法術省 特務公安課 ‐第1章‐『火の複眼』

秋山武々

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1.法術省入庁

#10

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会場に到着すると新入局員の席は前列に設けられており、既に2、3人が座っていた。

「内安一」と札が貼られたイスに着席すると早速、先に座っていた男が郷ケ丘に声をかける。

「ねえねえ、君達ってあの磐城さんの教え子なんだろ?どんな感じの人なの?やっぱ御三家のエリートだから厳しかった?」

郷ケ丘は別にそんなことないよ、と淡々と会話しているが、はじめましての挨拶なしに慣れ慣れしく話掛けてくるその新入局員に赤館は少し不快感を持つ。

数時間ぶりにフルゥの声が赤館の頭に響く。

「この人、”アイサツ”をしないね。”ルールイハン”!」

「そうだね。ちょっとやな感じ。」

赤館はフルゥに答える。

彼女はフルゥに初めて会う人間には挨拶をすると教えていた。

それはソームを初めて見る人や法術という超常現象にまだ抵抗がある人へ恐れを与えない為。

ソームにとって習慣という概念はないのかもしれないが、フルゥを多くの人間に接触させ会話させたことで言語を理解するなどの学習能力を有していると赤館は長年の経験から体感している。

ルール違反についてはどこで覚えたかは不明だが大方予想がついた。

今、隣で呑気な顔をして新入局員同士の会話に夢中になっている同期であろう。

その同期がすっと会話を止めて、前をすうっと見つめたので赤館も周りを見渡すと新入局員は全員着席していて特務公安課の職員もぞくぞくと入室していた。

微弱な電流が走るような独特の緊張感。

イスに浅く腰掛けて姿勢を正し開始に備える。
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