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目を凝らすと、500円玉を2枚貼り合わせたみたいな物が引き出しの底の裏に磁石のように張り付いている。
僕にはそこを中心に可視と不可視の波の輪が薄っすらと絶え間なく波紋のように広がって見えていた。
目を…ほんの少し逸らすだけで波紋すらも見失ってしまう。
自分でも、どうしてこの僅かな違和感に気付けたのかは全く分からなかった。
でもこれは最初に見付けた3つの内の1つ。
問題は後で見付けた2つの方だ。
アヤさんは引き出しを開けて目を閉じたまま瞼の裏に映った物を見つつ手を伸ばした。
慎重に指で摘んで取り外すと、魔力を込めて『隠蔽』を引き剥がし、掌の上に乗せた。
「まずは1つ目、だな」
そしてニヤリと笑ってウールドさんに見せ付けると、奪い返される前に素早く手に青い炎を纏わせて握り潰した。
「おい、お前ソレ国宝級の魔道具なんだぞ!」
「そんな事は知らないよ。それよりコレ、転移のマーカー機能と、盗聴の機能が付いているね。ホント何の為だか分かり過ぎて腹立たしいな…」
2人が苦々しい顔で睨み合っているのを見て、僕は慌ててアヤさんの手を引いた。
ウールドさん、残りの4つを壊される前に回収しようとしてる…
そんな気がしてアヤさんを見上げると、僕と目が合ったアヤさんは察し良くゆっくり瞬きをする感じで、さり気なく目を閉じてくれた。
繋がっている手を通して、僕はアヤさんの瞼に後の2つがあった場所を急いで映した。
それは僕が寝ていた部屋の出窓の隅と、ベッドボードの裏。
小さいボタン電池みたいな物が貼り付けられている。
アヤさんは僕を抱えるとグリフィンに使ってた影の捕縛魔法をウールドさんに仕掛けた。
勿論避けられたけど、その隙にアヤさんは階段を2歩で駆け上がり例の部屋へと飛び込んだ。
素早く2つの魔道具を回収して、追い付いて来たウールドさんと対峙する。
「アヤト、その2つは流石に壊される訳にはいかないぜ」
王族としては国宝級を1つ壊されただけでも痛手なのかも知れない。
ウールドさんは鋭い眼差しでアヤさんを睨み付けていた。
「イツキが見付けた最初の3つが国宝級で、後の2つが伝説級…ってところかな?
成る程、鑑定してみるとなかなか面白い仕掛けがしてあるみたいだ」
アヤさんは手を開かず握り締めたまま鑑定していたらしく、手の中からギシギシと嫌な音を立て始めた。
「止めろ。それ以上は本当に止めろ。それは人の技術ではまだ作り出せない魔道具だ」
「お断りだね」
「アヤト!」
「イツキ、残りの2つは?」
急に話し掛けられて驚いた僕は身体を震わせてから、アヤさんの右目に掌を当て、2つの場所を映して見せた。
玄関の下駄箱の中と、アヤさんの部屋のベッドボードの裏だ。
「これで全ての場所が分かったよ。ありがとうイツキ」
優しい笑顔でお礼を言われ、僕は役に立てた事が嬉しくて右目の掌を外してからアヤさんにギュッと抱き付いた。
でもどうして急にこんな事が出来るようになったんだろう?
物を透かし、アヤさんにも見えてない物を見付け出す力だなんて……
こんなチートな力、アヤさんに頼まれたから…かな?
僕にはそこを中心に可視と不可視の波の輪が薄っすらと絶え間なく波紋のように広がって見えていた。
目を…ほんの少し逸らすだけで波紋すらも見失ってしまう。
自分でも、どうしてこの僅かな違和感に気付けたのかは全く分からなかった。
でもこれは最初に見付けた3つの内の1つ。
問題は後で見付けた2つの方だ。
アヤさんは引き出しを開けて目を閉じたまま瞼の裏に映った物を見つつ手を伸ばした。
慎重に指で摘んで取り外すと、魔力を込めて『隠蔽』を引き剥がし、掌の上に乗せた。
「まずは1つ目、だな」
そしてニヤリと笑ってウールドさんに見せ付けると、奪い返される前に素早く手に青い炎を纏わせて握り潰した。
「おい、お前ソレ国宝級の魔道具なんだぞ!」
「そんな事は知らないよ。それよりコレ、転移のマーカー機能と、盗聴の機能が付いているね。ホント何の為だか分かり過ぎて腹立たしいな…」
2人が苦々しい顔で睨み合っているのを見て、僕は慌ててアヤさんの手を引いた。
ウールドさん、残りの4つを壊される前に回収しようとしてる…
そんな気がしてアヤさんを見上げると、僕と目が合ったアヤさんは察し良くゆっくり瞬きをする感じで、さり気なく目を閉じてくれた。
繋がっている手を通して、僕はアヤさんの瞼に後の2つがあった場所を急いで映した。
それは僕が寝ていた部屋の出窓の隅と、ベッドボードの裏。
小さいボタン電池みたいな物が貼り付けられている。
アヤさんは僕を抱えるとグリフィンに使ってた影の捕縛魔法をウールドさんに仕掛けた。
勿論避けられたけど、その隙にアヤさんは階段を2歩で駆け上がり例の部屋へと飛び込んだ。
素早く2つの魔道具を回収して、追い付いて来たウールドさんと対峙する。
「アヤト、その2つは流石に壊される訳にはいかないぜ」
王族としては国宝級を1つ壊されただけでも痛手なのかも知れない。
ウールドさんは鋭い眼差しでアヤさんを睨み付けていた。
「イツキが見付けた最初の3つが国宝級で、後の2つが伝説級…ってところかな?
成る程、鑑定してみるとなかなか面白い仕掛けがしてあるみたいだ」
アヤさんは手を開かず握り締めたまま鑑定していたらしく、手の中からギシギシと嫌な音を立て始めた。
「止めろ。それ以上は本当に止めろ。それは人の技術ではまだ作り出せない魔道具だ」
「お断りだね」
「アヤト!」
「イツキ、残りの2つは?」
急に話し掛けられて驚いた僕は身体を震わせてから、アヤさんの右目に掌を当て、2つの場所を映して見せた。
玄関の下駄箱の中と、アヤさんの部屋のベッドボードの裏だ。
「これで全ての場所が分かったよ。ありがとうイツキ」
優しい笑顔でお礼を言われ、僕は役に立てた事が嬉しくて右目の掌を外してからアヤさんにギュッと抱き付いた。
でもどうして急にこんな事が出来るようになったんだろう?
物を透かし、アヤさんにも見えてない物を見付け出す力だなんて……
こんなチートな力、アヤさんに頼まれたから…かな?
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