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連続縊死
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「昔は小花山っていう小さな山があった辺りなんですが」
「ああ、電車の新駅が立つとかで、崩して造成地にした辺りだよな。なんとなく見当はついてきた」
ええ。その新駅開発が本決まりになったんで、急激に開発が進みました。その地域にたまたま家が所有する土地がありまして、マンションを建てたんです」
「山さんの家が代々持ってた土地だった訳だ」
「はい。元々人が入らないような単なる荒れ地だったんですが、新駅開発の話が出て俄に価値が上がりまして」
「じゃあ、良かったじゃないか」
大して価値もなかった土地が切り開かれてマンションを建てられた。そこまでは悪い事だと思えない。
「それについては良かったんです。が、マンションが建って入った住人が部屋で首を吊りまして」
「ええ!なんとまあ、そりゃ確かに大変だな」
「まだ私が戻る前の話だったんですが、色々対応しなければなりませんからね。大変だったと思います」
管理運営だけではなく、権利も山口家。全ての責任を引き受ける形になる。これは確かに厄介な感じがする。
が、
「でも、大分前の話なんだろ?なんで今になってそれが問題になるんだよ」
「それが。一度じゃないからなんですよ」
「一度じゃないって、何が?」反射的に聴いてしまったが、話の流れから何となく察しはついてしまっていた。
「首吊りですよ。あのマンションの同じ部屋でです」
「マジかよ。そこで、二人もやったっていうのか?」
「いいえ。二人どころじゃありません。最終的に四人亡くなってます」
「……」
余りの答えに康太もすぐ言葉を返せなかった。
二人目の住人には若い男性だった。事情を話して家賃を安くする事で合意したようだ。自分は幽霊など信じないから大丈夫だと嘯いていたようだ。
が、半年後変わり果てた姿で見つかった。
三人目というより、その後入ったのは若いカップルだった。駆け落ち同然で逃げてきたような状態らしく、兎に角安い部屋がいいとの事だったので、言いくるめて押し込んだような感じらしい。
「じゃあ、そのどちらかが首を吊った?」
「いえ。これに関しては首吊りではありません」
「じゃあ、問題ないじゃないか」
「いえ、大有りなんです。そのカップルの内、女性が男性を殺してまったんです。紐で首を絞めてね」
「な、何と……。うーむ、またしても首をか」
「はい。そのカップル。入居時にはとても喜んでいたそうなんです。部屋探しの相談時もとても仲睦まじい感じだったようで」
「まあ、男女の仲の事はわからないからな。一緒に暮らしてみると合わない部分も見えてきたり。それが揉め事に発展するのも良くある事じゃないか」
「ははは。コウさんもそんな事いってる所を見ると上手くいってないんですか?」
康太は現在フィアンセと同棲中だ。結婚も間近だと思われる。
「バカ。俺んとこは違うよ。一般論を言ってんの。俺と恵は日を追う事に愛が深まっていってんだから」
「そりゃ羨ましい話です。今日も惚気話を肴に和やかな話ができれば良かったんですが。そのカップルはそうじゃなかったって事なんでしょう。しかし、問題は殺した方法なんです。絞殺ですよ」
「首を……って事だよな」
確かにそれだけ続くと気にするなというのは無理だ。偶然ではない何かの力を考えてしまう。
「普通はおかしいと考えますよね。ウチは家族経営ですから、お袋や姉貴も流石におかしい。何とかした方がいいっていったらしいんですよ」
当時山口家は父親、母親、姉が二人という構成だった。全員経営にも関わっている。
「何とかって、何とかする方法があるのかい」
そもそも原因も何もわからないのだ。対応する方法などあるとは思えないが……。
「いや、まあ。お祓いしてもらうとかって事なんでしょう」
こんなに人が亡くなるのは普通じゃない。なんらかの超常的な力が働いているのではないか。と考えたわけだ。
「なるほど。お祓い、ね」
それが唯一の解決法なのかはわからないか、事情が事情だ。そうした物にすがりたい気持ちも解る。
「でも、親父は合理主義者ですし、頑固者ですから。中々取り合おうとしなかったんです」
「しかし、流石に四人目が出たら。そうも言えなかったんじゃないのかい?最後の一人はどうだったんだ?」
三人首吊りが続いた部屋だ。いくら安くつくからと言って好んでそこに住もうというのは余程豪胆な人間かそれとも……。
「はい。部屋で吊っている所を発見されました。ただ、住人ではなかったんです」
「住人ではない?おいおい。そりゃ流石に尋常じゃないぞ。見ず知らずの関係ない人間が入り込んで首吊ったってのか」
「いえ。関係ない人という訳でもなかったんです」
「だって、入居者じゃないんだろう。他に関係者と言えば……」
鎌池康太はそこでハッとした。
まさか、そこで首を吊った四人目というのは、まさか。
「そう、ボクの父親です」
「ああ、電車の新駅が立つとかで、崩して造成地にした辺りだよな。なんとなく見当はついてきた」
ええ。その新駅開発が本決まりになったんで、急激に開発が進みました。その地域にたまたま家が所有する土地がありまして、マンションを建てたんです」
「山さんの家が代々持ってた土地だった訳だ」
「はい。元々人が入らないような単なる荒れ地だったんですが、新駅開発の話が出て俄に価値が上がりまして」
「じゃあ、良かったじゃないか」
大して価値もなかった土地が切り開かれてマンションを建てられた。そこまでは悪い事だと思えない。
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が、
「でも、大分前の話なんだろ?なんで今になってそれが問題になるんだよ」
「それが。一度じゃないからなんですよ」
「一度じゃないって、何が?」反射的に聴いてしまったが、話の流れから何となく察しはついてしまっていた。
「首吊りですよ。あのマンションの同じ部屋でです」
「マジかよ。そこで、二人もやったっていうのか?」
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「……」
余りの答えに康太もすぐ言葉を返せなかった。
二人目の住人には若い男性だった。事情を話して家賃を安くする事で合意したようだ。自分は幽霊など信じないから大丈夫だと嘯いていたようだ。
が、半年後変わり果てた姿で見つかった。
三人目というより、その後入ったのは若いカップルだった。駆け落ち同然で逃げてきたような状態らしく、兎に角安い部屋がいいとの事だったので、言いくるめて押し込んだような感じらしい。
「じゃあ、そのどちらかが首を吊った?」
「いえ。これに関しては首吊りではありません」
「じゃあ、問題ないじゃないか」
「いえ、大有りなんです。そのカップルの内、女性が男性を殺してまったんです。紐で首を絞めてね」
「な、何と……。うーむ、またしても首をか」
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「バカ。俺んとこは違うよ。一般論を言ってんの。俺と恵は日を追う事に愛が深まっていってんだから」
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「はい。部屋で吊っている所を発見されました。ただ、住人ではなかったんです」
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