僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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63.

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最初に違和感を感じ、アヤさんから「何処に居るのか分かる?」って聞かれてウールドさんを探した時、僕は『空気が違うみたいな感じの、妙な場所』としか分からなかった。
でも、魔道具アーティファクトを探す時はアヤさんから「自分達以外の気配がある物を探して!」と懇願こんがんされた。
出来るか出来ないかでは無く、『絶対に探し出す!』って家中をさぐったら、いつの間にか気配を追って壁も家具も全ての物が透けて見えるようになっていた。
気配のする場所は一見して何も無いようにしか見えなかったけど、意識を集中させると空間が揺れるみたいに波紋が出来て、見えたり見えなかったりしたけど、隠されている物は無事に発見する事が出来た。

こうやって考えると、僕としては何かしらアヤさんの力の恩恵を受けているんじゃないかって思うんだよね。
だってアヤさんが言ってくるって事は、僕にも出来る筈って事なんだろうし。

「…なぁ頼むアヤト、せめてその2つは返してくれ。この通りだから」
「何だ、オニイチャンには内緒で持ち出して来てたのか?」

頭を下げるウールドさんに、アヤさんは皮肉で返すと、僕の背中をポンポンと叩いた。

「イツキ、これの中身って見れる?」
アヤさんが2つの魔道具アーティファクトを握り締めたままの右手を僕に見せながら聞いてきた。
意味が分からず首を傾げると、
「ほら、玉ねぎ剥くみたいに1枚ずつ剥がして中身を逐一ちくいち見てみたいんだよ。材質とか、隠して描いてある模様とか文字とかも」
ってお願いされた。
僕はコクリと頷いてジッと見詰めてみた。
アヤさんが頼んできたって事は多分僕に出来るって事だもんな。

MRIでスキャンするイメージで魔道具アーティファクトを端から輪切りにして中身を確認していく。
輪切りにした画像をモニターに映し出すイメージで外側から順番にアヤさんに送ると、アヤさんは4層目の画像を見て目を見開いた。

「イツキ…これって………」

慌てて目を閉じたアヤさんの瞼に再び画像を映しながら、僕は細かくビッシリ書き込まれている文字を拡大して見せた。
不可視の魔法が掛けてあったのを可視化してアヤさんに見せたんだけど、まるで米粒に書かれたお経クラスの小さな文字が隙間無く一面を埋め尽くしていた。

ーーーーそれは…
その文字は…
どう見ても漢字、そして日本語だった。

『不可視・隠蔽・偽装・発信・盗聴・盗撮・転移座標原点・自衛自爆・対物理防御・対魔法防御・物質強化・自動返還・所有者登録(ファージア国王)・防水…』

しかも何だかこれ、結構思い付いた事を乱雑にみんな書き込みましたって感じがするよ。

もしかして、
もしかしてこれを作った人って……

僕達と同じ日本人なんじゃ!?
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