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第一話 ここは何処?

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「こ、こ……は?」

 確か……馬車が来て……。

「うっ……」

 うるさいです。なんなのでしょうここは。

 パーバーガヤガヤと……。

 それにここはどこなの?
 周りには妙な格好をした……人?人です。
 ただ妙に顔がのっぺりしていますね。ヤーパ人に少し似ているような。
 いやそんなことよりも、とにかく立ち上がらなくては。

「痛い……」

 右足が腫れています。それに今気づいたけど地面が固いです。
 なんなのでしょうこの固さは。
 黒いですし。
 それに臭い!こんなのスラム街でも嗅いだことないです!

 あと目が痛い。眩しすぎます。

 うう……。

 なんとか立ち上がって周りを見回すと、どうも注目されているみたいでした。
 とりあえず……あの優しそうな人に話しかけてみましょう。

「あの、すいません。ここはどこでしょうか」
『あーえーうーあいきゃんのっとーえいごーいんぐりっしゅー』

 あ、これ駄目です。
 言葉通じないです。

 少なくとも私の知ってる国ではないのは確かのようです。

 気がつけば優しそうな人はいつの間にかいなくなっていました。
 なんだかやたら注目されいますね……。
 それに、男の人達は私の方を見てニヤニヤしていますし、板を向けてきます。

 怖い。

 私は思わず駆け出していました。

「いっつ!」

 足を怪我していることを忘れていました。


 ――――1時間後――――


「ここは何処なんですかああああ!!!!」

 痛む足を引き摺って行くと見たことがない木だらけの場所に来ていました。
 多分……公園?かしら?
 うぅ……。
 足痛い……。

 幸い夏のようだから凍え死ぬことは無いでしょうけど、それでも少し冷えますね。

 とりあえず椅子に座りましょう。

 ここは落ち着きます。
 眩しくないですし五月蝿くもないので。

 とりあえずこれからどうするか落ち着いて考えましょう。

 すると左の方からなにやら騒がしい声が聞こえてきました。

『ホントにいんの?そんな女』
『マジだって。ほらこれ写真』
『うわマジだ。すげえ美人じゃん。これは……ウヒヒ』
『あーらら。だらしねぇ顔。まあ分かるけどな』

 なんでしょう。
 やがて現れたのは、やっぱり妙な格好をしたヤーパ人のような人達四人でした。
 街灯らしきもののお陰で分かるのですが、顔とか指に装飾具を付けています。
 あれは……どこかの宗教の人たち?
 イスリム教徒の人たちは顔に装飾具を付けているけれど、それにしては小さいですね。あの人達は顔にとんでもない大きさのを付けてるから。

『うひょお?!マジでいたよ!おじょうさーん!こんなとこで何してんのぉ?つか日本語通じるー?』
『なになに?その格好ってコスプレ?その金髪って地毛?』
『ボロボロなのはそういう仕様なの?うヒヒヒ!』
『な?実物いいだろ?ちょっと子供っぽいけどそれはそれで』

 な?
 なんですか?
 でもあの顔は見たことあります。
 売られる時に見たあの人達の顔と同じ。
 少なくとも確実にこのままでは酷いことになりますね。

 私は痛む足にムチを打って駆け出しました。

『あ!待ってよおじょうさーん!』
『足怪我してんじゃね?足引きずってんぞ』
『おい、まわりこめお前』
『わかってるって』

 逃げなくては!
 早く逃げなくては!

 ――でもどこへ?

 ここは見知らぬ土地で、言葉も通じない。

 でも酷い目にはあいたくないです!

 ――逃げ切れる?その足で。

 イヤだ!イヤだ!!イヤだ!!!

「助けてええええええええ!!!!」

 思わず叫んだが公園には私の声が響いただけ。

 多分あいつらは遊んでいます。
 本気で追いかければすぐに捕まえられるのを、私が必死に逃げているのを見て楽しんでいます。
 まるで狩りのようです。

「アッ!!」

 私は公園を抜けたところで倒れてしまいました。
 足が痛い。
 もう立ち上がる気力もない。
 後ろを見ればあの男達がニヤニヤしながら歩いているのが見えました。

 ああ……。
 神様……。
 どうか助けて。
 こんなことなら馬車に轢かれていたほうがマシでした。
 こんなところであんな奴らの慰み者になるなんて。

 イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ。

「あ……ああ……」

 すると右側でとんでもない音がしました。
 そちらを向くと、なにやら眩しいくて目が開けてられません。
 思わず目を瞑ってしまいました。

 今度はかん高い音がして、その後何かをバンッと叩くような音がしました。

『大丈夫か?!ってボロボロじゃないか?!何があった?!とにかく病院へ……。救急車を呼ぶより運んだほうが早いか?とにかく乗って!』

 また何やら聴こえたのですが、それを聴いた私は何故か妙な安心感に包まれて、気を失ってしまいました。
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