転生しました。

さきくさゆり

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第六章

ですよねー…………

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「お主は馬鹿なのか?いや馬鹿に失礼かの」
「ですよねー…………」
「え?誰この子。ここが異世界?ってことは君がアオちゃん?ってことは気だるそうな貴女がクーテさんねっ!」
「違うからねー……花梨ちゃんはこっちねー。あんたは正座」

 薄々わかってたさ。
 多分駄目だろうなって。

「それで?弁解はあるか?」
「ないっす」

 おとなしく正座するとヘトリーが俺を見下ろしてきた。

「はあ……。久しぶりにお主のことを思い出して覗いてみればとんでもないことをしくさってからに……。異空間に生物を入れるとは何事か!この馬鹿者が!」

 そう。
 俺は花梨を異世界に連れて行くため、異空間魔法術で異空間に収納したのだ。
 そのまま転移したら教会の中。
 やっぱりなーって思ったわ。

 やっぱり人間は駄目みたいだ。
 なんで虫とか鳥が良くて人間が駄目なのかは分からんがその辺は神のさじ加減なのだろう。

「えー……と……許して?」
「まさか他にも生きた生物をそれぞれに連れて行ってはおらぬだろうな?」
「してませんとも!」

 あっぶね。
 見てなかっただけかよ。

「本当か?全く……。よいか?絶対にもうやってならんぞ?よいか?虫一匹連れて行ってはならぬからの」
「わかったって……。つか死んでたらいいのかよ」
「死んだら物だからの。物は良い。だが生物はならぬ。これはもう駄目なものは駄目という話。今回は見逃すがつぎにやったら問答無用で消滅させるからの」
「へーい」

 花梨がかりんとうを食いながら心配そうにこっちを見ているのが見えた。
 いーなー。

「んじゃあ花梨は連れて行けねぇんだよな。ここにはいいのか?」
「わしが許可しておるからの。ちなみに今は花梨の身体はまだ異空間の中じゃ。帰ったら出してやれ」
「うーい。…………だってさ花梨っ。流石にヘトリーに止められたら無理だっ」
「えーーっ」

 花梨がなんかよくわからん物をかじりながら不満気な表情を浮かべた。
 …………なにその……え?なにそれ。
 何食ってんの?

「しょうがねぇよ。こいつら神様だし。つか何食ってんだよ」
「神様?エトラさんは神なの?あとこれは……えーと…なんだっけ」
「これ?これは%(@^*よ」

 なるほど。
 おそらくこいつらが管理してるかなんかの世界の何からしい。

「じゃあ……わかったからもう帰っていいでしょうかね」
「よいぞ。特に用事は無いからの。あ、これも何かの縁というかちょっと面白そうなので言っておこう」
「何さ」
「本当は駄目なのじゃがどうせお主の場合やることは変わらんじゃろうしな」

 だからなんだよ……。

「まぁ耳を貸せ」

 一応言われた通りに顔を寄せる。



 ……………………は?

「ごめん意味わかんないや。ハハハハ。マジで?この俺が?清廉潔白品行方正聖人君子のこの俺が?」
「いやお主はかなり性格はネジ曲がっておるし、お主の行動は大概碌でもないし、少なくとも教養があるような人物には思えんが、マジじゃ」

 全否定かよ。

「理由は?」
「それはその時のお楽しみじゃな」

 えー…………

「まあそんときはそんときか」

 なんとかなんだろ…………多分。
 つかなんとかしないと死ぬし。

「花梨帰るぞー」
「はーい。じゃあまたねエトラさんっ」

 またねて……。
 多分二度とこれねーだろうなあ。

 そんなことを思いながら花梨が俺の横に来るのを待つ。

「それでどうやって帰るの?」
「転移」

 俺はサヨナラも言わずにさっさと地球に退散した。


 *****


「あぶなかったわね…………」
「本当じゃ…………。もう少し遅かったらわしら終わったぞ」
「そうね」

 ヘトリーとエトラは二人でこたつに突っ伏した。

「それで?どうして言ったの?」
「んー?さっきもあやつに言ったが、縁があったからとしか言いようがないの。どうせあやつにはある程度干渉しても問題は無い存在じゃからの」
「それもそうね。あーあ。面倒だわぁ」
「そういえばそろそろ神迎祭の季節だけどお土産どうする?」
「あーそれは決まっておる」
「えーそうなのー?」

 神々は今日ものんびり過ごす。



☆☆あとがき☆☆

これで第六章終了します。
詳しくは近況ボードにて。
ちなみにめっちゃ短いですが気に入ってる没ネタ載せてます。
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