僕、勇者サマの養い子になりました

プロローグ

朝、学校に行く前の、普通なら慌しい筈の時間帯。
僕は少し煙草の煙が漂う、古めかしい喫茶店で、ミルクと砂糖をたっぷり入れたコーヒーを飲んでから、モーニングセットで付いてきたトーストにかぶりついていた。

1ヶ月に11回だけのお楽しみタイム。
毎月父から貰えるコーヒーチケットも、今日で最後の1枚になってしまったから、僕はいつもよりも少しだけ早く店に来て、のんびりと朝食を楽しんでいた。

ふと窓の外を眺める。
解体中の隣りのビルからは早くもガンガンとかガガガガとか騒がしい音が響き渡っていて、このクソ寒い中ご苦労様な事で、と僕は心の中で呟いた。
それにしても微妙な空模様だ。
傘を持って来なかった事に気が付いて、僕は思わず溜め息を吐いた。

あぁ、せめて降るなら体育の時間に降ればいいのに…
この冬の寒空にマラソンとか、ホントやめて欲しい。

そんな事を考えながら、僕は隣のテーブルに座る人へと視線を移した。

いつも見かける人だ。
いつも、つい、見てしまう人。
常連客なんだろうな。

ただ、いつも持ち込んだ本を読みながら、ブラックのコーヒーを飲んでいる、かなり年上の綺麗な女性。
何でこんなにも気になるんだか…
会話した事は無いし、自分の母親の歳に近いような人なのだが、不思議と時々視線が合う、気がしている。

何だろう？
こんな時間にコーヒーなんて飲んでる中学生が気になるんだろうか？
でもちゃんと7時半には店を出ているし、学校だって遅刻なんてしたりしてないんだけどな。

残りのトーストを口に押し込んで咀嚼すると、僕はポケットのコーヒーチケットを確認してから、テーブルの隅に丸められた伝票を同じポケットに突っ込んで立ち上がった。

やけに、店の外が騒がしいな。
何だ？
え？ 悲鳴？？

窓から外を見てみると、猛スピードのダンプカーが真正面に見えた。

は？ どういう事？

僕は何故か咄嗟に、本に夢中で全く気が付いていない隣のテーブルの女性を突き飛ばしていた。
驚いた顔の女性と目が合い、次の瞬間、僕はドンという強い衝撃を背中に受けて、そのまま、意識を失ってしまった。


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初めまして。
拙い文章ですが、暇潰しに読んで頂けたらとても嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。

ところで喫茶店でモーニングサービスがあるのって中京圏だけなんでしょうか？
朝ドリンクを頼んだら勝手にトーストと茹で卵とサラダが無料で付いてくる…みたいなヤツなんですが。
まぁ付いてくる食事の内容は店によって色々なんですけど、近所の喫茶店は380円のコーヒーを頼むとサンドイッチ(12枚切食パン2枚分のハムサンドかタマゴサンド)とサラダとコロッケと茹で卵が付いて来ます。