンのある地域に言ってもらうつもりだと話した。

 その瞬間。

「イヤッホゥゥ! やったぜ! 期待していた通りだぜ! コウなら絶対そう言ってくれると思ってんだ! 私はあの強そうな火竜にするから! シーナ! 行こうぜ! 」

「ふえぇ! ま、待ってくださいですぅ! リズさんと火竜王に乗ったら兎が丸焼きにされてしまいそうですぅ! 兎はコウさんと一緒の……ふえぇぇ……ぇ」

 リズが真っ先にシーナの腕を取り、火竜王の所へと駆けていった。

「ちょっ! リズ! リズとシーナは俺と一緒に……あーあ、行っちゃったよ」

 参ったな……火竜王はリリアを乗せるつもりだったんだけどな。よりにもよってリズが一番火力のある火竜王に乗りたいとか言うなんて……ああなったリズは取り上げようとすると、子供のように駄々をこねるんだよな。

 はぁ……今はそんなことをしている時間は無い。仕方ないな。都心じゃなくてなるべく地方のダンジョンに行かせればいいか。

「コウ君! 私も乗れるのよね? ゼオルムはさっき連絡があって帝城から動けないみたいだから大丈夫よ。私も行くから! 絶対に竜に乗って行くからね!? 」

「え、ええ。そのつもりですよ……」

 リズに続き今にも竜のところに行きそうなアルディスさんへ、俺は顔を引きつらせながらそう答えた。

「コウが支配下に置いたと言うなら大丈夫なんだろうけど、まさか私が竜に乗ることになるなんて」

「竜を使った方が下級の魔物には効果的なんだ。まずは魔物の動きを止めたいんだよ。そういうわけで今から座席付きの鞍を渡すから、待機組の兵を使って各自で取り付けてくれ。それぞれ騎乗する竜はティナとオリビアが風竜王で、メレスとアルディスさんが氷竜王。カーラとリリアは俺と一緒に黒竜に乗ってくれ」

 俺はティナの心配そうな言葉に笑って答えたあと、空間収納の腕輪から装具の入ったマジックバッグを取り出した。そして恋人たちとアルディスさんに竜を割り振り、装具をつけるように伝えた。

「やったわ! メレスロス! ママと一緒に氷結地獄を作るわよ! まさか本物の竜と一緒に戦えるなんて! なんて日なの! さあ行くわよ! あの竜に乗って思いっきり戦っ……魔物に苦しめられているコウ君の領民を助けるのよ! 」

「お、お母様!? 街を凍らせたら光に怒られます! 聞いてますかお母様!? 」

 アルディスさんは不穏な言葉を言いかけたあと、リズ同様にメレスの腕を取って氷竜王のいる所へと駆けていった。

 まあ出発前に釘を刺しておけばあの人は大丈夫だろう。なんだかんだ俺の言うことは聞いてくれるし。それにメレスもいるしな。

「リズもアルディスさんもあんなにはしゃいじゃって……いいわ、コウの故郷を救うためですもの。竜でもなんでも乗ってみせるわ。オリビア行きましょう」

「ええ、まさか竜に乗ることになるなんて……こんなこと想像すらしていなかったわ」

「できればこの手は使いたくなかったんだけどね。オリビア、日本を頼む」

「はい。コウさんの故郷ですもの。一人でも多くの人を救ってみせます」

「ありがとう。愛してるよ」

 俺はそう言ってオリビアにキスをした。そしてティナともキスをして二人を風竜王のもとへと送り出した。

 そして次に少し離れた場所に停泊している飛空艦の前で、多くのエルフたちと共に震えながら竜たちを見ているアイナノアとグローリーを呼んだ。

「アイナノア少佐にグローリー大尉! 」

「は、はいぃぃ! 」

「は、はいっ! 」

 俺が二人の名前を呼ぶと慌てた様子で駆け寄ってきた。が、視線は竜へ固定されている。

「あそこの竜は俺の支配下にあるから安心していいよ。それより精霊連隊の風精霊の森のエルフたちには、あそこにいる上位風竜とノーマルの風竜に乗って各ダンジョンに行ってもらいたい。そしてダンジョンから出てくる魔物をギルドや民兵と協力して牽制または殲滅する組と、街に散った魔物を威嚇して回る組に分かれて行動して欲しい」

「わ、私たちが竜に!? 」

「だから風精霊のエルフだけを……」

「そうだ。万が一落ちても風精霊の森のエルフなら空を飛べるからね。護りの指輪は戦闘機乗りに優先して配布しているから、君たちに頼むしかなかったんだ。あそこにいる竜を恐れることはないよ。絶対に君たちを傷つけないから。信じて欲しい。そして日本領を、俺の故郷を救って欲しい」

 俺は二人の目を見つめそう頼んだ。

「アクツさん……私たちは公爵軍の軍人です。行けと言われればどこだって行きます。何よりアクツさんは私たちの大恩人です。そのアクツさんの故郷が大変なことになっているんです。竜でもなんでも乗ってみせます! 」

「アイナのいう通りです。エルフの森からも義勇軍として精鋭があんなに来てくれてます。みんなアクツさんによって受けた恩を少しでも返したいって喜んで集まってくれてます。それに……フフッ、エルフの竜騎士ですか。いいじゃないですか。風竜なら相性もいいでしょうしね。竜ほどの魔物なら、シルフを介しての意思の疎通も問題ないでしょう。エルフの強さを帝国に知らしめる良い機会になります」

「二人ともありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。これに装具が入っている。連隊のエルフと援軍に来てくれた人たちでつけて欲しい。取り付けは簡単にできるようになっているから。なるべく急ぎで頼む」

 俺はそう言って二人にマジックバッグを3つ渡した。

「はい。急いで取り付けます。グローリー、行きましょう! 」

 アイナノアはそうグローリーに告げたあと、精霊連隊と義勇軍のエルフを呼び風竜のいる場所へと駆けていった。

「さて、それじゃあ俺たちも行こうか」

 アイナノアたちを見送った俺は後ろを振り向き、リリアとカーラへとそう告げた。

「ええ、でも私を同乗させるってことは何か考えがあるのね? 」

「ああ、俺とカーラにしかできない事がね」

 できればやりたくはなかったが仕方ない。リズが大喜びする姿が目に浮かぶよ……

「私とコウにしかできないこと? そう……じゃあアレをやるのね? フフフ、どんどん魔王らしくなっていくわね」

「もう諦めたよ。領民を救えるなら魔王でもなんでもいいさ」

「光殿? 何をなさるつもりですか? 」

「いや、大したことじゃないよ。ちょっと魔物がダンジョンから出てくるのを遅らせる方法があってさ。それをやろうとしているだけさ」

 しまったな……リリアがいたんだったな。だから火竜王に乗せようとしたのにリズのやつ……

「なるほど。ダンジョンから出てくる魔物を黒竜で殲滅するのですね? 確かに黒竜に黒い鎧姿の光殿がまたがっていれば、その圧倒的な武力も相まって魔王と恐れられるかもしれませんね。それでしたら私も是非一緒にやらせてください。魔王のその……き、妃と呼ばれても私は平気ですから! 」

「あ、ああ……ありがとう」

 俺は頬を染めて恥ずかしそうに口にしたリリアの言葉に、ただありがとうと返すほか無かった。

 これは言えないな……

 俺の『還魂』のスキルとカーラの種族魔法の死者操術で、殺した魔物をゾンビ化してダンジョンに突っ込ませようとしているなんて……とてもじゃないが言えない。

 どうせお化けが大の苦手なリリアが発狂するのは確定なんだ。

 だったら知るのはなるべく遅い方がいいだろう。

 俺は現地で発狂しながら浄化のスキルを連打するリリアの姿を思い浮かべながら、二人を連れてヴリトラに装具を取り付けに向かうのだった。


 そしてそれから1時間後。

 俺の目の前には装具を装着し終え、竜の背に乗った恋人たちとエルフの竜騎士たちが整列している。

「それでは出発する! 」

「阿久津公爵軍エルフ竜騎士団! 出発! 」

 俺の号令をアイナノアが復唱し

《グオオオォォォン!! 》

《《 》》

 ヴリトラを皮切りに53頭の竜たちの咆哮が桜島全体に響き渡った。

 そしてヴリトラを先頭に一斉に竜たちが飛び立った。

 待ってろよ鬼ども……

 俺の領地で、この日本で好き勝手暴れているお前らを一匹残らず殲滅してやる!


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