トーキョという国で、テチョーという人に助けられました。

さきくさゆり

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第三話 素面はイヤあ!

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 ハァハァ……。
 ついつい夢中になってしまいました。

 チラッと見れば何やら微笑ましいものを見るような目で私を見ている二人のヤーパ人もどき。

 やだ恥ずかしすぎます!

「あ、あの……これ……」
『ん?なあに?それにしても文字もわからないならいよいよ意思の疎通が……』
『なら絵でも描いたらどうだ?絵心が無くとも何とかなるかもしれん』
『それです!』

 な、なに?
 筆を返したら急に叫び出しました。

 すると女性の方が羊皮紙に何か書き始め……これは……絵?

『私これでも昔は趣味で漫画書いてたことあるんですよ。今は読み専ですけどね』
『ほぉ?上手いものだ』

 すごい。
 これは……私でしょうか。ちょっと変わった絵だけど可愛らしくていいですね。

 えーと。

 服がはだけていて、これは……聴診器?それが胸に当てられてて……。ああ!診察するってことですね!

 理解した私は、通じるかわからないけど、両手を握って軽く打ちました。
 承知しましたという意味です。

『分かったってことですかね』
『多分ね』

 それから診察してもらったのだけど、これは私のいた国と大差無かったです。

 その後も絵での意思疎通を繰り返しました。
 私は絵心があまり無いのだけれど、何とか通じていたみたいです。

 その絵で分かったことは、

 私は何か大きなものに当たったこと。
 傷だらけでここに来たこと。
 絵で見た感じでは背の高い見目麗しい男性に助けられたこと。
 つまり私は死んではいないみたいでした。
 ここはあの世ではなく、謎のヤーパ人もどきが暮らしている国みたいです。
 だけどここは安全のようです。

 とりあえず二人は私の味方だということは分かりました。

 まあだからなんだという話ですね。

「私は、ライネス・ホープです」

 名前を書いて自分を指差して言うと、女性は理解してくれたようで、私のことをライネスチャンと呼んできました。
 少し違いますが、何度言っても通じないので諦めました。

 それから女性はハユカ、男性はケンオと言うそうです。
 少し発音が難しいですが、特に何も言われなかったので大丈夫でしょう。

 その後ハユカは凄く精巧な地図を持ってきました。
 驚きです。
 恐るべし、ヤーパ人もどき。

 その地図によると、ここはトーキョという国だそうです。
 よくわかりませんが、我が国より遥かに小さいのに、この技術力。
 驚きです。
 ヤーパ人もどき改めトーキョ人の二人は私がキャーキャー言うのが面白いようですが、私はあまり面白くありません。
 ですが、ついつい驚いてしまいます。

 その地図には私のいた国は載っていませんでした。
 何故でしょうか。
 というよりも私が知っている国が一つもありませんでした。
 文字は読めませんが形でわかるのですよ。
 私は馬鹿じゃないのです!


 食事はハユカが毒味してくれてから食べたのですが、どれも美味しかったです。
 コムェというものを含め、全て食べやすく、あっという間にたいらげてしまい、やっぱり恥ずかしかったです。
 でも美味しいんですもの……。

 それから今度はハユカが変わった絵で絵本を書いてくれました。
 文字はなく、絵だけなのですが、凄く引き込まれました。

 そんなことをしていると、気がつけば夕方になりました。
 そこで私は気がついてしまいました。

 そう。

 私はお金が無いのです。
 全く無いのです。

 楽しすぎて忘れていましたが、病院は非常にお金がかかります。

 どうしましょう。

 心苦しいですが逃げ出すしかないのでしょうか……。
 でも今更どこへ?
 私のいた国に私の居場所はもう無いです。
 かと言ってここでも、むしろここの方が無いです。

 ……どうしたらいいのでしょう。


『大丈夫でしょうか。この子絶対居場所無い感じですよ?身元もハッキリしていないですし』
『だよなぁ。金も無いみたいだし……。かと言って見捨てるのもなぁ』
『どうしましょう。警察とかに相談したら多分捕まりますよね』
『だろうなあ。悪い子じゃなさそうだけど、法律上ねえ』
『ですよねぇ』

 困りました……。

 その時です。

 ――コンコンコン

 扉を叩く音がしました。
 誰でしょう。
 今までも何度か鳴り、その度に白い服を着たトーキョ人達が出入りしましたが、なんとなく今の音はその時とは違う音に感じました。

 扉が開きます。

『やあ。目が覚めたと聞いたんだが』
「はわあ……」

 非常に顔の整ったトーキョ人の男性が入ってきました。
 鍛えた肉体を自慢気にひけらかす我が国の男性とは全く違い、女性のように白い肌の顔で、背の高い細身の男性でした。

 なんと言いますか。

 今まで見てきた男性の中で一番格好いいと思いました。

『あら、店長。お仕事は?』
『今はバイトの子に任せてるよ。それで容態は?』
『店長が一昨日拾ったっていう子、ライネスちゃんっていうみたいです。容態は安定していますよ。なんだか相当怖い思いをしたみたいで、最初は警戒していましたけどね』
『そうですか。よかった……』

 なんでしょう。
 私の方をチラチラ見ながら話してますけど。

『ところで何人か分かったかい?』
『それが全く。使う文字がハングルみたいな記号のような物ってことくらいですね。一応絵と身振り手振りで意思疎通らしきものは何とか、ってくらいです』
『まあ俺は日本語しか出来ないから関係ないか』
『アハハハ!そうですか。まあとりあえず話してみます?』
『そうするよ』

 こっちに近づいて来ます!どうしましょう!私今素面ですよ!

『あらま。顔隠された。嫌われた?』
『んーそんな感じじゃ無いですよ。むしろ逆なような……』
『逆?どういうこと?』
『ああ、店長ってそういうタイプですもんね』
『なんのことだ?』

 キャーッ!見ないでー!!
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