僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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49.

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「いやいやいや、ちょ、ちょっとだけ待つのじゃ!心停止とは心の臓が止まる事じゃよな?即死って、ホントに殺す気満々ではないか!」
「それが?」
「お前さん、イツキの目の前で人を死なせる気か!?」
「心停止は突然倒れるだけですから大丈夫ですよ。見た感じでは苦しんだり藻搔もがいたりする事なく、ウッ!?ってなって気絶するようにバタンで終わりですから」
「じゃがのぅ、イツキにはショックじゃと思わんのか?」
「害虫駆除の為ですから、そこは仕方がないと思って諦めて欲しいんですが…
そうですね、イツキは優しい子だから目の前で殺すのはマズイ気がしてきました」

アヤさん以外の僕達3人は
いつの間にか大きく息を吐いていた。

はあぁぁ~~~~…

「じゃあ、悪意を察知したら麻痺状態で500m上空に強制転移ってのは?」
「ダメじゃ!何故に上空なのじゃ!?突然そんな所へ転移させられて、パニックの内に地面と激突なんぞ、心停止より酷いじゃろうが!」
「私がエンチャントで付与する能力的には転移距離500mくらいが限界だからですよ。だったら上の方が確実に駆除出来るじゃないですか。空気抵抗や風もありますし、1秒で50~60m落下すると考えると10秒以内ですから、まぁまぁ迅速に処理出来ますし。
あ!でも真上だとイツキが危ないし、離す為に転移させる意味が無くなってしまうな。じゃあ斜め上後方に飛ばして高度を250mくらいに設定すれば5秒以内に…」
「やめんか!お前さんと違ってそんな高さから落ちたら、普通の状態でも死んでしまうのじゃ」
「別に落下して1秒もあれば対処出来るでしょう?死にはしませんよ。まぁ骨折くらいはするかも知れませんが」
「いや、死ぬから!骨折じゃすまないから!アヤトの感覚はオカシイから自覚して!?」
「お前さんは麻痺状態でと言うたではないか。じゃったら余計に無理じゃろ、それは」
「はあ?そんなの、それこそ死ぬ気で頑張れば何とかなるでしょう?」
「いやいや、何言ってんの?無理に決まってるじゃない!」

僕を完全に放置して白熱する3人の会話を引き気味で眺めていると、ふと、身長が2m近くはある細マッチョなおじさんがニコニコと僕達を見ている事に気が付いた。

目が合ってニッコリされて、僕はオドオドしながらも頭を下げてお辞儀をしてみた。

まぁ、安心なアヤさんの腕の中だからこその行動だったんだけど、次の瞬間には何故か、僕はおじさんの左肩に軽々と担ぎ上げられていたのだった。
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