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第三章
迷宮攻略……はまだ明日なので今日は調べもの
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髪を切ってサッパリしたところで、まずは図書館に行こうと思う。
迷宮のことを調べるためだ。
なぜ図書館なのか。
調べものって言ったら図書館じゃね?
アオは露店巡りすると言って別れた。
ラルクエンの街並みは、自由都市と言う名の通り、かなりフリーダムな感じがある。
石畳の道路に、石造の建築物。
石造と言っても、無骨な感じは全くない。
看板だったり石そのものだったりが、嫌な感じではなくカラフルでお洒落だ。
それに、広い道には路上ライブ中の人達や旅の大道芸人が点在していて、賑やか。
まあ全体的に陽気な都市だな。
露店とかもいろんな国の物を売っていて、場所によっては行列ができて……アオが並んでるわ。
んー前世のケバブっぽい感じのやつだな。
後で買おっと。
のんびり歩きつつ図書館に向かってると、チェニックとリーシャと先生が前から歩いてきたので、俺は人混みに紛れて逃げようと思ったが、よく考えたらコソコソする必要ないじゃんっと思い直し堂々と歩き、先生に向かって会釈をしてそのまま去ろうとすると、先生に襟首を掴まれた。
「おいパスト、どこに行く?」
「図書館です。あとなんで襟首掴んでるんですか?首しまっちゃいますというか若干しまってます」
「そりゃあ貴様が無視して逃げようとするからだろう?今も動かずにいればしまることはない」
「無視してませんけど?!」
会釈したよ!
「大体貴様は一人で何処に行く。怪しすぎるぞ」
「図書館に行くってさっき言いましたよね。アオは露店巡り、俺は明日の迷宮のこととか自由都市のこととか調べものがあるんです」
「え、迷宮のことなんか先生に聞けばいいじゃないか」
と、いきなりチェニックが言ってきた。
「聞けば教えてくれるだろうけど、聞くより調べたほうが覚えるだろうが。それに先生が知らんことだってあるかも知れねえだろ。黙ってろハーレム馬鹿」
「お前口悪すぎないか?」
「先生、生徒に向かって貴様と言う言葉を使う先生も相当口が悪いと思いますけど」
あと、俺は先生と話してるんだ。
割り込んでくんじゃねぇ。
「まあそういうわけで、俺は自分のための調べものがあるのでそろそろ行かせてもらえないでしょうか」
「…………逃げるなよ?」
「逃げませんよ!信用なさすぎだろ!」
「もともと夏休みの宿題をやらなかった貴様だ。信用なんてあるわけがないだろ」
ごもっとも。
*****
「おおーーー!!」
デケえー!
図書館っていうか城だな、図書城だな。
俺の目の前にはマジででっかい城があった。
三つ塔が並んでる白い城。
なんでも、世界中から書物を集めてて、蔵書数がとんでもないんだと。
ここにくればほとんどのことがわかるが、あまりの蔵書数に全部読むことは普人族にはほぼ不可能だし、全て把握しているのは館長と幹部連中だけだそうだ。
種族はわからんけどまあみんな人外だろうな。
ほぼ不可能と言ったのは、俺の予想じゃへトリーが言ってた上級神クラスならできるんじゃねえかなと思った。
ほら、寿命とか関係なさそうじゃん?
まあいいや。
とにかくテンション上がるわぁ!
図書館に入ると、ホールのような空間の真ん中に変態像。
もうツッコまん。
その奥に受付があった。
混んでるかなあとか思ったけどそんなことはなく、むしろガラガラ。
受付の爺さんに聞いたら、入ればわかる、と言われた。
どういうこっちゃ。
まあ受付は手早く済ませ、注意事項を聞く。
まあ、本は大事にとか、盗むなとか、騒ぐなとか、まあ図書館って言ったら普通そうだよなって注意事項。
ただ、一般ではこの真ん中城までしか入れない。
両サイドは門番を倒せる力がないとダメなんだそうだ。
理由は、両サイドには禁書も置かれていて、中にはよほどの実力が無いと死んでしまう物もあるらしい。
何それ超面白そう!っと思ったけど今日は止めておこう。
大概のことは真ん中て事足りる。
パパっと調べてのんびり観光したいぜ!
……そんな風に思ってた時期が俺にもありますた。
蔵書数多すぎてどこに何があんのか全くわからん!
集めすぎだろ!
しかも、奥の方にはこの世界の官能小説があった。
句切れよ。
ったく……。
おかげで二時間も使っちゃったよ。
はい真面目にやります。
司書さんに聞いて、本を出してもらった。
本は返却棚に置いといてくれとのこと。
この量からよくみつかえてきたなこの司書と思ったが、まだまだ新米だそうな。
うせやろ……。
*****
今から約五百年前、ある魔法使いが八つのダンジョンのうちゼロの塔を元に七つのダンジョンを作った。
その魔法使いの出生は不明。
男か女かも不明。
そして本名も不明、というより名前がありすぎるらしい。
偽名を大量に使い、中には発音できない名前もあった。
ただ、好んで使っていたのは、『アルモンド』と『チャコバ』だそうだ。
変な名前だな……。
なんだよチャコバって……。
色々な魔法を使いまくり、未だに超えるものはいないと言われている。
そんな魔法使いは弟子を取ったが、その弟子は師匠のことになると固く口を閉ざして話してはくれなかったそうだ。
話そうとすると、体が動かなくなり、声が出なくなるそうだ。
筆談も駄目だし、ボディランゲージも駄目。
おそらくそういう魔法だろうとのことだが、詳細はわかっていない。
だが、その魔法使いが唯一残した物が、この都市にある八つのダンジョン。
ゼロの塔を元に、弟子達を鍛えるために作り上げた物で、最奥には魔法使いが持っていた、あるいは作ったであろう魔道具が確率で手に入る。
ヨンの塔からは、宝石がよく出るそうだ。
八つのダンジョンはラルクエンの周りを囲むように存在している。
図書館から見て北にゼロの塔があり、北東、東、南東……と八方位に存在している。
見た目はゼロの塔を真似て塔になってるが、中身はそれぞれ別のもので、階層があるダンジョンもあるし、ただただ広大な土地になってたりする。
八つのダンジョンはそれぞれ、
ゼロの塔、イチの森、ニの山、サンの海、ヨンの迷宮、ゴの深海、ロクの火山、ナナの森林
となっている。
難易度はヨンが一番低い。
イチからサンとゴからナナには名前の通りコンセプトがあり、それぞれの最上級ボスがいるのに対し、ヨンはいろんなコンセプトをごちゃまぜにしている代わりに、ボスなどがそこまで強くないのだ。
その上、死ぬことはないから、俺達のように、罰としてブチ込まれたり、貴族のボンボンを鍛えるためにブチ込んだり、武者修行中の子供が突撃したりと結構いろんな人が使う。
なので、結構攻略法が確立されており、そういった理由で難易度が低くなってしまったのだ。
イチからサンとゴからナナはいくら死なないと言っても限度があるだろというド鬼畜難易度なんだそうで。
やりたがる人が今ではほとんどいないそうだ。
しかも、ゴからナナはまだ踏破してるやつがいないらしい。
ヨンの迷宮の内容は、名前の通り巨大な迷路の塔で、一〇一階建て。
そして階層ごとに出口を探さなくてはならない。
一定時間で出口の場所が代わり、さらに一日ごとにランダムで階層が入れ替わる。
ただ、出て来るボスだけは階層が入れ替わっても同じだ。
運が良ければ、ボスにとって苦手な階層で戦うこともできるし、悪ければ逆もありうる。
そして、最上階のボスだけは、最初から組んでいるパーティー、もしくはソロでないと挑めない。
他が戦っているときは、ボス部屋に入ることができないそうだ。
そのため、連日最上階だけはよく人が並んでいるんだと。
まあ、今回は最上階まで行くことはないから関係ないんだけど。
それから、出て来る魔物の種類とかボスのこととかを調べているうちに、気がつけばもう夕方も過ぎて、すでに日がほとんど落ちていた。
そろそろ帰るかぁ。
そう思って、本を持って返却棚に行くと、ちょうど前から長めの黒髪の男が歩いてきた。
俺はなんとなく横に避けつつ、少し目があったため会釈して立ち去ろうとした。
「おい」
今日の飯何にすっかなー。
「おい」
野菜スープでいっかー。
パン浸して食うと美味えんだよなぁ。
「おい、お前」
ベーコンくらい入れてやるか。
「聞こえてるだろ?!おい!無視す「聞こえてるよ無視してんだよ礼儀知らずのボケがチンコ爆発してハゲろ!」
あーもうあきらかに日本人だよ……。
関わりたくないよぉ……。
しかも日本人ってことはさぁ……。
「ひ、酷いじゃないか!確かに無礼な物言いだったかもしれないけど、そこまで言わなくてもいいじゃないか!」
「ここは図書館だ。図書館じゃ静かに過ごせって規則に書いてあんだろ。じゃあな。俺は夕飯の支度で忙しい」
そう言って半泣きのソイツを置いて図書館から出た。
何なんだあいつ……。
泣くほどのことかよ……。
迷宮のことを調べるためだ。
なぜ図書館なのか。
調べものって言ったら図書館じゃね?
アオは露店巡りすると言って別れた。
ラルクエンの街並みは、自由都市と言う名の通り、かなりフリーダムな感じがある。
石畳の道路に、石造の建築物。
石造と言っても、無骨な感じは全くない。
看板だったり石そのものだったりが、嫌な感じではなくカラフルでお洒落だ。
それに、広い道には路上ライブ中の人達や旅の大道芸人が点在していて、賑やか。
まあ全体的に陽気な都市だな。
露店とかもいろんな国の物を売っていて、場所によっては行列ができて……アオが並んでるわ。
んー前世のケバブっぽい感じのやつだな。
後で買おっと。
のんびり歩きつつ図書館に向かってると、チェニックとリーシャと先生が前から歩いてきたので、俺は人混みに紛れて逃げようと思ったが、よく考えたらコソコソする必要ないじゃんっと思い直し堂々と歩き、先生に向かって会釈をしてそのまま去ろうとすると、先生に襟首を掴まれた。
「おいパスト、どこに行く?」
「図書館です。あとなんで襟首掴んでるんですか?首しまっちゃいますというか若干しまってます」
「そりゃあ貴様が無視して逃げようとするからだろう?今も動かずにいればしまることはない」
「無視してませんけど?!」
会釈したよ!
「大体貴様は一人で何処に行く。怪しすぎるぞ」
「図書館に行くってさっき言いましたよね。アオは露店巡り、俺は明日の迷宮のこととか自由都市のこととか調べものがあるんです」
「え、迷宮のことなんか先生に聞けばいいじゃないか」
と、いきなりチェニックが言ってきた。
「聞けば教えてくれるだろうけど、聞くより調べたほうが覚えるだろうが。それに先生が知らんことだってあるかも知れねえだろ。黙ってろハーレム馬鹿」
「お前口悪すぎないか?」
「先生、生徒に向かって貴様と言う言葉を使う先生も相当口が悪いと思いますけど」
あと、俺は先生と話してるんだ。
割り込んでくんじゃねぇ。
「まあそういうわけで、俺は自分のための調べものがあるのでそろそろ行かせてもらえないでしょうか」
「…………逃げるなよ?」
「逃げませんよ!信用なさすぎだろ!」
「もともと夏休みの宿題をやらなかった貴様だ。信用なんてあるわけがないだろ」
ごもっとも。
*****
「おおーーー!!」
デケえー!
図書館っていうか城だな、図書城だな。
俺の目の前にはマジででっかい城があった。
三つ塔が並んでる白い城。
なんでも、世界中から書物を集めてて、蔵書数がとんでもないんだと。
ここにくればほとんどのことがわかるが、あまりの蔵書数に全部読むことは普人族にはほぼ不可能だし、全て把握しているのは館長と幹部連中だけだそうだ。
種族はわからんけどまあみんな人外だろうな。
ほぼ不可能と言ったのは、俺の予想じゃへトリーが言ってた上級神クラスならできるんじゃねえかなと思った。
ほら、寿命とか関係なさそうじゃん?
まあいいや。
とにかくテンション上がるわぁ!
図書館に入ると、ホールのような空間の真ん中に変態像。
もうツッコまん。
その奥に受付があった。
混んでるかなあとか思ったけどそんなことはなく、むしろガラガラ。
受付の爺さんに聞いたら、入ればわかる、と言われた。
どういうこっちゃ。
まあ受付は手早く済ませ、注意事項を聞く。
まあ、本は大事にとか、盗むなとか、騒ぐなとか、まあ図書館って言ったら普通そうだよなって注意事項。
ただ、一般ではこの真ん中城までしか入れない。
両サイドは門番を倒せる力がないとダメなんだそうだ。
理由は、両サイドには禁書も置かれていて、中にはよほどの実力が無いと死んでしまう物もあるらしい。
何それ超面白そう!っと思ったけど今日は止めておこう。
大概のことは真ん中て事足りる。
パパっと調べてのんびり観光したいぜ!
……そんな風に思ってた時期が俺にもありますた。
蔵書数多すぎてどこに何があんのか全くわからん!
集めすぎだろ!
しかも、奥の方にはこの世界の官能小説があった。
句切れよ。
ったく……。
おかげで二時間も使っちゃったよ。
はい真面目にやります。
司書さんに聞いて、本を出してもらった。
本は返却棚に置いといてくれとのこと。
この量からよくみつかえてきたなこの司書と思ったが、まだまだ新米だそうな。
うせやろ……。
*****
今から約五百年前、ある魔法使いが八つのダンジョンのうちゼロの塔を元に七つのダンジョンを作った。
その魔法使いの出生は不明。
男か女かも不明。
そして本名も不明、というより名前がありすぎるらしい。
偽名を大量に使い、中には発音できない名前もあった。
ただ、好んで使っていたのは、『アルモンド』と『チャコバ』だそうだ。
変な名前だな……。
なんだよチャコバって……。
色々な魔法を使いまくり、未だに超えるものはいないと言われている。
そんな魔法使いは弟子を取ったが、その弟子は師匠のことになると固く口を閉ざして話してはくれなかったそうだ。
話そうとすると、体が動かなくなり、声が出なくなるそうだ。
筆談も駄目だし、ボディランゲージも駄目。
おそらくそういう魔法だろうとのことだが、詳細はわかっていない。
だが、その魔法使いが唯一残した物が、この都市にある八つのダンジョン。
ゼロの塔を元に、弟子達を鍛えるために作り上げた物で、最奥には魔法使いが持っていた、あるいは作ったであろう魔道具が確率で手に入る。
ヨンの塔からは、宝石がよく出るそうだ。
八つのダンジョンはラルクエンの周りを囲むように存在している。
図書館から見て北にゼロの塔があり、北東、東、南東……と八方位に存在している。
見た目はゼロの塔を真似て塔になってるが、中身はそれぞれ別のもので、階層があるダンジョンもあるし、ただただ広大な土地になってたりする。
八つのダンジョンはそれぞれ、
ゼロの塔、イチの森、ニの山、サンの海、ヨンの迷宮、ゴの深海、ロクの火山、ナナの森林
となっている。
難易度はヨンが一番低い。
イチからサンとゴからナナには名前の通りコンセプトがあり、それぞれの最上級ボスがいるのに対し、ヨンはいろんなコンセプトをごちゃまぜにしている代わりに、ボスなどがそこまで強くないのだ。
その上、死ぬことはないから、俺達のように、罰としてブチ込まれたり、貴族のボンボンを鍛えるためにブチ込んだり、武者修行中の子供が突撃したりと結構いろんな人が使う。
なので、結構攻略法が確立されており、そういった理由で難易度が低くなってしまったのだ。
イチからサンとゴからナナはいくら死なないと言っても限度があるだろというド鬼畜難易度なんだそうで。
やりたがる人が今ではほとんどいないそうだ。
しかも、ゴからナナはまだ踏破してるやつがいないらしい。
ヨンの迷宮の内容は、名前の通り巨大な迷路の塔で、一〇一階建て。
そして階層ごとに出口を探さなくてはならない。
一定時間で出口の場所が代わり、さらに一日ごとにランダムで階層が入れ替わる。
ただ、出て来るボスだけは階層が入れ替わっても同じだ。
運が良ければ、ボスにとって苦手な階層で戦うこともできるし、悪ければ逆もありうる。
そして、最上階のボスだけは、最初から組んでいるパーティー、もしくはソロでないと挑めない。
他が戦っているときは、ボス部屋に入ることができないそうだ。
そのため、連日最上階だけはよく人が並んでいるんだと。
まあ、今回は最上階まで行くことはないから関係ないんだけど。
それから、出て来る魔物の種類とかボスのこととかを調べているうちに、気がつけばもう夕方も過ぎて、すでに日がほとんど落ちていた。
そろそろ帰るかぁ。
そう思って、本を持って返却棚に行くと、ちょうど前から長めの黒髪の男が歩いてきた。
俺はなんとなく横に避けつつ、少し目があったため会釈して立ち去ろうとした。
「おい」
今日の飯何にすっかなー。
「おい」
野菜スープでいっかー。
パン浸して食うと美味えんだよなぁ。
「おい、お前」
ベーコンくらい入れてやるか。
「聞こえてるだろ?!おい!無視す「聞こえてるよ無視してんだよ礼儀知らずのボケがチンコ爆発してハゲろ!」
あーもうあきらかに日本人だよ……。
関わりたくないよぉ……。
しかも日本人ってことはさぁ……。
「ひ、酷いじゃないか!確かに無礼な物言いだったかもしれないけど、そこまで言わなくてもいいじゃないか!」
「ここは図書館だ。図書館じゃ静かに過ごせって規則に書いてあんだろ。じゃあな。俺は夕飯の支度で忙しい」
そう言って半泣きのソイツを置いて図書館から出た。
何なんだあいつ……。
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