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「例外はイツキだけ…という訳だな」
「そうだよ。
だけどこの子にほんの些細な事だろうと何かするつもりなら覚悟する事だ。ブチ切れた私が破壊の限りを尽くして、お前の大事な大事なこの国を滅ぼしてやるからな。呉々も気を付けろよ、ウィーデル・D・ヴァル・ファージア王弟殿下」
アヤさんが恭しく告げると、ウールドさんは苦虫を噛み潰したような顔になってから呻いた。
「…いつから知っていた?」
「さぁね。いつか何かの交渉に使えるかと黙ってただけで、実は結構前から気付いてはいたさ。全く、力ある者の義務?笑えるね。自分は面倒な内政から逃げ回って冒険者風情に身をやつして気儘に生きてる癖に、どの口でほざくのか…」
呆れたように嘆息して、アヤさんが吐き捨てた。
「いつか言ってやろうと思ってたんだよ。どうだ、ぐうの音も出ないだろう?」
愉しそうに笑って、そして抱き締めていた僕を離して真剣な表情で僕に頭を下げた。
「お願いだイツキ!今すぐこの家の中にある、私とイツキ以外の気配がある物を探して!」
両肩を強く掴まれ、涙の跡が残る顔でアヤさんに懇願された僕は大きく頷いて目を閉じた。
ーーーー今こそ、アヤさんの役に立ちたい!!
だから絶対に探し出してやる。
何処だ?何処にある?
嫌な気配、妙な気配。異物感、違和感。
……あった、3つも!
僕は目を開けてアヤさんに指を3本立てて見せた。
でも…
何だろう。変な感じだ。
何か違う感じがする…
奇妙な違和感を感じて無表情のウールドさんを見た僕は、変な確信を持って再び目を閉じた。
……違う、3つじゃない。もっともっと微かにだけど、まだある筈だ。
探せ!もっと隅々まで…もっと……
ッ!!
あった!
1つ……
いや、まだある!
まだ…もう1つ、ある。
僕は目を開けて指を2本足して見せた。
無表情だったウールドさんの顔がくしゃりと歪んで、深い溜め息を吐かれた。
「参った。流石に全部見付かるとは思わなかったぜ…」
「ザマァミロ。ねぇイツキ、詳しく場所を教えてくれるかな?」
アヤさんに聞かれて僕は頷いた。
取り敢えず一番近くにあるキッチンのシンク横の引き出しを指差してアヤさんの手を引く。
アヤさんは指を差されても分からないらしく、困った顔していたので、僕は少し考えてから座ってくれとジェスチャーで伝えた。
「何?ここに座ればいいの?」
僕は頷いて、しゃがんでくれたアヤさんの両目を覆うように掌を当てた。
「目を瞑ればいいのかな?」
アヤさんは言いながら目を閉じてくれたので、僕は前にアヤさんがステータスを見せてくれた時のように、瞼に映すイメージで引き出しを見ながら再び指を差した。
「……凄いな。イツキにはこんな風に見えているんだね…」
「そうだよ。
だけどこの子にほんの些細な事だろうと何かするつもりなら覚悟する事だ。ブチ切れた私が破壊の限りを尽くして、お前の大事な大事なこの国を滅ぼしてやるからな。呉々も気を付けろよ、ウィーデル・D・ヴァル・ファージア王弟殿下」
アヤさんが恭しく告げると、ウールドさんは苦虫を噛み潰したような顔になってから呻いた。
「…いつから知っていた?」
「さぁね。いつか何かの交渉に使えるかと黙ってただけで、実は結構前から気付いてはいたさ。全く、力ある者の義務?笑えるね。自分は面倒な内政から逃げ回って冒険者風情に身をやつして気儘に生きてる癖に、どの口でほざくのか…」
呆れたように嘆息して、アヤさんが吐き捨てた。
「いつか言ってやろうと思ってたんだよ。どうだ、ぐうの音も出ないだろう?」
愉しそうに笑って、そして抱き締めていた僕を離して真剣な表情で僕に頭を下げた。
「お願いだイツキ!今すぐこの家の中にある、私とイツキ以外の気配がある物を探して!」
両肩を強く掴まれ、涙の跡が残る顔でアヤさんに懇願された僕は大きく頷いて目を閉じた。
ーーーー今こそ、アヤさんの役に立ちたい!!
だから絶対に探し出してやる。
何処だ?何処にある?
嫌な気配、妙な気配。異物感、違和感。
……あった、3つも!
僕は目を開けてアヤさんに指を3本立てて見せた。
でも…
何だろう。変な感じだ。
何か違う感じがする…
奇妙な違和感を感じて無表情のウールドさんを見た僕は、変な確信を持って再び目を閉じた。
……違う、3つじゃない。もっともっと微かにだけど、まだある筈だ。
探せ!もっと隅々まで…もっと……
ッ!!
あった!
1つ……
いや、まだある!
まだ…もう1つ、ある。
僕は目を開けて指を2本足して見せた。
無表情だったウールドさんの顔がくしゃりと歪んで、深い溜め息を吐かれた。
「参った。流石に全部見付かるとは思わなかったぜ…」
「ザマァミロ。ねぇイツキ、詳しく場所を教えてくれるかな?」
アヤさんに聞かれて僕は頷いた。
取り敢えず一番近くにあるキッチンのシンク横の引き出しを指差してアヤさんの手を引く。
アヤさんは指を差されても分からないらしく、困った顔していたので、僕は少し考えてから座ってくれとジェスチャーで伝えた。
「何?ここに座ればいいの?」
僕は頷いて、しゃがんでくれたアヤさんの両目を覆うように掌を当てた。
「目を瞑ればいいのかな?」
アヤさんは言いながら目を閉じてくれたので、僕は前にアヤさんがステータスを見せてくれた時のように、瞼に映すイメージで引き出しを見ながら再び指を差した。
「……凄いな。イツキにはこんな風に見えているんだね…」
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