法術省 特務公安課 ‐第1章‐『火の複眼』

秋山武々

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1.法術省入庁

#11

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新入職員から見て左側の小さな演台からまるでアナウンサーのような女性職員が凛とした声で司会を始める。

「ただいまより2042年度、特務公安課入庁式及びオリエンテーションを開始します。」

司会の号令で始まる「起立、礼、着席」は時代が変わっても変わらない日本の文化である。礼を重んじる姿勢は法術が施行できる世となっても変わらない。

「それでは治安対策局 白水局長より新入職員へお言葉を頂きます。新入職員の皆さんは姿勢を正して下さい。」

先程、赤館達と挨拶を交わした初老の男性が悠然と壇上へと向かっていく。

壇上の大きな演台に着いた白水が新入職員達の顔を見渡し口を開く。

「皆さん、おはようございます。局長の白水です。お会いできるのを楽しみにしていました。

法術省が設置されてから本年で3年目を迎えます。

ご存じの通り、まだまだ法術省は赤子同然。二本足で歩くのもやっとの状態です。

しかし、それは去年までの話です。本年度からは皆さんがいます。どの新入職員も非常に優秀と聞いています。

特務公安課は警視庁と協力し、法術犯罪の取り締まりや国内外の法術テロ対策に尽力せねばなりません。

その為に一日でも早く特務公安課での公務に慣れ、一日でも欠かすことなく鍛錬を続けて下さい。

私達が守るのは国家でありその最小単位は国民となります。

期待しています。

・・・

おおっと、ただ無理は禁物ですよ。現場の法術士官はもちろんサポートする職員、全員の心と体の調和が取れていなければ効率的に公務はできません。

疲れたらしっかり休む。そして、また働く。

頑張りましょう。

以上!」

治安対策局長とはこうであろうという勝手なイメージが覆された。

その柔和である中にも厳格な言葉は新入職員全員も心に刻まれていた。

新時代のリーダーはほんの数分で若者の心を掌握し、尚且つ特務公安課職員としての自律と正義の心も灯したのであった。
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