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蛇石の封印
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それに対して珠代は満足気な顔を見せず、
「何よ、それ。馬鹿にされてるみたい。負けてるのに余裕ぶっちゃってさ」
と、怒っているというより、寂しそうな顔を見せる。
珠代は人気者の彼女と張りあうことでひみかと対等の存在になりたかったのかもしれない。でも、ひみかの態度から勝負を真っ向から受けとめていないように感じたのだろう。
対して、ひみかはそれ以上何も言わず、少し珍しく困ったような顔で曖昧に笑うだけだった。
そんなやり取りが続き三学期のテストがやってきた。
「安満蕗さん。これが私の英語の結果よ。当然だけど今回も満点だったわ。さあ、あなたのも見せてくれるわよね」
それに対してひみかは、
「君は凄いね。私は今の結果で限界だよ。とても適わないよ」
と言葉を返す。
いつもは見せろと言われれば結果を見せるのに答案用紙を裏返しにしたまま机に置いている。
「な、なに、ああ、ひょっとしてあなたも今回満点だったとか?そ、そうなんでしょ。ば、馬鹿にないでよ。別にそれで起こる事はないわ。こっちはちゃんと真っ向勝負して結果がしりたいの。見せなさいよ」
「わかったよ。見せれば納得するんだね?」
ひみかは机の上の答案を裏返してみせた。
「……60点!」
思ったよりも低い点数だったのだ。
「な、何これ。ちょっと低すぎない?」
言った後珠代はしまったと思った。今までの自分が見せた態度からすると、これはかなり馬鹿にしたように聞こえてしまったのではないか。
「はあ? 何それ?どういう言い種よ。あなたが無理やり見たんじゃない」
ひみかが何か言う前に隣に居たいまりが声をだす。友人へ吐かれた暴言へ対するむかつき半分。後の半分は彼女自身の点数が58点であった為だ。
(60点で低きゃアタシはどうなんの?そりゃ高い点数とは言えないけどさ)
「そもそもさ、あんたなんでひみにそんな態度とってんのよ。ひみがなんかした?テストのたんびに訳わからない勝負だか何だかして、突っかかってさ。見苦しいんだけど」
いまりは基本的に誰からも好意を向けられるし、向けてくれた相手には好意で返す。周りからも明るく陽気で楽しい性格だとみられている。
が、だからこそ自分の大事な相手に向けられた悪意が許せない。一度攻撃モードになるとかなり激しいことをいってしまう。
「別に、突っかかってなんか」
「突っかかってるでしょうよ。そもそも、ひみがそんな勝負受けるって言った?あんたが勝手にふっかけただけでしょ。なにそれ?何の意味があんの?嫉妬?やっかみ?ひみの人気があるから自分が優位に立てる勉強で勝負を挑んでる訳?で、それ楽しいの?そもそも、あんた毎回勝ってるじゃん。今回も勝ったよね。おめでとう!ほら、私が祝ってあげたわよ。これで終わりにしてあげてよ。もう、関わんないであげてくれる?」
「い、いまり。もう、いいよ。私は気にしてないから」
ひみかがいつもの様子に似合わず少し困ったような声を出した。
「ひみは黙っててよ。こういう相手はね、言わなきゃわからな……」
言いながらふと珠代の方に目を向けると涙を浮かべてべそをかいていた。
(なにそれ。泣きゃいいと思ってんの?)
と思いながらも流石にそれ以上を口にするのは止めた。
変わりにジッと珠代を見つめながら念を込める。
すると同時に彼女の身体がピンク色の光を放っているのに気づいた。
これがいまりの能力、相手の好意が光り色によって判別がつくというもの。
(ああ。本当にしようがないな)
「ひみ、あのさ……」
何か言おうとしたいまりを手で制し、ひみかは珠代に向かっていう。
「何よ、それ。馬鹿にされてるみたい。負けてるのに余裕ぶっちゃってさ」
と、怒っているというより、寂しそうな顔を見せる。
珠代は人気者の彼女と張りあうことでひみかと対等の存在になりたかったのかもしれない。でも、ひみかの態度から勝負を真っ向から受けとめていないように感じたのだろう。
対して、ひみかはそれ以上何も言わず、少し珍しく困ったような顔で曖昧に笑うだけだった。
そんなやり取りが続き三学期のテストがやってきた。
「安満蕗さん。これが私の英語の結果よ。当然だけど今回も満点だったわ。さあ、あなたのも見せてくれるわよね」
それに対してひみかは、
「君は凄いね。私は今の結果で限界だよ。とても適わないよ」
と言葉を返す。
いつもは見せろと言われれば結果を見せるのに答案用紙を裏返しにしたまま机に置いている。
「な、なに、ああ、ひょっとしてあなたも今回満点だったとか?そ、そうなんでしょ。ば、馬鹿にないでよ。別にそれで起こる事はないわ。こっちはちゃんと真っ向勝負して結果がしりたいの。見せなさいよ」
「わかったよ。見せれば納得するんだね?」
ひみかは机の上の答案を裏返してみせた。
「……60点!」
思ったよりも低い点数だったのだ。
「な、何これ。ちょっと低すぎない?」
言った後珠代はしまったと思った。今までの自分が見せた態度からすると、これはかなり馬鹿にしたように聞こえてしまったのではないか。
「はあ? 何それ?どういう言い種よ。あなたが無理やり見たんじゃない」
ひみかが何か言う前に隣に居たいまりが声をだす。友人へ吐かれた暴言へ対するむかつき半分。後の半分は彼女自身の点数が58点であった為だ。
(60点で低きゃアタシはどうなんの?そりゃ高い点数とは言えないけどさ)
「そもそもさ、あんたなんでひみにそんな態度とってんのよ。ひみがなんかした?テストのたんびに訳わからない勝負だか何だかして、突っかかってさ。見苦しいんだけど」
いまりは基本的に誰からも好意を向けられるし、向けてくれた相手には好意で返す。周りからも明るく陽気で楽しい性格だとみられている。
が、だからこそ自分の大事な相手に向けられた悪意が許せない。一度攻撃モードになるとかなり激しいことをいってしまう。
「別に、突っかかってなんか」
「突っかかってるでしょうよ。そもそも、ひみがそんな勝負受けるって言った?あんたが勝手にふっかけただけでしょ。なにそれ?何の意味があんの?嫉妬?やっかみ?ひみの人気があるから自分が優位に立てる勉強で勝負を挑んでる訳?で、それ楽しいの?そもそも、あんた毎回勝ってるじゃん。今回も勝ったよね。おめでとう!ほら、私が祝ってあげたわよ。これで終わりにしてあげてよ。もう、関わんないであげてくれる?」
「い、いまり。もう、いいよ。私は気にしてないから」
ひみかがいつもの様子に似合わず少し困ったような声を出した。
「ひみは黙っててよ。こういう相手はね、言わなきゃわからな……」
言いながらふと珠代の方に目を向けると涙を浮かべてべそをかいていた。
(なにそれ。泣きゃいいと思ってんの?)
と思いながらも流石にそれ以上を口にするのは止めた。
変わりにジッと珠代を見つめながら念を込める。
すると同時に彼女の身体がピンク色の光を放っているのに気づいた。
これがいまりの能力、相手の好意が光り色によって判別がつくというもの。
(ああ。本当にしようがないな)
「ひみ、あのさ……」
何か言おうとしたいまりを手で制し、ひみかは珠代に向かっていう。
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