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「イツキ?」
驚いた顔をしたアヤコさんが、僕の顔を見た。
その間にも1枚、また1枚と光の壁は消え続けている。
こんな緊急時に迷惑な…って表情になるかとビク付いていたら、どうしたの?と首を傾げられて僕は意を決して口を開いた。
「僕を…僕を降ろして下さい」
「何で?」
「足手纏いの僕が居なければアヤコさんは今こんな事にはなってないでしょう?だから、だから僕を置い」
次の瞬間、僕の背中にゾクリとしたものが走り抜けた。
アヤコさんから立ちのぼる青い炎のようなオーラを幻視して僕は固まる。
気が付けばあんなに降り注いでいた雷球が全て消え失せ、鼓膜が震える程だった轟音も同じく消えてしまっていた。
「何を勝手に悲壮な決意固めてくれちゃってるのかな~あ?」
スウッと目を細めて僕を睨み付けると、アヤコさんは寒々するような優しい優しい微笑みを浮かべてみせた。
顔は菩薩のように慈愛に満ちた感じなのに。
目が、目が全く笑っていない…
怖い!物ッ凄く怖い!
ガシャアァアアアン!!
アヤコさんがブンと左手を振り上げた刹那、ガラスが大量に割れるような音が響き渡り、僕達を覆っていた光の壁が粉々に砕け散って消えた。
「クェッ?!」「ゲギャッ!」「ギギャ!?」
次の瞬間、上空の3匹から驚いたような声が降ってきて見上げれば、アヤコさんの左手から延びた何本ものロープ状の影がグリフィン達の脚を捕らえて空中に縛り付けていた。
怖い!
アヤコさん怖過ぎる!
何とか隙を見て逃げ出そうとバッサバッサ焦ったように羽ばたく3匹の騒がしい音のみが僕達に降り注ぎ、気が付けば辺りからはその他一切の音が消えてしまっていた。
森のあちこちからしていた生き物達の気配も声も今は全く聞こえてこない。
まるで息を潜めて此方を伺っているかのように辺りはシンと静まり返っていた。
「で?イツキを置いて、私にぃ、一体どうしろって?ん?」
全身の毛穴からブワッと冷たい汗が吹き出した。
僕は生まれたての子鹿のようにガクブル震えながら、首を振った。
「だっ、だだって、只の足手纏いで役立たずだし、僕なんて震えてしがみついてる事しか出来ない。邪魔なだけじゃないですか!だから、せめて、これ以上迷惑を」
「うん、じゃあ置いて行ったとしようか。で、イツキはどうなると思う?」
アヤトさんの言葉に僕は俯いた。
もちろん分かってる。
もちろん分かりきっている。
いつの間にか身体の震えは止まっていた。
「今度こそ……」
僕は俯いたまま小さく呟いて、薄っすらと微笑んだ。
「今度こそ、ちゃんと死ねます」
驚いた顔をしたアヤコさんが、僕の顔を見た。
その間にも1枚、また1枚と光の壁は消え続けている。
こんな緊急時に迷惑な…って表情になるかとビク付いていたら、どうしたの?と首を傾げられて僕は意を決して口を開いた。
「僕を…僕を降ろして下さい」
「何で?」
「足手纏いの僕が居なければアヤコさんは今こんな事にはなってないでしょう?だから、だから僕を置い」
次の瞬間、僕の背中にゾクリとしたものが走り抜けた。
アヤコさんから立ちのぼる青い炎のようなオーラを幻視して僕は固まる。
気が付けばあんなに降り注いでいた雷球が全て消え失せ、鼓膜が震える程だった轟音も同じく消えてしまっていた。
「何を勝手に悲壮な決意固めてくれちゃってるのかな~あ?」
スウッと目を細めて僕を睨み付けると、アヤコさんは寒々するような優しい優しい微笑みを浮かべてみせた。
顔は菩薩のように慈愛に満ちた感じなのに。
目が、目が全く笑っていない…
怖い!物ッ凄く怖い!
ガシャアァアアアン!!
アヤコさんがブンと左手を振り上げた刹那、ガラスが大量に割れるような音が響き渡り、僕達を覆っていた光の壁が粉々に砕け散って消えた。
「クェッ?!」「ゲギャッ!」「ギギャ!?」
次の瞬間、上空の3匹から驚いたような声が降ってきて見上げれば、アヤコさんの左手から延びた何本ものロープ状の影がグリフィン達の脚を捕らえて空中に縛り付けていた。
怖い!
アヤコさん怖過ぎる!
何とか隙を見て逃げ出そうとバッサバッサ焦ったように羽ばたく3匹の騒がしい音のみが僕達に降り注ぎ、気が付けば辺りからはその他一切の音が消えてしまっていた。
森のあちこちからしていた生き物達の気配も声も今は全く聞こえてこない。
まるで息を潜めて此方を伺っているかのように辺りはシンと静まり返っていた。
「で?イツキを置いて、私にぃ、一体どうしろって?ん?」
全身の毛穴からブワッと冷たい汗が吹き出した。
僕は生まれたての子鹿のようにガクブル震えながら、首を振った。
「だっ、だだって、只の足手纏いで役立たずだし、僕なんて震えてしがみついてる事しか出来ない。邪魔なだけじゃないですか!だから、せめて、これ以上迷惑を」
「うん、じゃあ置いて行ったとしようか。で、イツキはどうなると思う?」
アヤトさんの言葉に僕は俯いた。
もちろん分かってる。
もちろん分かりきっている。
いつの間にか身体の震えは止まっていた。
「今度こそ……」
僕は俯いたまま小さく呟いて、薄っすらと微笑んだ。
「今度こそ、ちゃんと死ねます」
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