2 / 2
2話「イザベラを教育せよ」
しおりを挟む
イザベラを育て上げる方向性でいくことに決めたのはいいが、今のミレアの仕事はキッチンメイドだ。公爵家の令嬢であるイザベラとの関わりは限りなく薄い。
メイドの階級は全部で七つ。一番下はスカラリーメイド。役割は皿洗いや床掃除、水汲み、食材の搬入など重労働が多い。
二番目はキッチンメイドでミレアが属している。調理補助だ。
三番目はハウスメイドで、一般的な部屋の清掃と火熾し、給仕補助をする。
その次に、上級ハウスメイドがおり、客間や主人の部屋の清掃、ベッドメイクを担当する。チップを受け取れるのは、客人と接する機会のある上級ハウスメイドになってからだろう。
さらに昇級すると、令嬢の身の回りの世話を焼く、ヤングレディメイドに任命される。髪を結ったり、服を修繕したり、出かける際に付き添ったり、時には話し相手になることや、お茶に付き合うこともあるだろう。
そうして奥方の目に止まれば、奥方の身の回りの世話を焼くレディメイドに指名され、それらを管理するメイドの最上位が、家政婦長のハウスキーパーだ。ハウスキーパーは奥方の次に権限を持ち、使用人の採用、解雇、監督に勤務日数、配属、日用品の管理、リネン室を任せられている。経験豊富な中年女性が就き、ミレアを探しに来たのもそうだ。やることが多岐に渡るため、給与もそれなりにもらっている。
イザベラと関わりを持つためには、昇級してハウスメイドになり、給仕補助として積極的に関わりつつ、上級ハウスメイド、ゆくゆくはヤングレディーメイドになり専属の世話係になるしかない。
継続年数も関係しているため、最速での昇級を目指すとなると、ヤングレディメイドになるまでは三年。その三年の間に、どうにか風向きを変え、イザベラの信頼を勝ち取る必要がある。
(私には原作の知識があるのよ。それに、作者の幼馴染みだから、裏設定も知っていて有利のはず。イザベラを攻略するのは、そこまで難しくないわ)
十二歳のミレアだったらそんな考えに至ること自体あり得ないが、あいにく、中身は現代から転生した二十六歳だ。勝算はある。
前世が保育士だったのならばさらに攻略難易度は低かっただろうに、仕事は医療事務と、子どもとの接触はそこまで多くはなかった。でも、親戚の子どもを数か月ほど預かる機会はあったので、まったく経験がないわけではない。
「誰か。お茶とおやつを運ぶのを手伝ってくれない? 今日も、公爵夫人から聞いた、なんとかティーをやるそうよ」
もうすぐ午後の三時を迎える。なんとかティーとは、現代では定番になりつつあるアフタヌーンティーのことを指す。昼食から夕食まで時間が空くことから、空腹を満たすために、フランドル侯爵夫人の知り合いの公爵夫人が、初めて取り入れた習慣だという。新しいこと好きのフランドル侯爵夫人は、嬉々として参考にしており、連日楽しんでいた。
夫人が邸宅に客人を招き、お茶や軽食を囲んでもてなしながらお喋りに興じて交流する。まだ、社交界デビューする前の若い娘に、社交の場を体験させる意図も含まれる。海外から輸入された茶葉にミルクを注ぎ、サンドイッチや焼き立てのスコーンを食すのだ。早速、チャンスが到来した。
「行きます!」
ミレアよりも二つ三つ年上の上級ハウスメイドは、反射するほど磨かれた銀のトレイの上に、玉子やハム、チーズが挟まった一口サイズのサンドイッチが乗った平皿を置いた。彼女が手にしているトレイからは、焼き立てのスコーンの香ばしい香りが漂ってくる。
「お嬢様は機嫌が悪いから、粗相がないようにね」
「はい。承知しました」
指示されるまま、ミレアは二階にある一室へ向かった。
毛足の長い絨毯が敷かれた応接間に足を踏み入れると、十歳のイザベラ・ディ・フランドルは、むすっとした表情のまま、ベルベット生地のソファに寄りかかっていた。脚を投げ出して姿勢が悪い。どうやら、母親である侯爵夫人が、自分を置いて外出しているために不機嫌なのだろう。
ゆるくウェーブのかかった腰よりも長い赤毛に、ぱっちり二重で大きな真紅の瞳、鼻は低すぎず高すぎず、唇はリップを塗っているのか桃色で愛らしい。母親によく似ている。
上級ハウスメイドはティーポットからカップに紅茶を注ぐ。とても一人で食べられる量ではないが、テーブルを埋め尽くすほど準備をしてほしいとイザベラがわがままを言ったらしい。
「イザベラ様。お待たせ致しました」
「もう、待ちくたびれたわ!」
そうは言っても現在時刻は三時丁度だ。時間通りに準備している。
頬を膨らませたイザベラは、上級ハウスメイドに文句を言いながらも焼き立てのスコーンに手を伸ばした。添えられたクリームをつけたり、アプリコットジャムを塗ったり、次から次へと平らげる。
(……さすがに食べすぎでは)
四つ、五つと完食しているのでミレアは驚いた。昼食は正午に取っている。それから三時間しか経っていないのに、ペースが早かった。
本来ならば、提供を終えればすぐに退散するものだが、上級ハウスメイドはミレアに対し、後ろで待機するように視線だけで合図した。二人きりになりたくないのだろう。
「ふん。今日のスコーンはまぁまぁね」
口では辛辣に言いながらも、好物らしくさらに手を伸ばそうとしていた。
「お嬢様」
「なによ? 文句でもあるの?」
食べ過ぎだと咎められると思ったのか、ふんと鼻を鳴らされた。ミレアは小さく首を振って否定した。
「いいえ。スフレパンケーキ、食べたくないですか?」
この時代のパンケーキは薄く焼いて重ねたものが定番だ。作中でも何度か登場している。だから、あえて提案してみることにした。好奇心旺盛なイザベラは新しい物好きだ。
「……すふれ、パンケーキ? そのすふれ、ってやつは、なんなの?」
見事、興味を示したのでミレアは力説した。
「ふわふわ──なんです」
「ふわふわ?」
「ええ。ふわふわです。作ってきてもいいですか?」
「ふん。いいわ、行ってきなさい。ただし、三十分で戻りなさい」
「もちろんです。お腹を空かせて待っていてください」
了承を得たので、一礼してから一階のキッチンに戻り、新鮮な卵三つと牛乳、砂糖、小麦粉を準備した。ワイヤー製の泡立て器があって助かった。卵黄と卵白を分け、卵黄の入ったボウルには小麦粉と牛乳を、卵白の入ったボウルには砂糖を少し加えた。固いメレンゲを作るには卵白をしっかり冷やし、複数回に分けて砂糖を投入して、その都度混ぜなければならない。砂糖を入れた直後はゆっくり、混ざった後は手早くし、緩急をつけるのがコツだ。
(コスプレの他に趣味がお菓子作りなのよね)
ベーキングパウダーや重曹はないので、メレンゲの角をしっかりと立て、メレンゲを潰さないように生地と複数回に分けてさっくり混ぜた。
温めたフライパンにバターを入れ、ぼとっと落として厚く焼く。膨らす成分はないが、スフレパンケーキが完成した。
「お待たせしました、お嬢様」
すぐ二階に戻ったというのに、イザベラの様子はおかしかった。
「ううっ……」
スコーンの食べ過ぎで膨張感と胃もたれしているようだった。それもそのはず。スコーンにはバターがたっぷり使われている。
「スフレパンケーキ、召し上がらないのですか?」
「食べたい……けど、でも……っ!」
スコーンを五つも平らげ、ミレアが戻るのを待っていたので気持ちが悪くなっていても不思議ではない。そのためにわざと、ゆっくり作業していた節もある。
あろうことかイザベラは、手で口元を押さえようとしたものの、その場に吐き出してしまった。
「お嬢様!?」
当然ながら上級ハウスメイドは大慌てだ。令嬢が嘔吐したので顔面蒼白になっている。
ミレアはここぞとばかりにイザベラに近づき、一礼してから介抱する。子どもは嘔吐しやすいことくらい、親戚を預かった際に体験済みだ。
「イザベラ様。少しずつ食べると、美味しい物がいっぱい食べられますよ」
そう諭しながら背中を優しくさすった。
「すふれぱんけーき……」
「また作って差し上げますから」
「……うん」
フランドル侯爵夫人が不在という絶好のチャンスに、一回目の接触を見事に成功させた
メイドの階級は全部で七つ。一番下はスカラリーメイド。役割は皿洗いや床掃除、水汲み、食材の搬入など重労働が多い。
二番目はキッチンメイドでミレアが属している。調理補助だ。
三番目はハウスメイドで、一般的な部屋の清掃と火熾し、給仕補助をする。
その次に、上級ハウスメイドがおり、客間や主人の部屋の清掃、ベッドメイクを担当する。チップを受け取れるのは、客人と接する機会のある上級ハウスメイドになってからだろう。
さらに昇級すると、令嬢の身の回りの世話を焼く、ヤングレディメイドに任命される。髪を結ったり、服を修繕したり、出かける際に付き添ったり、時には話し相手になることや、お茶に付き合うこともあるだろう。
そうして奥方の目に止まれば、奥方の身の回りの世話を焼くレディメイドに指名され、それらを管理するメイドの最上位が、家政婦長のハウスキーパーだ。ハウスキーパーは奥方の次に権限を持ち、使用人の採用、解雇、監督に勤務日数、配属、日用品の管理、リネン室を任せられている。経験豊富な中年女性が就き、ミレアを探しに来たのもそうだ。やることが多岐に渡るため、給与もそれなりにもらっている。
イザベラと関わりを持つためには、昇級してハウスメイドになり、給仕補助として積極的に関わりつつ、上級ハウスメイド、ゆくゆくはヤングレディーメイドになり専属の世話係になるしかない。
継続年数も関係しているため、最速での昇級を目指すとなると、ヤングレディメイドになるまでは三年。その三年の間に、どうにか風向きを変え、イザベラの信頼を勝ち取る必要がある。
(私には原作の知識があるのよ。それに、作者の幼馴染みだから、裏設定も知っていて有利のはず。イザベラを攻略するのは、そこまで難しくないわ)
十二歳のミレアだったらそんな考えに至ること自体あり得ないが、あいにく、中身は現代から転生した二十六歳だ。勝算はある。
前世が保育士だったのならばさらに攻略難易度は低かっただろうに、仕事は医療事務と、子どもとの接触はそこまで多くはなかった。でも、親戚の子どもを数か月ほど預かる機会はあったので、まったく経験がないわけではない。
「誰か。お茶とおやつを運ぶのを手伝ってくれない? 今日も、公爵夫人から聞いた、なんとかティーをやるそうよ」
もうすぐ午後の三時を迎える。なんとかティーとは、現代では定番になりつつあるアフタヌーンティーのことを指す。昼食から夕食まで時間が空くことから、空腹を満たすために、フランドル侯爵夫人の知り合いの公爵夫人が、初めて取り入れた習慣だという。新しいこと好きのフランドル侯爵夫人は、嬉々として参考にしており、連日楽しんでいた。
夫人が邸宅に客人を招き、お茶や軽食を囲んでもてなしながらお喋りに興じて交流する。まだ、社交界デビューする前の若い娘に、社交の場を体験させる意図も含まれる。海外から輸入された茶葉にミルクを注ぎ、サンドイッチや焼き立てのスコーンを食すのだ。早速、チャンスが到来した。
「行きます!」
ミレアよりも二つ三つ年上の上級ハウスメイドは、反射するほど磨かれた銀のトレイの上に、玉子やハム、チーズが挟まった一口サイズのサンドイッチが乗った平皿を置いた。彼女が手にしているトレイからは、焼き立てのスコーンの香ばしい香りが漂ってくる。
「お嬢様は機嫌が悪いから、粗相がないようにね」
「はい。承知しました」
指示されるまま、ミレアは二階にある一室へ向かった。
毛足の長い絨毯が敷かれた応接間に足を踏み入れると、十歳のイザベラ・ディ・フランドルは、むすっとした表情のまま、ベルベット生地のソファに寄りかかっていた。脚を投げ出して姿勢が悪い。どうやら、母親である侯爵夫人が、自分を置いて外出しているために不機嫌なのだろう。
ゆるくウェーブのかかった腰よりも長い赤毛に、ぱっちり二重で大きな真紅の瞳、鼻は低すぎず高すぎず、唇はリップを塗っているのか桃色で愛らしい。母親によく似ている。
上級ハウスメイドはティーポットからカップに紅茶を注ぐ。とても一人で食べられる量ではないが、テーブルを埋め尽くすほど準備をしてほしいとイザベラがわがままを言ったらしい。
「イザベラ様。お待たせ致しました」
「もう、待ちくたびれたわ!」
そうは言っても現在時刻は三時丁度だ。時間通りに準備している。
頬を膨らませたイザベラは、上級ハウスメイドに文句を言いながらも焼き立てのスコーンに手を伸ばした。添えられたクリームをつけたり、アプリコットジャムを塗ったり、次から次へと平らげる。
(……さすがに食べすぎでは)
四つ、五つと完食しているのでミレアは驚いた。昼食は正午に取っている。それから三時間しか経っていないのに、ペースが早かった。
本来ならば、提供を終えればすぐに退散するものだが、上級ハウスメイドはミレアに対し、後ろで待機するように視線だけで合図した。二人きりになりたくないのだろう。
「ふん。今日のスコーンはまぁまぁね」
口では辛辣に言いながらも、好物らしくさらに手を伸ばそうとしていた。
「お嬢様」
「なによ? 文句でもあるの?」
食べ過ぎだと咎められると思ったのか、ふんと鼻を鳴らされた。ミレアは小さく首を振って否定した。
「いいえ。スフレパンケーキ、食べたくないですか?」
この時代のパンケーキは薄く焼いて重ねたものが定番だ。作中でも何度か登場している。だから、あえて提案してみることにした。好奇心旺盛なイザベラは新しい物好きだ。
「……すふれ、パンケーキ? そのすふれ、ってやつは、なんなの?」
見事、興味を示したのでミレアは力説した。
「ふわふわ──なんです」
「ふわふわ?」
「ええ。ふわふわです。作ってきてもいいですか?」
「ふん。いいわ、行ってきなさい。ただし、三十分で戻りなさい」
「もちろんです。お腹を空かせて待っていてください」
了承を得たので、一礼してから一階のキッチンに戻り、新鮮な卵三つと牛乳、砂糖、小麦粉を準備した。ワイヤー製の泡立て器があって助かった。卵黄と卵白を分け、卵黄の入ったボウルには小麦粉と牛乳を、卵白の入ったボウルには砂糖を少し加えた。固いメレンゲを作るには卵白をしっかり冷やし、複数回に分けて砂糖を投入して、その都度混ぜなければならない。砂糖を入れた直後はゆっくり、混ざった後は手早くし、緩急をつけるのがコツだ。
(コスプレの他に趣味がお菓子作りなのよね)
ベーキングパウダーや重曹はないので、メレンゲの角をしっかりと立て、メレンゲを潰さないように生地と複数回に分けてさっくり混ぜた。
温めたフライパンにバターを入れ、ぼとっと落として厚く焼く。膨らす成分はないが、スフレパンケーキが完成した。
「お待たせしました、お嬢様」
すぐ二階に戻ったというのに、イザベラの様子はおかしかった。
「ううっ……」
スコーンの食べ過ぎで膨張感と胃もたれしているようだった。それもそのはず。スコーンにはバターがたっぷり使われている。
「スフレパンケーキ、召し上がらないのですか?」
「食べたい……けど、でも……っ!」
スコーンを五つも平らげ、ミレアが戻るのを待っていたので気持ちが悪くなっていても不思議ではない。そのためにわざと、ゆっくり作業していた節もある。
あろうことかイザベラは、手で口元を押さえようとしたものの、その場に吐き出してしまった。
「お嬢様!?」
当然ながら上級ハウスメイドは大慌てだ。令嬢が嘔吐したので顔面蒼白になっている。
ミレアはここぞとばかりにイザベラに近づき、一礼してから介抱する。子どもは嘔吐しやすいことくらい、親戚を預かった際に体験済みだ。
「イザベラ様。少しずつ食べると、美味しい物がいっぱい食べられますよ」
そう諭しながら背中を優しくさすった。
「すふれぱんけーき……」
「また作って差し上げますから」
「……うん」
フランドル侯爵夫人が不在という絶好のチャンスに、一回目の接触を見事に成功させた
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない
エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい
最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。
でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。
悪役令嬢のはずですが、年上王子が幼い頃から私を甘やかす気でいました
ria_alphapolis
恋愛
私は、悪役令嬢なのかもしれない。
王子の婚約者としては少し我儘で、周囲からは気が強いと思われている――
そんな自分に気づいた日から、私は“断罪される未来”を恐れるようになった。
婚約者である年上の王子は、今日も変わらず優しい。
けれどその優しさが、義務なのか、同情なのか、私にはわからない。
距離を取ろうとする私と、何も言わずに見守る王子。
両思いなのに、想いはすれ違っていく。
けれど彼は知っている。
五歳下の婚約者が「我儘だ」と言われていた幼い頃から、
そのすべてが可愛くて仕方なかったことを。
――我儘でいい。
そう決めたのは、ずっと昔のことだった。
悪役令嬢だと勘違いしている少女と、
溺愛を隠し続ける年上王子の、すれ違い恋愛ファンタジー。
※溺愛保証/王子視点あり/幼少期エピソードあり
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
悪役令嬢の取り巻き令嬢(モブ)だけど実は影で暗躍してたなんて意外でしょ?
無味無臭(不定期更新)
恋愛
無能な悪役令嬢に変わってシナリオ通り進めていたがある日悪役令嬢にハブられたルル。
「いいんですか?その態度」
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる