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#3 クソみたいな青春イベント
Ep.13 開幕!林間学校
しおりを挟む澄んだ空気、青い空、見上げれば爽やかな深まる緑の海。
豊かな自然の中で、友達と深める友情………
そう、今日から林間学校が始まったのだ。
暑いの嫌い。虫嫌い。不便なところに収容されて、どうでもいい奴らと青春イベント(笑)して過ごす…そんなクソみたいなイベント、大っ嫌いだったけど。
今年の私は違う!なぜかって?
友達(小声)ができたから!!!
「おめでと~、ひーちゃん。どん底人生ついに薔薇色だねぇ。」
「つーかいつまで友達小声なんだよ。なんで頭の中でまで小声なんだよ。」
「………先、行ってる。」
榛名聖のまばらな拍手でハッと我に返る。
また奴らに私の脳内に介入されてしまった。
「……っていうか榛名聖。“ひーちゃん”ってなに。」
「えー?俺なりの親愛の証だよ?」
……何はともあれ!2泊3日の林間学校、始まります!!
講義終了を告げるアラームが鳴る。
それと同時に生徒たちはだるそうに立ち上がったり、散らかるノートをそのままに机に突っ伏したりしている。
白い校舎が古ぼけた講義室になって、白い制服が深い深緑色のジャージになっただけ。
いつもの学校風景と何が違うのだというのか。
「あっつー………。こんなんならエアコン効いた教室でいい。もう帰る。」
暑さによる不機嫌さを紛らわせるように勢いよくノートを閉じて、そのまま机に突っ伏した。
「嫌になるのはえーよ。まだ1講目だぞブス。友情も何も深まんねえよ。」
隣の金髪はその見てくれの不真面目さに似合わず、講義が終わってもなおノートを開いて何かを書いている。
私に苦笑しているのに視線はずっとテキストだ。
「うるさいバカ。私はあんたと違って繊細なの。暑さに弱いの。
――っていうかなんであんたと隣なの。」
「おめーが勝手に隣に来たんだろうが!」
心のゴングが鳴ったらしい金髪の怒号に、周りの視線が一気に集まる。
暑さで理性とやる気を奪われていた私は、ここでハッとした。
そうだった。私が仕方なくバカの隣にきた理由。
“女達に復讐するため”だった………!
素早く居住まいを正して、きゅるんと可愛い笑顔を作り、
手提げの中から可愛い包みを取り出す。
可憐に包みの結び目を解き、タッパーの蓋を開けると、その中身を金髪に差し出した。
「そういえば広瀬くん♡私クッキー作ってきたの♡食べて♡」
「いらねぇよ!お前の作ったのなんか、何入ってっかわっかんねぇ…」
「そんなこと言わずにぃ…食べさせてあ・げ・る♡」
「やめろぉおおおお!!」
――――
――……
「あっれぇ?なんか今、まーくんの叫び声が聞こえたような?」
「……いつものやつだろ。」
「そだねぇ。」
姫達のいる部屋から2部屋離れた室内で、涼介と聖は平和に次の講義の準備をしていた。
遠巻きに女子たちが熱視線を送っているのを2人は意にも介さない。
「友達できて、ひーちゃんの復讐とやらも落ち着くと思ったけど、ぜーんぜんだったね⭐︎」
あはは~、と聖は真意の見えない緩い笑顔をしている。
涼介は次の講義で使う英語のテキストをパラパラと捲りながら無感情にこう言った。
「あいつの女に対する印象が変わらない限り、無理だろ。聖がずっとヘラヘラしてんのと一緒。」
一瞬の間。だけど聖の表情に変化はなく、ゆらゆらと揺蕩う様は崩れない。
「えー、りょーちゃん辛辣~。」
おどけた口調に、涼介は一切応じない。
会話が終わらぬうちに、次の始業を告げるアラームが鳴る。
「――でも、そうだねぇ。」
クラスメイト達がバタバタと一斉に席に戻る喧騒にかき消され、珍しく無機質に呟いた言葉は誰の耳にも届かなかった。
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