吼える月Ⅰ~玄武の章~

奏多

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第5章 脆弱

 捨てられたくない!

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■□━━━・・・・‥‥……


「なんだよ、これは……」

 サクは読んだばかりの手紙をくしゃりと握りつぶす。

「聞いてねぇよ……俺。なんで姫様が……」

 その手がふるふると震えていた。

「ずっと一緒に居たいって、あんなに縋って泣いていたじゃねぇか!! 俺を捨てて、ひとりでどうするってんだよっ!!」

 その決別の手紙は、ユウナが使用していた部屋に置かれていた。
 帰りが遅いユウナとユマを誰もが心配し始め、とりあえずはユマとの仮祝言の話は後にして、外に探しに行こうと男性陣の意見がひとつになった時だった。

――ハ、ハハハ、ハンっ!! サク!! これ、これっ!!

 外気にあてられているユウナのために、サラが温かい布団を部屋に運んでいた矢先に、部屋で見つけた手紙。

『シェンウ家の皆様へ』
 
「姫さんが、俺になにか言いたげだったのを、俺がまずは聞いていれば。あの時既に姫さんの心は、決まっていたというのか。いつ、こんな手紙を……」

 サクがくしゃくしゃにした手紙を広げて、ハンは再度読み直した。その渋面に、サラがはっとした顔で答える。

「そう言えば……。夕餉の途中、姫様に紙と筆を貸して欲しいと言われたわ。マヤ様の子供達が目覚めた時にお絵かきをして遊びたいと言われて……」
「じゃあ既に姫様は、ここに、俺の元に戻らない覚悟で、ユマを追いかけて出ていったというのか!?」

 サクの声が悲痛さに裏返る。
 もしもユマが出て行くようなことを、自分が言わねば。
 その場限りの甘言でもいい。責任逃れの逃げの言葉でもいい。ユマを追いつめねば、ユウナがこんな夜更けに家から出ることはなかった。

 出るきっかけを与えたのは、自分のせいだ――。
 
 サクの中には激しい後悔が渦巻く。
 そしてそれは、ユマのことをユウナに任せてしまったハンも同様だった。

 サクの頭の中には、ユウナの残した残酷な言葉が廻っていた。酒宴時に理不尽な話題をされる前に、既にユウナの心にあったであろう言葉が。

 〝ユマと幸せにね〟
 〝貴方の子供見たかったわ〟
 〝ずっとずっとユマの傍で、素直に愛してあげてね〟
 〝護衛役だからとあたしに遠慮して、この先ユマを泣かせちゃだめだよ?〟

「姫様……あんまりじゃねぇか」

 ユウナの前で潔白でいたかったのに、それを逆手にとられた。サクが、ユウナの護衛役ゆえにユマとの結婚を諦めようとしているのだと。

 〝今度は自分の幸せを第一に考えて生きて下さい〟
 〝姫だから貴方を自由にしてあげられる〟

  そして――。

「俺のことを思ってくれるのなら、俺を傍に置いとけよ。なんでいつもいつも、俺を残して違う場所にいこうとするんだよ!!」

 〝今ここで、護衛役の任を解く〟

「こんな……一方的な別れってあるかよ!? 勝手に俺の幸せや自由を決めつけるな!! それに護衛役を解除して、この先どうすんだよ、馬鹿姫様――っ!!」

 ハンもサラも唇を噛みしめながら、悲嘆に暮れる息子を見ていた。
 
 どんなことをしても姫を護りたいとするサクの想いがわかればこそ、同時に、そんな捨て身のサクを自分も護りたいとするユウナの苦渋の決断がわかるからこそ、サクにかける言葉が出て来なかった。

 そんな中、街長はふらふらと動き出した。

「だったら、私の娘は……ユマは、姫と会わずにこんなに長い時間、いずこに? 迎えに……行ってやらねば。哀れな娘を……」

 今危惧すべきはユマより、この地形を全く知らない姫様だろうと怒鳴り出したいサクを諫めたのは、厳しい面持ちをしたハンの視線だった。
 今は感情論になっている場合ではない。一刻も早く、ふたりを探し出すべきだとハンの目は訴えていた。

「サク、多分街の中に既に姫さんはいない。いるなら外だ。街の外には、兵士が五日後に備えてたむろしている。その中でおたずねもののお前がうろうろして見つかってはまずい。姫さんはサラに任せる。サラだけを外に出す。お前は俺と街長と一緒に、街中でユマを探そう」
「なにを……っ!?」

 サクの訴えを片手で却下したハンは、サラに向いた。

「いいな、サラ。お前は夜目が利く。まずは玄武殿に続く東に延びる道と、途中にある近衛兵の駐留場付近を調べろ。獣道は後回しだ。ここらへんに詳しくない姫さんが、道などをよく知るはずはない。いるとしたら、駐留場との間あたりだろう。俺も目立った行動が出来ねぇから、様子を見ながらいく」
「わかったわ」
「人員は必要か? 必要ならば街長宅に話し合い中の……そうだな、ユマに懸想しているタイラあたり……」
「ひとりで結構。猫被っているの疲れるもの。では行ってきます」

 サラは勇猛に家から走って出て行き、街長もユマを探しに出て行く。

「親父、なんで玄武殿へ続く道と!? しかも駐留場って!?」
「手紙には、俺宛てのところで、片腕の代償をなんとかするとあった。考えられることは、姫さんは、その身をもって黒崙の追討中止をリュカに訴えるということ。道がわからねば、兵士達に連れて行って貰う方が早い」
「そんな、姫様はリュカによって……! それを戻るなど!!」
「そこが姫さんの〝覚悟〟さ。リュカがまだ、皇主が発行する正式な任命書を受理していなければ、姫さんはまだ姫としての権威を持つ。言うなれば、祠官代理より上の立場。死んだ祠官に次ぐ、今の黒陵国の頂点さ」
「それは形式上だろ!?」
「ああ、そうだ。だがそれを悟るリュカが手を打たないとは考えられねぇ。姫さんもそれくらいわかっているはずだ。だから嘆願の代償として姫さんは……」

 ハンは辛そうに顔を歪ませる。

「リュカの傀儡となることを申し出るだろう」
「はあああ!?」
「リュカとしても、姫さんが手元にあれば姫さんの名で事を進めやすくはなる。しかもリュカは許嫁だった男、他国からも周囲からも不審がられねぇだろう」
「そんな……」
「後は姫さんの交渉力次第だ。……傀儡がだめなら、体を捧げる覚悟も……あるいは」
「許さねぇよ、そんなことっ!!」

 走り出そうとしたサクを、ハンは一喝した。

「サクっ!! 姫さんの覚悟を無駄にさせる気か!?」
「兵に見つかっても、すべて力でねじ伏せる!!」
「馬鹿か! 戦い始めれば、ここぞとばかりに待機中の兵士達がここに雪崩込み、あっと言う間にここは戦場になるぞ!? お前の敵は、俺が連れ帰った警備兵の精鋭と、そして、輝硬石の武具を纏った近衛兵だ。その他、お前のために死んだというシュウらが幻で現れたら、お前奴らを敵として戦えるか!?」
「……っ!!」
「そして俺は、片腕で繋いだ意味なくリュカの命に背いて死に、お前は最長契約期日の……六日いや、あと五日で死に!! 黒崙の民はお前を匿った罪で急遽避難前に殺され、サラも死に!! すべてはリュカの思う壷となる。その中で姫さんを護るのは誰がいる!」

 声を荒げてサクを恫喝しながらも、ハンは冷静だった。その上で、サクの髪を手で鷲掴んで後ろに引っ張るという荒技に出て、冷ややかな瞳でサクを射る。

「姫さんを救い、お前も死なず、周りの無駄死にを食い止められる可能性が高い方法はなんだ? 考えろ、サク。目先のことに囚われず、今一番の得策を考えてみろ!!」
「――っ」
「生き抜くために、今必要なものはなんだ!? 頭を冷やせっ、サク!!」

 すると――。

「な……おい、サク?」

 突如サクが唸り声を発して、ハンの手ごと、壁に激突したのだった。

「……ってぇ……」

 ぶつけた頭を抱えて、サクはその場に座り込んだ。
 だらだらと、サクの額から血が滴り落ちている。

 流れる血を、手で確かめたサクは、
「く、くく、くくく……あはははははっ」
 突然肩を揺すって笑い始めた。

 さすがにハンも、サクのこの行動は予想外で唖然とし、そして複雑そうな顔でサクの顔を覗き込んだ。

「……お前、馬鹿を通り越して狂っちまったか?」
「狂ってなどねぇよ!! 沸騰した血の気を抜いて、頭を冷やしてんだよ。こんな血のせいで俺、暴走しようとしてたのかと思えば、なんだか可笑しくてさ」
「頭を冷やせとは言ったが、別に血を流して貧血になれとは言ってねぇんだがな……。馬鹿なりの極論か。しかもこんな血って……俺の血でもあるのに」

 そんなハンのぼやきを聞いていないかのように、サクは大きく頭をぶんぶんと横に振ると、大きなため息をついた。

「……目ぇ覚めた。やっぱあんなじゃじゃ馬な姫様、親父には任せておけねぇわ。……俺がこの先もきっちり面倒見る。面倒見れるほどに強くなる。二度も捨てられてたまるか。……ずっと、俺の手元に置いて護る」

 その声音は、堅いなりともどこか朗らかにも思えるもので。

「ならば……サク」
「ああ、今は姫様の探索を、お袋に任せる。お袋はただの女じゃねぇからな。なにせ、誉れある緋陵の朱雀の武神将の地位を妹に譲って、親父に嫁いできた女だ。……これ以上の頼もしい味方はいねぇよ」
「そういうことだ。まあ、黒崙に移り住んで〝可愛い女〟になるために、昔ほどの鍛錬を積んでねぇから、全盛期ほどの力はねぇだろうが。だが、そこいらの男よりはよっぽど力になる。ここは……サラに任せろ」
「ああ。そして俺は、俺にしか出来ない……最善なことをする」

 サクはゆっくりと精悍な顔を上げた。

「……親父。ユマを見つけ次第、儀式をしてくれ。ユマは俺の責任だ。俺も探して、ユマの安全を確認したい」

 それはハンに否とは言わせぬほどの、強い意志に覆われた真摯な顔だった。
 
「俺に必要なのは強さだ。俺は自惚れすぎていたんだ。護衛役だけは、絶対姫様は俺を選ぶ。絶対姫様に捨てられることはねぇ、姫様の護衛役だけはずっと俺だけのものだと」
「………」
「現実は厳しいな。俺、この一年、ずっとその現実から顔を背けてきた。最後の絆とばかりに頼り切っていた護衛役を切られたら……俺、取り柄ねぇんだよ。唯一の強さがなければ、それを姫様に認められなければ、姫様の傍にいられる理由がねぇんだよ。だから……、一刻も早く強くなりてぇんだ。姫様に必要とされる強い男になって、情けない護衛役を返上して、生まれ変わりたい。……もう、こんな事態は許さねぇ。俺は」

 サクの眼差しが変わった――。
 そう思いながら、ハンは目を細めた。

「強い武神将になる。なにがなんでも生き抜いて、俺が姫様を護る」

 その目は、その瞳の奥は――飽くなき力への欲に滾っていた。

「二度までも、姫様に護らせねぇ。護るのはこの俺だ。言われるがまま、簡単に離れてやるものか。簡単に、絆を断ち切らせてたまるものか」

 代償とはいえど、ハンにユウナを託してひとり先に逝こうとしていたあの諦観さはなく、さらにはハンをも危険に巻き込まぬ最善策として、武神将になろうと過酷な試練を決意した時の、あのサクの面差しとも違う。

「姫様が離したくねぇって思うほど、名実共に強くなってやる」

 それは確かに、ユマとの関係を邪推された挙げ句、不当に解雇されたことに対しての悲憤から端を発したものではあろう。
 それが断ち切れぬユウナへの想いと絡まり、さらに押さえ込んで消そうとしていた愛の炎を大きく揺らめかせたことで、ユウナを護るのは自分だけだという独占欲が、力への渇望へと昇華したのだ。

 倭陵における四人の武神将のうち、強さの次席であるジウと対等にわたりあえるだけの技量は、既にサクにはついている。
 ハンが扱き上げた甲斐があり、幼少の頃より期待以上の成果をみせてきたサクに足りなかったのは、野心にも似た力への渇望。

 最強の称号を懐く父親は、サクにとって羨望の象徴であり、そして超えられない壁だという固定観念を早くから植え付けていた。
 だから潜在的な劣等感より、鍛錬にしても怠惰でやる気がなかった。そこをなんとか〝まし〟にしてくれたのは、ひとえにユウナへの想いゆえ。

 だがそれもユウナから大切にされすぎて、〝生涯護衛役をクビにされることはない〟と思い込めるほどの好待遇の中にいて、サクが武神将となる明確な意志を持たぬままに周囲が勝手にサクを次期武神将と認める環境は、あまりにもサクにとってはぬるま湯すぎた。

 危機感がないだらだらと停滞した環境は、持てる力の質を低下させる。
 だからこそハンは、家にて生存本能を養う鍛錬をさせていたのだった。

 玄武の武神将は、余程の例外がない限りは世襲制であり、ハンも物心ついた時から武神将としての鍛錬を積まされてきたが、やはり強かった父親の影は偉大すぎて小さい頃は悩んだ。
 だからこそ父親を超えてやろうと躍起になり、ひたすら鍛錬に励んで最強と謳われる今がある。

 サクにはそうした、父を超えた武神将になりたいという積極的な意志が、欠如していた。周りがお膳立てした中を、水のように流されるがままだった。
 自らしたいと口にしたのは、休憩以外はユウナの護衛だけだ。

 武神将となるために三日の試練をやり抜くことが必要なのは、挑戦者が神獣の心を動かすほどに、どれだけ強く力を渇望し、どれだけ神獣の力を乞うているのか、その覚悟を苛酷な試練を通じて神獣に認めさせないといけないからだ。

 その三日の試練を抜きに武神将を移譲を成功させるということは、サクにそれ相当の切実な覚悟や力への渇望があることが、絶対条件でもある。

 果たして、〝姫を護るために生きたい〟だけで、神獣は力を貸すのか……そこはハンにとっても賭けだった。

 だが今――。

 護りたいはずのユウナによって、護衛役を解かれるというありえない事態になったことで、サクは自らの力不足を真剣に悩み始めた。
 サクが弱いからという理由で、ユウナはあんなことを手紙に書いたわけではないだろうが、結果的にサクにとっては、ユウナに必要とされる強さを持ちたいと、力を切望することになったのだ。

 これだけサクの目に野心のような力が宿っていれば、玄武は力を貸し、既契約者との相克も無事に乗り切れるかもしれないと、ハンは直感的にそう思う。

「姫さん。あんたの覚悟は、少なくともサクにとっては、いい結果を生みそうだ。……尽力、感謝する」

 そんなハンの独り言は、サクには届いていなかった。

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