1 / 17
1話 ボルドー第四王子からの婚約破棄
しおりを挟む
「フリージア・イルハートよ……本日はお前に大切な話がある」
「はい、なんでございましょうか? ボルドー様」
私はその日、婚約者であるボルドー・ウィクリフ第四王子殿下に呼び出されていた。ボルドー様はこのウィクリフ王国の第六位王位継承権の持ち主である。イルハート家は侯爵家系であり、昔からウィクリフ王国に仕えて来た名家らしい。
「お話しというのはなんでしょうか?」
「うむ、お前には妹のササリアが居たな?」
「ササリアでございますか……?」
確かに私の妹にはササリア・イルハートという人物が存在している。年齢は15歳であって、私より1つ年下だ。私が言うのもなんだけれど、貴族令嬢としては器量も良く頭も良いので、自慢の妹だったりする。その妹のササリアが今回の呼び出しに何か関係があるのかしら? 3人で会談でもしたいから呼び出してくれ……みたいな?
「実はササリアを既に呼んであるのだ」
「えっ? ササリアを呼んでいる……?」
ボルドー様の言葉とほぼ同時に、ササリアは入り口のドアから入って来た。タイミングが良過ぎるので、私達の会話を外から聞いていたのかしらね。
「姉さま、こんにちは」
「ええ、こんにちは。でも、驚きました、ボルドー様。ボルドー様がササリアを既に呼んでいらしたとは……」
やはり、3人で他愛もない会話をしたいとかそういう用事だったのかしら? でも……その割には空気が重いような気がするけれど。
「イルハートの家系は侯爵家系であり、貴族の中でも階級は高い方だ。そんな家系出身の者にこんなことを言うのは、申し訳ないのだが……私はササリアとの婚約を決めた」
「えっ……? どういうことですか……?」
急に私の耳の中に、聞こえてはいけない言葉が突き刺さった。婚約破棄……? 確かにボルドー様はそんなことを言ったような気がするけれど。20歳の彼はニヤリとした笑みを浮かべていた……その笑みはとても冗談だとは思えない。
「姉さま……ごめんなさい……私は、ボルドー様とその、婚約することになったから」
「ササリア……?」
ササリアには生気が感じられないけれど、言動だけはハッキリとしていた。
「まあ、つまりはそういうことだ。私が彼女に惚れてしまってな。顔や知能、スタイルなど、何を合わせてもフリージアよりも優れているだろう? 第四王子殿下という、天から授けられた地位に立つ私なのだから、より高位の女性を選ばなければならん」
「そ、そんな……では、私との婚約は……?」
「婚約破棄に決まっているだろう? お前はもう用なしということだ」
用なし……? そんなこと認められるわけがない。
「ま、待ってください、ボルドー様! 急に妹と婚約をするから、私とは婚約破棄だなんて……あまりに不条理でございます……! 何卒、お考え直しを……!」
「ええい、五月蠅い奴だな! 私はそうやって自分の意見を無理矢理通そうとする女が一番嫌いなのだ! お前とは婚約破棄だ、これは決定事項だ。分かったな?」
無理やり婚約破棄を通そうとしている人が何を言っているのだろうか……信じられないわ。
「姉さま、そういうことだから……ごめんなさい」
「ササリア……」
ササリアも生気なく答えているけれど、私に視線を合わせることはなかった。あり得ない……あの、仲良く育ったササリアがこんなことをするなんて。ん? 待てよ……これはひょっとすると。
「ササリア、一つだけ聞きたいのだけれど」
「なんでしょうか?」
「これはあなたの意思なの?」
「……ボルドー様のご命令です。でも、私が彼の婚約者になる事実は変わりません」
「そう、わかったわ」
「ふはははは、分かったか? フリージア! イルハート家としては、王家の人間との関係性は変わらないのだから問題ないだろう!? 理解したのなら、さっさと出て行くんだな!」
ボルドー様の態度は今までとは一変していた。これが彼の本性だということか。私は騙されていたみたいね……とても悲しい。これ以上、話しても意味がなさそうなので私は彼の部屋から出て行くことにする。しかし、最後に……
「ボルドー様、後悔しないでくださいね?」
その一言だけを残して、私は去って行った……。
「はい、なんでございましょうか? ボルドー様」
私はその日、婚約者であるボルドー・ウィクリフ第四王子殿下に呼び出されていた。ボルドー様はこのウィクリフ王国の第六位王位継承権の持ち主である。イルハート家は侯爵家系であり、昔からウィクリフ王国に仕えて来た名家らしい。
「お話しというのはなんでしょうか?」
「うむ、お前には妹のササリアが居たな?」
「ササリアでございますか……?」
確かに私の妹にはササリア・イルハートという人物が存在している。年齢は15歳であって、私より1つ年下だ。私が言うのもなんだけれど、貴族令嬢としては器量も良く頭も良いので、自慢の妹だったりする。その妹のササリアが今回の呼び出しに何か関係があるのかしら? 3人で会談でもしたいから呼び出してくれ……みたいな?
「実はササリアを既に呼んであるのだ」
「えっ? ササリアを呼んでいる……?」
ボルドー様の言葉とほぼ同時に、ササリアは入り口のドアから入って来た。タイミングが良過ぎるので、私達の会話を外から聞いていたのかしらね。
「姉さま、こんにちは」
「ええ、こんにちは。でも、驚きました、ボルドー様。ボルドー様がササリアを既に呼んでいらしたとは……」
やはり、3人で他愛もない会話をしたいとかそういう用事だったのかしら? でも……その割には空気が重いような気がするけれど。
「イルハートの家系は侯爵家系であり、貴族の中でも階級は高い方だ。そんな家系出身の者にこんなことを言うのは、申し訳ないのだが……私はササリアとの婚約を決めた」
「えっ……? どういうことですか……?」
急に私の耳の中に、聞こえてはいけない言葉が突き刺さった。婚約破棄……? 確かにボルドー様はそんなことを言ったような気がするけれど。20歳の彼はニヤリとした笑みを浮かべていた……その笑みはとても冗談だとは思えない。
「姉さま……ごめんなさい……私は、ボルドー様とその、婚約することになったから」
「ササリア……?」
ササリアには生気が感じられないけれど、言動だけはハッキリとしていた。
「まあ、つまりはそういうことだ。私が彼女に惚れてしまってな。顔や知能、スタイルなど、何を合わせてもフリージアよりも優れているだろう? 第四王子殿下という、天から授けられた地位に立つ私なのだから、より高位の女性を選ばなければならん」
「そ、そんな……では、私との婚約は……?」
「婚約破棄に決まっているだろう? お前はもう用なしということだ」
用なし……? そんなこと認められるわけがない。
「ま、待ってください、ボルドー様! 急に妹と婚約をするから、私とは婚約破棄だなんて……あまりに不条理でございます……! 何卒、お考え直しを……!」
「ええい、五月蠅い奴だな! 私はそうやって自分の意見を無理矢理通そうとする女が一番嫌いなのだ! お前とは婚約破棄だ、これは決定事項だ。分かったな?」
無理やり婚約破棄を通そうとしている人が何を言っているのだろうか……信じられないわ。
「姉さま、そういうことだから……ごめんなさい」
「ササリア……」
ササリアも生気なく答えているけれど、私に視線を合わせることはなかった。あり得ない……あの、仲良く育ったササリアがこんなことをするなんて。ん? 待てよ……これはひょっとすると。
「ササリア、一つだけ聞きたいのだけれど」
「なんでしょうか?」
「これはあなたの意思なの?」
「……ボルドー様のご命令です。でも、私が彼の婚約者になる事実は変わりません」
「そう、わかったわ」
「ふはははは、分かったか? フリージア! イルハート家としては、王家の人間との関係性は変わらないのだから問題ないだろう!? 理解したのなら、さっさと出て行くんだな!」
ボルドー様の態度は今までとは一変していた。これが彼の本性だということか。私は騙されていたみたいね……とても悲しい。これ以上、話しても意味がなさそうなので私は彼の部屋から出て行くことにする。しかし、最後に……
「ボルドー様、後悔しないでくださいね?」
その一言だけを残して、私は去って行った……。
100
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
婚約破棄?それならこの国を返して頂きます
Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国
500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー
根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
断罪茶番で命拾いした王子
章槻雅希
ファンタジー
アルファーロ公爵嫡女エルネスタは卒業記念パーティで婚約者の第三王子パスクワルから婚約破棄された。そのことにエルネスタは安堵する。これでパスクワルの命は守られたと。
5年前、有り得ないほどの非常識さと無礼さで王命による婚約が決まった。それに両親祖父母をはじめとした一族は怒り狂った。父公爵は王命を受けるにあたってとんでもない条件を突きつけていた。『第三王子は婚姻後すぐに病に倒れ、数年後に病死するかもしれないが、それでも良いのなら』と。
『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『Pixiv』・自サイトに重複投稿。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
婚約破棄していただきます
章槻雅希
ファンタジー
貴族たちの通う王立学院の模擬夜会(授業の一環)で第二王子ザームエルは婚約破棄を宣言する。それを婚約者であるトルデリーゼは嬉々として受け入れた。10年に及ぶ一族の計画が実を結んだのだ。
『小説家になろう』・『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる