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1話 婚約者からの突然の婚約破棄
しおりを挟む「婚約破棄……? 本気ですか?」
「もちろんだ。冗談でこんなことは言わない」
私は婚約者であるガルド・バラモン公爵令息に詰め寄っていた。なぜ急に婚約破棄を言い出したのか? その意味が分からなかったからだ。
「婚約破棄……信じられません。私達は半年も付き合って来たではありませんか。婚約破棄をして、ガルド様への悪い噂が流れることはあっても、メリットがあるとは思えないのですが……」
婚約破棄は貴族やその令嬢、令息にとって不名誉なことになる。ガルド様はシュタウト王国でも有名な家系に属している……猶更、噂になってしまうと思うけれど。だからこそ私は理解出来なかった。
「理由は色々ある。お前はそこそこ美人だが、性格面ではあまり合わなかった、この半年を過ごして実感したよ」
「性格面ですか……なるほど」
性格面を言われると難しいかもしれない。その部分が合うかどうかは理屈ではないからだ。お互いの寄り添い具合とか色々あると思うけど、最終的にはフィーリングになってしまうだろうし。
「だから私は公爵令嬢のリリアンナと婚約することにした。というわけでシリカ、お前はもう不要だ。伯爵令嬢には用はない」
「えっ……?」
私は耳を疑ってしまった。性格面での婚約破棄を通すのであれば、まだ分からなくはない。でも、ガルド様はリリアンナという名前を出したのだ。リリアンナ・シュバイツ公爵令嬢……大貴族の一角だ。単純に彼女に乗り換えたいだけなのでは? 私は伯爵令嬢でしかない……リリアンナ様との婚約が上手く行きそうなので、適当な理由を付けて婚約破棄に持ち込んでいるように感じてしまった。
「ガルド様、まさか……」
「ああ、余計な詮索は無用だシリカ。心配しなくても相応の慰謝料は用意してやる。それで、綺麗さっぱり忘れようじゃないか」
「……」
これはもう完全にそういうことだ。ガルド様は自分の家のことを考え、さらに上のリリアンナ様との婚儀を進めようとしている。私が邪魔になったので性格面がどうのこうのと持ち出したのだろう。反吐が出そうだ……なんて酷い。それならば最初から、家柄の関係でリリアンナを選ぶと言えば良いものを。
いや、これが彼の性格なのだ……ガルドは決して良い性格の持ち主ではない。この半年間でそれはよく分かっている。はっきり言ってしまえば彼が次期当主になった際、家が大丈夫かという不安さえ残ってしまう。
そして……彼は知らないようだ。真実というものを……。
「わかりましたガルド様。それでは私は失礼させていただきます。このような形で婚約破棄になること、非常に残念に思います……!」
「済まないな、シリカ。まあ、お前なら他の形で幸せを見つけられるだろう」
最後まで彼は悪びれる様子を見せなかった。まあ、どうでも良いわ……彼は真実を知らないのだから。それに、私の方としてもあんな人と一緒になりたいとは思わない。
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